《簡単蕎麦うち》 日常の調理器具でおいしいお蕎麦をつくりましょう。




片山智の相棒のママリンです。

私の住んでいる福井は、「越前おろしそば」で有名な蕎麦どころです。
夫は、昼食はほとんど、お蕎麦屋さんで「おろしそば大盛り!」を注文するほどの蕎麦好きです。

ならば、わたくしママリンが 「手打ち蕎麦」を作ろう!
おいしいお蕎麦は食べたいけれど、主婦としては、準備や後始末のことを考えてしまいます。
一般的に、おそばを打つのには1メートルほどもあるコタツの天板ぐらいの大きな「のし板」や、思わず エイッ、ヤッ、オメンッと剣道を始めてしまいそうなナガーイ 麺棒を使います。
そのために、準備がかなり大ゲサになって大変です。

しかし、我が家のように「300~500g」しか打たない場合には、大きな道具は必要ありません。
実際収納場所も重要で、まずは「すぐ出して片付けられる」ということが、手軽に蕎麦打ちをするためのカギ。 日頃お料理で使っている調理器具を使って、簡単に蕎麦打ちを楽しみましょう。

特にこだわったのは、蕎麦粉100%で打つということです。
時間と労力を使ってつくるのですから、いい材料で最高においしいものをつくりたいし、 個人的には、つなぎを入れて長いのだけがおそばではないと思うのです。
そばの長さは、「15~18cm」 (ちなみに、そうめんの長さは20cm前後)があれば、お箸でツルッと口に運べることができ、充分におそばの口ざわりが堪能できます。

いろいろ研究して、究極の「まな板の上で手打ちそば」ができました。
流し台の上で、ちょこちょこっと簡単に手打ちそばを作ることができます。



道 具
①こね鉢
こねている時に、蕎麦の玉と一緒に動かなような重たいものであればいいのです。私は、写真のような陶器(28cm径)で、昔から使われていたお団子を練る「団子鉢」です。塗りの鉢より扱いが楽です。
②のし板
これがのばす時に使用する「まな板」です。
40cm×27cm、西洋桧の寄せ木で市販のものです。反りがあると均等な厚さにのばせないし、 衛生面からも、蕎麦打ち専用として用意しておいて、使わない時は、タオルに包んで棚にしまっています。
③のし棒
クッキーなどをつくる時の麺棒でOK!

④包丁
刃先の四角い菜切り包丁、刃渡り16.5cm。
⑤切るためのまな板
日常使用しているものでOK!
⑥切ったおそばを入れるもの
お盆などで代用します。私は、長方形のパイレックスを使用しています。

材料と分量
①蕎麦粉
挽きたての粉を製粉所で求めてください。私は、生産農家の方から、直接挽きたてをわけてもらうこともあります。 いい粉があれば、ワザがなくても味は最高。

②はな粉(打ち粉)
はな粉というのは打ち粉のことで、蕎麦粒の中心部分を挽いたものです。製粉所で購入します。
いいはな粉を使うことも重要です。他のでん粉の打ち粉を使うと、蕎麦を茹でる湯がそのでんぷんの味になり、蕎麦の香りのじゃまになるような気がします。 当然、蕎麦湯もおいしくありません。

③水 水も吟味しましょう。幸い福井は水がいいので、私は、水道水を使っています。

分量
蕎麦粉・・・・・500g *ツナギは入れません
水・・・・・・・蕎麦粉の43~45%(湿度により調節)
はな粉(うち粉)・・・・・・・適宜

蕎麦打ちの所要時間について・・・・・・
「蕎麦打ち」には、「水まわし」・「こね」・「のし」・「切り」の4つの工程があります。
田舎のおばあさんやお蕎麦やさん、素人名人といろんな方のそば打ちを見せていただきました。リズミカルで手早いというのが感想で、1kgの蕎麦粉ですとだいたい20~30分で仕上げておられます。
ということで、私500gの蕎麦打ち(4工程)を25分で終るようにしています。理想的には、打ち始めて30分後には舌鼓を打っていたいと思います。では、手順をご紹介しましょう。



〈工程1〉水回し
「水回し」は、蕎麦粉に体温の熱が伝わらないように、手のひらは使わず指先だけを使います。

①蕎麦粉を軽く混ぜながら中央にくぼみをつくり、ここに分量の水の半分を注ぎ、まんべんに水をゆきわたらせます。
印の絵のように、最初に菜箸で大まかに混ぜてから、指先を使って混ぜていきます。
そうすると、指先が水と蕎麦粉でドロドロになりません。


②少ししっとりとして、かつサラサラな感じに混ざったら、残りの水の7割ぐらいを入れ、さらに混ぜます。
蕎麦粉が均等に水を含んでポロポロとしてきて、固まりの1つ1つ が同じ大きさになってきたら ・・・



③残りの水を、様子を見ながら加えて、一気にまとめて1つの固まりにし「こね」の工程に移ります。



〈工程2〉こね
「菊練り」をする。回転させながらこねていくと、
       菊の花ビラのようになるので「菊練り」といいます。

①こねは、体重を図の印の部分にかけます。
手の緑色の部分 「たなごころ」です。
の手で蕎麦玉の端をつまみ、中心に引き寄せながら回す。
印の手は、前に押し出すような感じでこねる。

②蕎麦の玉の表面に、ガサガサとひび割れた感じがなくなり、なめらかにツルリとなるまでよくこねます。


③まな板の上でのばすため、小さく3コに分けて丸め、 湿らせた布巾をかけ乾燥しないようにしておきます。




「のし」の前にはな粉をふったまな板の上で、「ヘソだし(角だし・四つ出し)」という作業をします。これは蕎麦粉のつながりの方向を一定にし、なめらかにするための作業です。
(右図参照)
印、手のひらをまっすぐにして円錐の底を整える感じに、
印、手のひらと指を丸め蕎麦玉をコロコロ転がして、 円錐の先をつくります。

〈工程3〉のし

①まな板にはな粉をかるく振り、「へそ出し」をして円錐形になった先の方を上にして、手のひらで印の方向に押さえます。

②回しながら時々裏に返し、2cm厚さぐらいにまで平たくなったら、のし棒でのばします。
「越前そば」はチョット太めです。その方が、大根おろしや花かつおとの相性が良いので、3ミリ弱ぐらいの厚さにまでのばします。


③のし板、のし棒にくっつかないように、はな粉を振りながら、片面をのばしたら裏に返すを繰りかえし、角型になるようにのばします。

はな粉の振り方について
・①では、のし板と蕎麦玉に、始めにほんの少しだけ振ります。
・②③④では、1ヶ所に固まらないように、さっと振ります。( まだらになっても表面を手でなでて広げてははいけません。)
・「切り」の工程では、充分に振ります。

④厚さが3ミリ弱になるまでのばします。

「のし」の方法について・・・・・
一般的には、長い麺棒にのばしたものを手前から巻きつ け、それを手元にひきつけ、トントンと押さえながら前方に転がすという動作を繰りかえします。
私は、お台所の調理台で手軽に作るために、まな板をのし板にしていますので、まな板サイズに平たくのばすだけです。



〈工程4〉切り
ここからの作業を切りといいます。
「切り」の工程からは、はな粉を充分に振ります。
特に、のしたものをたたむとき、切ったものを移す時には、はな粉をまんべんなく振ります。

①のばしたものにはな粉を充分に振り、2つにたたみ、上からもはな粉を振る。

②2枚にたたんだものを、はな粉を振った「切り」用のまな板に移動し、そっと押さえながら3ミリ弱の幅に切る。

③ある程度切ったら、更にはな粉を振り、そのはな粉を軽く落とすようにさばきながら、打ちあがりの容器に移す。
〈工程2〉で分けた残りの2コのそばの玉も、「〈工程3〉のし」と「〈工程4〉切り」の作業をします。


茹でる

①大き目のお鍋にたっぷりのお湯を沸かし、沸騰したら、蕎麦をパラパラとほぐすように入れる。

②再び沸騰してくるまで待ち、沸いてきたら、お箸でかるく混ぜて、蕎麦同志がくっつかないようにする。

③ふきこぼれそうになったら、さし水を2回ほどします。さし水の量はほんの少しで、すぐに沸騰が戻るようにします。 1分半から2分で茹であがり。

④流水にとり、かるく洗って(ゴシゴシ洗わない)、ザルでしっかり水切りをします。

さあ、茹でたてをいただきましょう。
茹でるときに一番大切なのは、茹で過ぎないこと。 そして茹であがりを冷たい流水にとり、キュッと麺をしめることです。

⑤器に盛り付け、大根おろし、ネギ、花かつおをのせ、そばつゆをかける。


まとめ
  仕事の取材などでお蕎麦を身近に感じており、お料理することが好きなのでいよいよ「蕎麦打ち」にチャレンジ。
蕎麦粉は地域柄、挽きたてをわけていただくこともできるので助かります。
子育て中、仕事が忙しいくて子供のことがおざなりになったりするのを感じると、 急いでお菓子を作りました。そして「おいしい!もっと!」という声で子供との友好関係を図り、自分自身の負い目(家事の手抜きなど)のバランスをとっていたような気がします。
今は子供たちがそれぞれに家庭を持ち、お蕎麦を打つのは、仕事の合間の本当にゆったりした 時間のある時です。 もちろん、さっさと短時間で打ちますが、いただくときはゆっくりと一杯いただいては、 また茹でて一杯、という具合です。 途中で、蕎麦湯とチーズとの思わぬ相性の良さを発見して、夫と悦に入ったり。
蕎麦つゆは、我が家では薄めのものを少量にして、大根おろしの辛みを楽しみます。上にのせる花かつおについては、上質ものを少し、魚の臭いがするものならかえって使わないほうがいいと思います。
この蕎麦打ちは、私が考えた家庭で簡単にできるなものですが、いい蕎麦粉を使っていただければ、必ずおいしくできます。