LOREENA McKENNITT ---------


All Souls Night

Bonfires dot the rolling hillsides
Figures dance around and around
To drums that pulse out echoes of darkness
Moving to the pagan sound.

Somewhere in a hidden memory
Images float before my eyes
Of fragrant nights of straw and of bonfires
And dancing till the next sunrise.

I can see lights in the distance
Trembling in the dark cloak of night
Candles and lanterns are dancing, dancing
A waltz on All Souls Night.

Figures of cornstalks bend in the shadows
Held up tall as the flames leap high
The green knight holds the holly bush
To mark where the old year passes by.

Bonfires dot the rolling hillsides
Figures dance around and around
To drums that pulse out echoes of darkness
And moving to the pagan sound.

Standing on the bridge that crosses
The river that goes out to the sea
The sound is full of a thousand voices
They pass by the bridge and me.

万霊節の夜

うねりる丘を点々とかがり火が彩る
影が踊る、異教の楽にあわせて、
闇をどよもす太鼓に合わせて…


記憶の片隅で、藁とかがり火の香りのする
幻が目の前に浮かび上がり
朝になるまで踊り続ける


遠くの灯りが目に映る
夜の闇に揺れながら
万霊節の調べに乗って
ろうそくと灯籠が踊っている…

影の中でおぼろに撓んで見える唐黍の軸は
炎が高く燃え上がれば、黒々と伸び上がる
古い年の過ぎ去る印に、緑の騎士は
聖樹を掲げる

篝火がうねる丘を点々と彩る
影が踊る、踊る
闇の響きをうち鳴らす太鼓に合わせて、
異教の楽の音にあわせて動き回る

海へと続く川にかかる
橋に立てば
幾千の過去の声に充ち満ちた
不思議な音が橋と私を
通り過ぎる…



This piece was inspired by the imagery of a Japanese tradition which celebrated the souls of the departed by sending candle-lit lanterns out on waterways leading to the ocean, sometimes in little boats; along with the imagery of the Celtic All Souls Night celebrations, at which time huge bonfires were lit not only to make the new year, but to warm the souls of the departed.----------Loreena McKennitt

この曲は日本の伝統的な灯籠流し…ろうそくの灯った灯籠、時には小さな船を海へと続く水辺に流して亡くなった人の魂を慰め送る行事…と、ケルト民族の万霊節の夜のイメージを重ね合わせました。この祭りでは新しい年を迎えるとともに、亡くなった人の魂を暖めるために大きなかがり火が焚かれます──── ロリーナ・マッケニット

  
 Loreena McKennitt Website(公式サイト、日本語ページ)からmp3,wave等で試聴ができます---CD画像をクリック

<参考に>
 万聖節 (Halloween) 11月1日   万霊節(All Souls Day) 11月2日  ガイ・フォークス・デー(Guy Fawkes Day) 11月5日 

11月1日は万聖節といって、古代ケルト人たちの、新年にあたる日です。神聖で、良い精霊の力に満ちた日とされています。そして、さまよえる死者の魂を、供養する万霊節(11/2)の前夜祭でもあります。この夜には、人々はかがり火をたいて、ソウル・ケーキと呼ばれるバター・クッキーのようなお菓子を作ります。 子供たちは、ろうそくや灯籠を持ち、このソウル・ケーキや果物などをもらいに家々を回ります。以前はハロウィーンを中心にこうした習わしが1週間ちかくに渡っておこなわれていたのだそうです。

11月5日はガイ・フォークス・デーといって、これもお祭りの日です。
ガイ・フォークス(Guy Fawkes)は実在の人物で1605年当時の英国王ジェームズ1世を暗殺しようと国会議事堂の爆破を企てました。世に言う「火薬陰謀事件」ですが事前に計画がもれて爆破は未遂に終わりました。
英国ではハロウィーンよりも11月5日のガイ・フォークス・デーの方が盛大なお祭りになっています。
 10月も末になると、子供たちは古着やワラで作ったガイ・フォークスの人形をを小さな引き車に乗せ、"A penny for the Guy" と言いながら、花火を買うお金を集めて回ります。そして人形を焚き火で燃やして花火を楽しみます。
* ガイ・フォークス・デーについては ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(Dianna Wynne Jones)の「魔法使いはだれだ」(Witch Week)に詳しく述べられています。
 ハロウィーンについて、もう少し 

ハロウィーンは、昔の異教徒ケルト族の暦では、一年のしめくくりとなります。また、十月の終わりは、夏の終わり、サムヘイン(Samhein)と呼ばれています。そこでこの祭日は、メイ・デイと六月のミッドサマー・イブに行われる大かがり火や、ごちそうやゲームをもう一度楽しむ最後の時でもあります。
トゥエルフス・ナイトの聖ジョージ劇の上演が春の訪れを予告するように、ハロウィーンも同じく、冬の訪れへの幕開けとなるのです。十月は幽霊や精霊、魔女、そして超自然的な存在が最も力強くなり、しかも一番寂しい思いをしていると思われる時期です。ハロウィーンの占いは、他のすべての祭日を一緒にした場合よりももっとたくさんの質問を、愛や人生について精霊に問いかけるのです。というのも、十月における超自然的な存在は、異教徒信仰と同様、キリスト教の伝統的な信仰の中でも重要なものだからでした。

ハロウィーンは、オール・ハローズまたは、オール・セイント・デイ(万聖節)の前夜にあたります。この十一月一日の教会の祝日は、すべてのキリスト教の聖人を礼拝します。その翌日の十一月二日の万霊節(All Souls Day)では、煉獄と呼ばれる特別待機の場所に魂が末だ残っている死者すべてのために祈りが捧げられます。
中世のハロウィーンのお祭りでは、異教徒のサムヘインの風習と、キリスト教の聖人たちの祭りとが美しく結びついています。仮面をかぶった子供たちは、歌いながら、さまよえる霊魂たちのために、ソウル・ケーキ(Soue cakes)を乞いながら、戸口から戸口へとたずね歩くのです。これをソウリング(souling)と呼びます。ごちそうが何も差し出されないと、物乞い人や霊たちは、いたずらをします。このように、ハロウィーンは、すでに行った過去の楽しいことの繰り返しでもあるのです。とは言っても、主賓席にすわるはなやかなクリスピン王のように、思いがけないこともあることはあるのです。

『ヨーッパの祝祭典』より。 (マドレーヌ・P・コズマン著 加藤恭子・山田敏子訳 原書房発行 1986/12/24初版)
 イギリスのクリスマスサー・ガウェインと緑の騎士について 

中世ロマンス文学の傑作『ガウェインと緑の騎士』(Sir Gawain and the Green Knight)は、アーサー王の宮廷のクリスマスの響宴から始まります。馬に乗った全身緑色の不思議な騎士が闖入し、アーサーと円卓の騎士たちに、首切りのクリスマス・ゲームを挑むのです。試合を受けて立つのがサー・ガウェインで、一年後に緑の騎士から斧の一撃を甘受することを約束します。
緑の馬、緑のチャペル、緑の帯と、物語は一貫して自然界を表す緑色を基調に、クリスマスに始まり次のクリスマスで一年を一巡して終わります。
イギリスのみならず欧米の人々の心の故里とされる伝説の王アーサーは、ケルト民族の王といわれています。ケルトにとって緑は、聖なる森、そしてさらには永遠の生命の象徴であったのです。

指輪物語の作者であるJ.R.R..トールキンが13世紀に書かれた現存するただ1巻の写本を現代英語に翻訳したのが「サー・ガウェインと緑の騎士」です。イギリスでもう一つ有名なトマス・マロリーの「アーサー王の死」がアーサー伝説の様々な物語の集大成で叙事詩的な勇壮さを持つのに対し「ガウェイン……」は計算された構成、登場人物の心理描写、そして当時の宮廷作法と騎士道の理念の実戦と、それにキリスト教倫理を結びつけ、結局高貴な魂が神の恩寵を求め、人倫に背かず、しかも命を全うする、という円満解決の形を持っているのです。

さて、「緑の騎士」についてもう少し詳しく書きましょう。前述のように
、舞台はアーサー王のクリスマスの祝宴の席上、そこに「緑の騎士」が騎馬で現れます。大男ではあっても優美、身に纏う豪華な外套、頭巾、腰帯の金具も馬の鞍も緑、髪も身体も馬も全て緑色をしています。その様子は、一切の兜、鎖かたびら、胸当て、鉄の胴着などの一切の武具を身につけず、盾も槍もっていない、ただ片手に 
"他の木々の葉がすっかり枯れ落ちた時にこそ緑々としげるヒイラギの枝があった。そしてもう一方にの手には、戦斧を持っていた" (J.R..R.トールキン著サー・ガウェインと緑の騎士、山本史郎訳、原書房)

斧の一撃を互いに受け合って剛勇を競うクリスマスの遊びを提案するものの、受ける者がいません。これを恥辱と受け取ったアーサー王が自ら挑戦を受けようとするのですが、その直前にガウェインが受けて立ちます。初めにサー・ガウェインが緑の騎士の首目がけて斧を振り下ろすと、首はころりと落ちます、しかし騎士は落ちた首を拾うとからから笑って一年後の新年(クリスマス)に、今度は自分の一撃を避けずに受けること、しかもそのために自分の居所、「緑の礼拝堂」を探し当ててやってくることを約束させて去っていきます。

こうして一年が過ぎる頃、サー・ガウェインはアーサー王に別れを告げ、騎士としての誓約を守るために緑の騎士を捜す旅に出るのです。旅の途中に誠意ある裕福な騎士の城に逗留し、その奥方から言い寄られるものの婦人に恥をかかせず、しかも主人の騎士を裏切らぬようにガウェインは敬虔なキリスト教徒の姿勢を示し、最後に緑の騎士と相まみえて約束の一撃を受け(その間には緑の騎士の正体や、ただ一つの裏切り行為について紆余曲折があるが)命長らえ、自ら裏切りを戒めるために生涯よすがとなる帯を身から放さないことを誓って物語は大団円を迎えます。

現代でも、緑はクリスマスのシンボルカラーとして、キリストの血を表わす赤、希望を表わす金銀とともに、さまざまなクリスマス飾りに用いられています。11月末、イギリスの町々の市場には、もみの木やヤドリギが並び、子供も大人も胸踊らせて、クリスマスの飾りつけを共に楽しみます。クリスマス・ツリー、キャンドル、ヤドリギ、聖歌、クリスマス・ディナー、そしてプレゼント、これらは今ではすっかりクリスマスの定番となっていますが、もともとはキリスト教ではなく、それぞれ異教の習慣を結びつけたものであったようです。
イギリス特有の「ヤドリギの下のキス」("the kissing under the mistletoe"、クリスマス飾りのヤドリギの下にいる女性にキスをしてもよいという習慣)のヤドリギ飾りも、もともとはケルトのドルイドや北欧の神話にみられたものでした。
万物が枯れ萎れる冬に枯れ枝の中に緑々と丸く枝を張る宿り木は、生命の象徴であり、不可思議な神の力の宿るものと考えられたのでした。

『ガウェインと緑の騎士』をはじめとするアーサー王ロマンスが、ケルトの異教の王とキリスト教精神を結びつけたように、人々は皆がクリスマスを楽しめるよう、さまざまに異なった異教の習慣をもとり入れてきました。
緯度の高いイギリスでは、11月になると午後3時にはもう日が暮れてしまいます。長く厳しい寒さのイギリスの冬、クリスマスは、宗教行事であると同時に、やがて冬は去り、明るい季節がやって来るという希望と心の張りを、人々に与えてくれるお祭りでもあるのです。


 勇者の剣 "Sword of the Valiant" 

1982年 イギリス 101分
スティーヴン・ウィークス監督 マイルズ・オキーフ シリル・クレア レイ・ローソン ショーン・コネリー トレヴァー・ハワード ピーター・カッシング ロナルド・レイシー リラ・ケドロワ ジョン・リス・デイヴィス
アーサー王ロマンスの中の円卓の騎士ガウェインと緑の騎士のエピソードを扱った冒険活劇。緑の騎士をショーン・コネリーが演じている。顔も体も緑色、半裸で毛深い胸をはだけ、牡鹿の枝角のある兜を被り、威厳のある声で威厳のある台詞を話す。ケルトの森の大神、ケルヌノスをイメージしたものと思われる。

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