十六王子
(じゅうろくおうじ
) 関連語句 大通智勝仏。釈迦牟尼仏
『法華経』化城喩品第七に説かれる三千塵点劫の昔に出現した大通智勝仏の出家前の十六人の王子のこと。同品によると、十六王子は父王の出家・成道を聞いて説法を請い、それに応じて父王の大通智勝仏が説いた四諦・十二因縁の法を聴聞して出家し、さらなる大法を求めた。これに対して仏は『法華経』を説いて禅定に入り、それを知った十六沙弥はそれぞれに『法華経』を説いて衆生を教化した。後に八万四千劫の禅定を終えた仏は十六沙弥を讃歎し、その未来成仏を保証した。十六王子の国名と仏名は次の通り。東方世界の阿と須弥頂、東南方世界の師子音と師子相、南方世界の虚空住と常滅、西南方世界の帝相と梵相、西方世界の阿弥陀と度一切世間苦悩、西北方世界の多摩羅跋栴檀香神通と須弥相、北方世界の雲自在と雲自在王、東北方世界の壊一切世間怖畏と釈迦牟尼仏。この第十六番目の釈尊が娑婆世界で成道し、それ以来の三千塵点劫の間、衆生との深縁があると説かれる。『一代五時鶏図』〔34680〕などに記されている。 |