第8集 美山の地




第2章 台風12号

   台風12号

大型の台風日本で足踏みしあちらこちらで大雨被害

2,3日で1800ミリの降雨あり大台ケ原の上北山村

十津川で2家族深夜流される妻が死亡で残りは不明

日があけて刻々増える被害者に半年前の東北を見る

瓦礫中重なり合いし乗用車まるで津波の映像のよう

離れども大雨注意の福井の地 警報あれば職員待機

   今年の稲刈り

台風で長雨続きぬかるみよ稲刈る前の我が家の田んぼ

週末の信用できぬ空模様 年休とって爺と稲刈り

八十の爺が操作のコンバイン 袋運びは息子の役目

積み上げるもみの重さは軽トラのタイヤのつぶれで計測をする

操作板たよりにひとりで火入れする 満杯なりのもみ乾燥機

火をつけてぐんぐん上る温度計あわてて棚のマニュアル探す

   半年過ぎて

原発の停止もとめる行動は 屋根に上げたる太陽パネル

津波から半年経てど変わらざる被害受けたる沿岸のまち

あまりにも巨大な津波の襲来に対策なくて復興できず

東北の心優しき人達も無策の政府にいら立ち隠さず

空白の東海沖の大地震ひと波来れば日本危うし

乱立の日本各地の原発も巨大津波は想定の外

ことあらば電力物資不足して望まざるとも自給自足か

   10年目

凋落のスタート切りし911アメリカすでにアメリカでなし

自国機をツインタワーにぶつけたり正気の沙汰とは思えぬ国よ

   デッキブラシ

ベランダで還暦隊が苔おとし雨降り待ってデッキブラシで

美山来てあれこれ作業したけれどデッキブラシは雨の思い出

若き日に軍艦乗りし我が父の甲板掃除を連想したり

   秋の3連休

妻連れて琵琶湖のほとりで昼寝するレジアス乗った連休初日

好天で客があふれる道の駅鯉の煮付けに目が離れない

アルデオで九頭竜走って奥美濃へ緑いっぱい連休中日

せせらぎの街道沿いの道の駅塩焼きアマゴに舌づつみ打つ

割り安の野菜が並ぶ道の駅煮物にしたく財布が緩む

バイクには快適道路のせせらぎも妻の午睡を気にして走る

キャンパーで北へ走った最終日潮風目当てに海辺に向かう

内灘の砂地へ停めてタープだし波音聞きつつコーヒーを飲む

金沢の道路事情の素晴らしさ複数走る8号の道

道沿いに新鋭工場建ち並ぶうらやましいが小松の力

これだけの贅沢できる日々はなし妻とクルマと天気恵まれ

妻連れて西に東に駆け回る秋の連休満足の日々

   大掃除

取り壊す古き自宅の大掃除やれどもやれども始末終わらず

一人では長くは居れぬ古き屋に久方ぶりに家族が集う

半世紀思い出詰まる古屋敷父は片付けられずいる

苦労して祖父母揃えし椀に皿使わなくても棚へと戻す

我が家のアイデンティティが詰まる土蔵古き物とて安易に捨てれず

買ったとき高かったはずと父は言う となりに居ると始末進まず

掃き出せど次から次へと現れるねずみの糞と闘い続く

多感な日自分が過ごした二階部屋敷居拭きつつ感謝の気持ち

手や足は始末作業にふさがれど頭の中はタイムスリップ

教科書や古き雑誌を縛りつつ座りし母と思い出話し

一日に二部屋限度の大掃除連休足らずに年休を取る

   十一月の美山

合併で使わぬ議場持て余す糸目をつけぬ作りなれども

久方の小春日和の美山の地厳しき冬の支度が進む

国挙げて議論が進むTPP自家消費なら何も変わらず

本庁を離れ美山に六ヶ月山の空気が体に馴染む

洪水や寒波多発の世界だが不思議に安泰我が身の回り

   太陽パネル

原発の世話にならぬとパネル付け自分ひとりでほくそ笑む日々

大屋根に広がるパネルの隅々に10年来の思いがつまる

10年の思い入りたる太陽パネル 屋根載せ作業はたった一日

チーム内女性が混じる屋根の上白い着衣が青空に映ゆ

朝7時発電できる力あり売電まだも期待広がる

   解体作業

あちこちに思いが残る家具調度これが最後とカメラに残す

瓦剥ぎ板丸出しの屋根見れば凛々しき姿の面影もなし

連日の予報裏切る晴天で壊しもパネルも作業が進む

重機来て一日足らずで取り壊す熱き思いも一瞬のうち

恐竜が我が敷地にて暴れたりショベルの腕が屋根食いちぎる

足悪き我が母部屋から出ずに居る 家の最期は見たくはないと

退職後我が手で壊す計画もリスク高くて現実は無理

ひと夏をかけても自分の技量では柱倒せず瓦も危険 

重機借りダンプ2台に人扶賃 支払う額も納得がいく

   12月の売電

発電の兆し始まる朝7時青いランプが期待抱かす

晩秋の福井の空の恨めしさ曇りばかりで発電進まず

晴天の12時近くの発電も冬の太陽馬力上らず

晴れた日の楽しみひとつ増えにけり夜にチェックの発電グラフ

冬空の発電量を嘆くより電気を消して消費を減らす


   父の事故

我が父も事故の相手も八十路過ぎ息子同士で始末が進む

14年経ちしクルマの情けなし全損事故でも修理費が出ず

両親の身代わりなりしプレミオよ1万円で引き取られ行く

真っ白い世界のカローラ家に来て親の生活守ってくれる 

   母の心臓手術

昔ならバイパス通す大手術カテーテルなら母でもやれる

心臓の2回の手術済む日まで薄氷を踏む気分が続く

日本の老人医療のありがたし高額医療も負担少なく

心臓の血管通りし母の顔ピンクの肌が安心誘う

腎臓に高血圧に高血糖まだまだあるよ母の病名

   孫の水疱瘡

我妻と息子夫婦とこの俺が疱瘡の孫日替わりに看る

それぞれに個性生かして孫を看る爺はクルマで連れ回すだけ

気難し孫といえども幼児なり1日過ごせば勝手がわかる

興味引く場所やものにて勝負する爺の子守りの秘密兵器よ

車内にてオムツを替える大仕事見られたくなくカーテン閉める

親ほどは気ままがいえぬ孫なりて帰りし親に飛び込んでいく


   吾が庵

解体の屋敷のあとに更地でき思いもかけず菜園得たり

突然に手に入りたる吾がいおり老後の趣味にぴったりの家

工作に絵画を描いて畑する古き屋敷に夢広がりし

いおりとは歌人が住まう家なりし吾も一応歌は詠むけど

   クリスマス寒波

列島を寒波襲いしクリスマス 山も田圃も一色になる

この時期に土蔵の壁の外仕事風雪続きて作業進まず

作業用テント張りたる蔵の前寒さもあるが積雪心配

冷凍の庫内に張り付く厚氷ホースの水ではなかなか消えず

平穏なクリスマスイブ迎えたり重なる物事片付け終えて

夏からの不安要素のバッテリー大雪降って慌てて換える

ナホトカの油流出浮かびたり年に2回の換気扇掃除

集落をひとつ越すたび増していく芦見の谷の屋根の積雪

芦見奥一人住まいの老婆宅軒の垂木の太さに驚く

一人にて老婆住みたる四ツ屋根の表札見れば家族が並ぶ

波打って風雪襲う家並みに冬の美山を安易に語れず

第3章 薪ストーブへ

短歌の世界へ戻る