第8集 美山の地





  第3章 薪ストーブ

   薪ストーブ

量販の店で見つけたストーブは鋳物製にて本格気分

ミニマムの機能持ちたる入門機遊びで使うにゃ十分十分

児のように本格設置を待ちきれず作業小屋にて試し運転

新聞紙丸めた上に小枝置くむかし覚えた点火作業よ

ストーブの火付きの良さに驚きぬ炎も熱も異次元ゾーン

薪燃える煙のにおいも久しぶり農機具あっても山小屋気分

天板でコーヒー沸かして悦に入る世界でひとつのマイ喫茶店

1束が5百円でも割にあう炎とすごす至福の時間

安価にて機能も劣るストーブがスローライフの牽引車なり

   ミニキッチン

ステンにて本格仕様の調理台コンロ載せればミニ台所

包丁やなべ釜入れる調理台中央構えて数役こなす

京都にて娘使いし食器棚吾が庵にて息吹き返す

脱衣場で使い古した手洗いが新しき屋のシンクに変わる

湯を沸かしカップ麺やらコーヒーでひとときすごす秘密の基地なり

   薪ストーブその2

小遣いの範囲で買ったミニストーブ自給自足の生活備え

初めての鋳物製なるストーブは火付きも良いし熱ここち良し

鋳物でも55キロの重さゆえあちこち動かし自由に焚ける

廉価ゆえクリーンバーンも触媒も何もないけど元気に燃える

   石拾い

わが家の解体跡の新地にて一心不乱に小石を拾う

鍬入ればカチンとあたる石見つけ顔も上げずに縁放り投げ

庭石に使える石がごろごろと土の中から顔を出したり 

70年前埋められし物が顔を出すまるで我が家の発掘現場

地中にて埋もれ待ちたる古物たち多市の時代を静かに語る

1日に1坪進めば御の字で週末だけなら1年かかる

運動と思えばこれも楽しけれ終えたる晩の酒また美味し

   菜園作り

菜園もまずは畑の土作り 籾殻入れるか堆肥にするか

春なればまずは葉物で試し蒔き育ちのほどは予想が付かぬ

親父から離れ自分の畑持つ還暦前の男のロマン

外壁を新調したる土蔵よこ作業するにも満足気分

   父のカローラ

リッターで21キロ走りきるカローラあればプリウス要らぬ

それなりに癒やし得られる室内が老いた我が身をやさしく包む

燃費には貢献するもその車体1トン余りで軽さ否めず

何にでもそれなり使えるカローラはエコの時代のベース車両か

   最近の旅車

物事が余りに多き一年でメンテ怠る我が車かな

気が付けば空っぽなりしサブ電池充電兼ねて琵琶湖を周る

3年も雨ざらしなり我が車定年過ぎまで保たせにゃいかぬ

   雪の美山

冬時期の降りっぷりの見事さよ窓枠すべてがホワイトアウト

いつまでも雪降り止まぬ美山の地 人も車も雪に埋もれて

晴れ間なり雪付く樹林の美しき遠き長野のゲレンデを見る

ヤンマーの除雪機械のたくましき黒煙吐いて雪塊飛ばす

福井では滅多に見れぬ軽き雪機械で飛ばせば空中を舞う

地元人スコップひとつで雪下ろし見る見るうちに屋根雪減らす

   ドックの結果

昨秋の物事続きの毎日で齢もありてか血圧下がらず

ドックにて前立腺に黄信号この歳なるといろいろ出るぜ

その姿妊婦さんの検査なり前立腺のエコー撮影

同僚に先輩面をされにけり前立腺の結果話せば

毎日の薬入れたるカレンダー枕の上に吊り下げられる

   プリンターの買い替え

電源が入りにくいしミス多いキャノンの名機も古さに勝てず

わが趣味の冊子作りの主役者両刷りできずじゃ仕事にならぬ

ふと寄りしケーズ電器で品定め信頼なくも安さに負ける

信頼も過剰な進化で道はずすインク変わりて在庫使えず

無線でのスマートフォンの印刷は端末なくて試されもせず

ありがたく周辺ソフトを導入も過剰な進化で勝手が落ちる

世界にて信頼得たるHP製次の買い替え候補に入れる

   ご不幸

親鸞の教え学びし毎日もこの世に生きる身体ままならず

残されし気丈な妻の姿には誰の目にも深き悲しみ

大粒の涙が光る通夜の席 学業終えし甥の瞳に

   新年の画伯

新年の年号はいる絵が並ぶ100歳画家はまだまだ元気

施設にて食や洗濯ひとまかせ朝から晩まで絵画三昧

世の中に役立ちたいの一心が老いし画伯の絵筆動かす

暖房の設定低い画伯宅 玄関出れど寒さ感じず

   週末の雪下ろし

週末は息子ひとりで雪下ろし予報に並ぶ雪ダルマ見て

何処にて腰痛めたか老父は朝からコタツを離れずにいる

屋根下りて牛乳飲んで小休憩聞けば年寄り温泉出かけ

   60路

吾が家の玄関先の自家用車ところ狭しと並ぶ幸せ

老親に息子夫婦に孫のこと気に掛かること多かりし日々

気が付けば定年間近の60路孫の迎えが日課となりし

体力も知力もすべて下り坂退職あとに夢を託して

   古レジ 

吾がレジのキッチンハッチにダイニング簡易ベッドはまるでキャンパー

停め置きて昼飯作り本を読む景色良ければ別荘気分

海べりや初夏の木陰や雪景色このレジあればどこも別荘

見かけほど大きくなくて5ナンバーヴィッツ通ればレジアス行ける

シンプルで無骨な形はメスセデス年月経れば風格が増す

信頼と高出力のディーゼルはコスト掛りて今では無理か

雪道も荒れた天気の高速もリアルタイムの四駆が光る

縁ありて手元に来たる古レジは吾が人生の相棒となる

   公民館の除雪

除雪機で腰までの雪跳ね飛ばす公民館の行事備えて

寒波にてしっかり積もった雪厚く片道行くのに約半時間

高馬力100人力のディーゼルも雪塊重く黒煙を吐く

小休止肩から冷えた身体には甘き最中と熱きお茶かな

今回の寒波しぶとく居座りて飛ばした次の日また雪が降る

   爺じの子守り

夜中から吐き戻したる家の孫爺じが休んで一日子守り

牛乳に菓子少し摂り安心も時間を空けず吐き戻したり

汚れたるズボンに上着は交換よ息子ら用意の着替え使って

疲れ出て爺じの肩で寝入りたり朝から寝るのは寝てない証拠

心配で言葉途切れぬ父と母返答だけで疲れが溜まる

小児科に自分の内科の通院日孫と二人でお医者を周る

内科医の「上着脱いで」の言葉には孫も一緒に上着脱ぎたり

自販機で孫が選びし梅ジュース大人の味にて中々減らぬ

落ち着いて元気出てきた夕方は爺じ自らご飯の支度

   2台のテレビ

居間にあるブラウン管の古テレビリモコン利かずに買い替えの時期

松下のテレビ事業の大赤字ニュースで知りて買うなら今と

録画でき機能豊富な32型四万足らずはありえぬ話

おまけにと24型を買い足して満悦気分で昼飯を食う

定評の画面さすがの松下もコストダウンが見え隠れする

   神様のプレゼント

我が家にて18年目のシロ君が願いむなしく力尽きたり

シロ君の致命傷なる歯周病食事が摂れず体力落とす

二日前隣の車庫へのお散歩がシロにとっての最後の勇姿

吾が家の住人なりしシロ君はことあるごとに家族を癒し

タバコ屋で息子ら拾いし白い猫神様くれたプレゼントなり




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