第3章 娘のこと

    娘のこと

遠隔の保険証が手元来て速達使いその日に送る

母子にて買い求めたるベッド見る送られ来たるメールの画像で

荷物だと置いて来たる寝袋を 彼氏使うと心配する妻

   父と田んぼ

苦労して祖父は田んぼを手で起こす時代進みて父から機械

機械化が世代交代早めたり五十で祖父は見守り専門

耕運機動かす父は三十代、祖父は周りであぜ作るだけ

八十を超えたる父を支えしは若き日覚えた機械にプライド

何事も人に習わず独力で生きてきた父教えるのは下手

   父のため息

朝からもため息多し家の父お天気さえもため息のたね

話好き家族や世間の話題でも父が話せば最後はため息

若き日に母を亡くした父なれば母に愚痴する機会もなかりし

歳とりて溜まりし愚痴が湧き出たり。父のため息聞くたび想う

   魚津水族館

ネットでは駐車場なしの情報も周り公園Pだらけなり

小規模で施設も古い魚津館チケット買うも期待は持てず

魚には経費かけない方針か地元で獲れた魚が泳ぐ

目の前を良型のブリ迫り来る刺身がいいか煮つけが良いか

暗室で専用展示のホタルイカ凝らして見るが影さえ見えず

清流のオイカワ、ウグイが展示され脳裏浮かぶは少年の頃

アザラシが寝そべり客の品定め 桜の季節ののどかな姿

一回りすれば富山の海わかる派手さなくても目的果たす

大都市の水族館ほど人居ぬがこれはこれで勉強になる

地方には地方のやり方あっていい不足はあれど魅力ある館

   水族館2

豊満な美女の人魚が出迎えて広場和らぐ魚津の館

工房も女性の像は多けれど人魚不慣れで尾びれ不自然

看板のコーンラーメン、親子丼 中身見ずとも程度がわかる

もう少し努力の欲しいレストランせっかく子らが夢持ち来るに

土産店バリやハワイの品並ぶ。異国味わえその場離れず

高速でいつも見えたる観覧車ここにあるとは来るまで知らず

公立か小さな小さな遊園地、客が来るまで観車回らず

   島根路

連休で田植え済まして島根行く渋滞あるが高速に乗る

朝一〇時荷物詰め込み福井でて1日かけて松江へ向かう

今回の目玉であった但馬道京と山陰結びし要路

山里の昔ながらの田舎道キャンパー転がしほのぼの走る  

小浜から丹波但馬と通り抜け鳥取着きしは夕方6時

混んでいる情報ありて迂回路を走ったつもりが砂丘ど真ん中

道沿いの砂の芸術眺めつつ観光気分で渋滞抜ける

道沿いのステーキハウス飛び込みてワインで祝う妻のバースデイ

頼み込み駐車場にて一泊す。酒飲み過ぎてそのまま寝入る

二人分4千円は安いもの食事付きの宿泊代なら

おどろきし白兎海岸道の駅キャンパーばかり10数台

   部屋の話

ベッド置きソファーを入れたマンションは娘が住まう勉学の基地

明るくてピンクと白で統一し まるで何処かの姫様の部屋

   居酒屋で

正門の近くに構える居酒屋は手頃な値段のメニューが並ぶ

京都では凝りたる店は多けれど普通に入れる店は少なし

せっかくの自慢の造りわさびなく店員あわてて小皿で持ち来る

生ビールあとでみつけし樽見れば今が流行の第3ビール

店長の今日のお勧め手羽先はカラリと揚がって舌よろこばす

京ほどの高級感は得ぬ店もそれなり食べてそれなり満足

   ネットブック

文書打ちネットが出来て「小さいの」これってネットブックが欲しいこと?

目的の100満ボルト行く途中近くでいいかとベスト電器に 

レジの前ずらりと並ぶ製品はどれも安くて魅力を放つ

展示品少し触って選びしは白くてかわいい娘の好み

気に入りてドライブ付けてソフト入れ総額見れば想定のうち

   荒神谷遺跡

銅剣が300埋もれる荒神谷、神代の時代を現実にする

偶然か出雲の支配者オオクニヌシ、八千矛の神の異名を持ちて

先生のOBらしきボランティア発掘現場を熱心に説く

地元では荒神さまを奉る谷、白米つなぎ蛇に見立てる

国からの豊富な資金で整備され荒神谷の史跡公園

ハスの茶をいただきながら遺跡谷、古代の出来事垣間に見たり

山陰は遺跡や伝承数あれど人少なくて研究すすまず

  キャンパー

山道も下道ならば不満なく楽しみながら鳥取へ抜け

案外に登りの多い米子道、一本道ゆえ大名行列

70が平均速度のキャンパーは福井着くにも2時間遅れ

下道を走った往路は満足も高速飛ばした復路に疲れ




第4章 こいのぼりへ

短歌の世界へ戻る