第2章 所帯道具

   所帯道具

4年前あれこれ道具揃えるも今度はそれを解体作業

冷蔵庫ベッドにテレビ洗濯機どうして運ぼこれらの荷物

7時間車でかかる松江市は 手軽に運べる距離ではなくて

学部終え行き先決まらぬ娘では何をするにも予定が立たず

追いコンにスノーボードに飲み会と試験おわりて多忙な娘

一つずつ分解しては持ち帰る。所帯道具も数が多くて

   島大その1

後期にてやっと受かりし島根大遠き松江へホテルを予約

その朝に本人熱でて大慌て親二人でも行かねばならぬ

京都から名神中国米子道5時間かかって松江に入る

宍道湖に面した古き城下町遠く離れど故郷に似たり

新設で誇れる歴史持たねどもやることはやる地方大学

国立で4学部もつ島根大環境良くて集中できる

説明は画像があれば一番とデジカメ繰ってあれこれ収め

大学の食堂一杯広げたる生協斡旋マンション情報 

生協のバイトの学生説明もプロではなくて要領が得ず

   島大その2

正門のすぐ前にある不動産おばちゃん一人留守番したる

おばちゃんと近くの物件見て廻るネットで見ても実物は別

やけくそでネットで予約の安ホテル行けば立派な公共の宿

25で懐石料理フルコース酒も美味くてほろ酔い松江

縁ありて一晩過ごした「むらくも」は松江で見つけた珠玉のホテル

新装で部屋は広くて飯も良い満足いって「次もここだな」

朝一に生協行くも時間待ち気分乗らずに不動産屋へ

昨日の最後の物件気に入りてほとんど迷わず契約サイン

大学の下見が出来て宿決めるこれで目的達成したり

遠路にて早めに松江離れたりシジミを買って京都へ向かう

引越しは「業者にまかせ」と母が言う案外それが一番だったり

最近は単身パックがあるという預けた荷物が入居日届く

家族にて荷物運ぶにゃ遠すぎる京都に福井そして松江に

奇遇なり松江の藩主直政公秀康公の三男坊なり

直政は大野城にて初藩主松本城経て松江の藩主

   卒業式

眠られず朝の7時に福井でる娘の式をこの目で見んと

病院のいつもの場所に停められず 聖護院からタクシーに乗る

場所知らず「みやこメッセ」とタクシーに、卒業式への5人目の客

見事なり着物やスーツ着飾りて数千人の学生集う

壇上に上がりてもらう卒業の証書手にする学部の首席

総長の言葉の中に感じたる京大ゆえの強きプライド

式済みて二人で見つめる舞台跡5年の苦労思い浮かべり

舞台前記念写真を撮る親子、何処にいるのか分からぬ娘

舞台にて半裸で踊る学生に京都帝大の名残を見たり

それほどに値打ちがあると思えぬが京大グッズ買いあさる吾

   卒業式2

寒き中クスノキ前で声上げる薄き衣装の応援ガール

背景を時計台とクスノキで娘撮るのは贅沢極み

大学の正門前でむすめ撮る入学式では撮れずじまいの

雨の中赤き着物が目に残る今日の月日は最高の日に

入学もうれしい気持ちありけれど今日の気持ちは格別のもの

   最後の夜

業者来て単身パック詰め込むも娘となりでシャワーを浴びる

親二人残り物での晩御飯、娘クラスの飲み会出かけ

親二人式や荷物で疲れ果て8時前には横になりたる

片付けて何もない部屋寝袋も体育館で寝ているようだ

娘にと寝袋広げ枕置くも戻りし時間は朝の6時よ

結局は親の役目はこんなもの娘と思えば腹も立たずに

時間なく顔も洗わず荷物出し雨降る中を車に運ぶ

家主出す特選お茶にくつろぎぬ。すべて片付け部屋渡すとき

3時間かけて福井に駆け戻り午後の仕事に夜の幹事に

引越しの疲れ残りし週末は娘が居れど気持ち途切れる

 レジアス再び

もう一度夢を見させてもらおうか、一度は離したレジアス君に

ランクルと同じエンジン持つ奴をそう簡単に手放すものか

新車時は300超したるその価格長く乗らねばバチが当たるぜ

それなりにメンテの費用はかかるはずわかっているが持ちたい気持ち

9万じゃまだまだ新車の香りする、本格的な付き合いこれから

不注意で息子側面傷つける。それがかえって気楽に乗れて

勉学のむすめ島根にいるうちは長距離走るレジアスが要る

アルデオも悪くはないが飽きてきた。どうせ乗るならレジアスに乗る

アルデオもあと数年はいけるけど長距離だけは不安が残る

エンジンも車体の艶も新車並み、これを乗らなきゃうそになるはず

   ありがとうかなアルデオ

オデッセイ使って残る空虚感、家族になりしアルデオ癒す

ショック換え燃料ポンプ新調しここまで来たが限界も見ゆ

カラカラとエンジン音の寂しさよ、オイル管理をミスした結果

排ガスが規制通らず部品換えやっと通りし5回目車検

直噴で負担の多きエンジンは朝のスタート白煙を噴く

特長の自在に開くリアガラス、ダンパー壊れて開かずのガラス

シビックとカペラ共に8万キロ、いつの間にやらアルデオその倍

世の中の無常の心ここにある。名車なれどもいつかは別れ

心地よいロングセラーの味わいを買ったときからアルは持ちたる

人生で出会いし車多けれどアルほど使える車は他に見ず

   はるか松江へ

朝7時荷物積み込み家を出る。京都と違い着くのは3時

米子道入れば気持ちは山陰に、トンネル越せば雪山も見ゆ

パーキング降りれば迎える大山に、誰ともはなくカメラを向ける

県庁がなくても栄える米子市は山陰一の産業の都市

見覚えのある町並みを通り抜け娘待ちたるマンション向かう

愛着をすでに感じるこのまちに。1週間しか娘住まぬに 

   娘のマンション

南向き朝日も入る出窓あり、板張り調に心がおどる

予想越え広く明るいマンションに遠く離れた親も安心

マーケット、ホームセンター、薬屋と歩いて5分の距離なら便利

食堂や居酒屋多く住み易い。ここに比べりゃ京都は過疎地

パソコンを持ってきたけど繋がらぬ書類多くてかえって解らぬ

背に腹をかえられぬから電話する、娘のためなら今日は初心者

始末済み夜は近くの居酒屋へ、地方の店は安くて美味い

ビール飲み肉に刺身にデザートと大人三人これが一番

風呂広く湯船に浸かり寛ぎぬ京都じゃシャワーも手足つかえて

   松江城

宍道湖のほとりに構える松江城流れる水路をお堀に使う

堀尾氏が築城したる松江城戦いもなく四百年過ぎ

秀康の次男が継ぎし松江藩明治なるまで十代続く

城内に古きよろいや兜群城下町のプライドを見る

戦後すぐ解体修理行えど柱や梁は虫食いの跡

穏やかな春の日差しの天守閣妻と娘の写真撮りたる

春もやの中にかすかに島根大みつけ喜ぶ娘がうれし

城見上げ妻子とともに抹茶飲む老人クラブのボランティア店

お茶受けの手作りしたる桜餅、歴史重ねた松江の味する

あちこちにシート広げて仲間待つ人の姿も花見の景色

古き良き時代が残る松江市に親子三人心が和む

   おさな児

寝返りをやっと覚えしおさな児もひと月経たずに部屋這い回る

風呂あがりかゆみの薬塗りまくる、嫌がる子どもミルクでごまかし

大ばあもついていけない素早さはいつの間にやら子どもの動き

ぎこちない手足の動きなくなりて息子の肩でバイバイをする

母の手で爆睡してる入園式。泣く子も居るはずこの児大物

おもちゃより動く子どもに興味持ち近づき寄ってなぶりだすらし

初めての入園式や保育の日、夜のひと時ぐずがるおさな児

   出雲の鉄

安来とはスサノウ尊訪れて「ここは安らぐ」といったが由来

安来節で有名なれど江戸の世は日本一なる製鉄の町

伝統の「たたら製鉄」支えしは中国山地の砂鉄と木炭

豊富なる鉄で作りた鎧武器、古代出雲の勢力のもと

スサノウが大蛇退治の剣にも出雲の鉄が使われたはず

   アルデオ再び

今回の荷物運びで用が済みレジアス離す決心できた

もともとが貨物車ゆえの振動は長距離走ると気になる一つ

キャンパーのミニマム要素持つけれどキング持つ身にそれほど要らぬ

通勤に足に使える車にはレジアスよりもアルデオが良し

自分的優しき気持ち維持できるアルデオやはり自分の車

島根まで本気で使う車には快適移動は大きな要素

   出雲の話題

熊野社といえば紀州が浮かぶけど出雲が先とは今まで知らず

特急といえども「やぐも」単線で「普通」来るまで待ち時間ある

全国の天気の画面よく見ると福井の下に松江が出てる

距離あれど松江の天気福井似て北陸人の呼吸に合いたり

著名なる庭や和菓子は京に似る、辺地ゆえにて京に憧る

勤勉で実直気質松江人これも福井に良く似た気質

   車のない生活

足るを知り満足のいくわが身なり 車なしでも文句は言えまい

望むなら娘住みたる松江へ行く 車一台残しておきたし

   ベージュのシート

流行のスカイライン手に入れる内装ブルーで気持ちもブルー

シビックで明るい内装感激し次も探すが灰色か黒

カペラ車は本格的なワゴンにて自在に使えど中は灰色

プレミオは典型的なセダンにて寛ぐはずだがシート青色

オデッセイファミリー層に人気だがなぜか内装みどりを選ぶ

アルデオは一目で気に入り手に入れた10年待ちしベージュのシート

アルデオのベージュの色に囲まれて 離さぬ覚悟を心に誓う

中古にて小さなマーチ手に入れた。これもベージュで6年付き合う

レジアスも丈夫で長持ちいい車、ただしシートは灰色なりし

落ち着いた塗装は何色かまわぬがベージュ以外は乗りたくはなし




第3章 娘のこと

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