四弘誓願  (しぐぜいがん ) 関連語句 衆生無辺誓願度煩悩無辺誓願断法門無尽誓願学無上菩提誓願証 。総願。四弘の異名 。僧那。

 四つの広大な誓いの意で、菩薩が初発心の時に起こす四種の誓願(衆生無辺誓願度・煩悩無辺誓願断・法門無尽誓願学・無上菩提誓願証)のこと。この上ない悟りに至ろうと誓う四つの大決心。略して四弘ともいい、すべての菩薩が起こすべき誓願なので総願ともいう。(1)衆生無辺誓願度はあらゆる衆生を救うと誓うこと。(2)煩悩無辺誓願断は一切の煩悩を断つと誓うこと。(3)法門無尽誓願学は仏の教えのすべてを学び取ると誓うこと。(4)無上菩提誓願証は仏道修行によって無上の悟りを得ると誓うこと。以上の四つの誓願は『心地観経』に原型が認められるが、智顗の『摩訶止観』等に至って整束された。『小乗大乗分別抄』〔18505〕に「第一衆生無辺誓願度の願成就せずば、第四の無上菩提誓願証の願は成すべからず」とあるように、宗祖は四つの内、第一の衆生無辺誓願度を特に重視した。ただし、四つの名称は経論によって異なり、上記の名称は真蹟現存の『四教名目』〔39740〕によった。(3)の法門無尽誓願学は『爾前二乗菩薩不作仏事』〔11771〕等では法門無尽誓願知、『御講聞書』〔37904〕等では法門無尽誓願智と表記されている。