5月15日(土)

ここ暫く愚図ついた天候が続いている。昨日の午後から晴れ上がってきたものの、今日の午後には下り坂の予報が出ている。ど〜やら、雨雲達の間隙を攻めるしかないようだ。
午前中の好天時に仕事を済ませ、午後よりFDFへ向かうことにした。既に、天候は下り坂である。高層雲が広がり、南風が強くなっている。昆虫採集としては、ナカナカ厳しい条件である。
今回のFDFでの狙いは、新芽にもぐりこんだコルリである。つまり、昨日と今日の好天におけるコルリの活動を見込んでの採集である。また、昆虫採集の極意の1つに『雨天時の一瞬の晴れ間と降雨直前の吸蜜活動は、爆発する。』がある。今日は、カミキリムシ連中が吸蜜活動を活発化させているはずだ。狙ってみましょう。
現地到着し、万事準備を整えてから登山道に入る。今日は、ヘッドライト持参である。もしもの時は、夜間降雨時の下山となる。谷間とはいえ、時折、強い風が吹く。

標高500mのはずだが、雪がある
<未だ雪>

登り始めてすぐ、午前中の仕事で頑張りすぎたのか、下半身がしんどいぞ。
途中、ルリマークを見つけるが無視・無視。
下山中のおじさん、おばさん達とすれ違うが、先を急ぐので無視・無視。
おっ、『キョロロ〜ン、キョロロ〜ン』、アカショウビンが啼いている。近いぞ、デジカメをスタンバイさせる。
赤い稲妻が左手より、右の林へ飛び去った。幸先宜しいようだ。
予想通り、花が咲いている。

この木は、この登山道での唯一の吸蜜ポイント
<満開で満席>

凄まじい数のムシ達が吸蜜活動をしている。スィーピングせずに、観察しながら弓で摘んでいく。けど、相当数を逃がしてしまう。

  

  確か君は、クロハナカミキリくんね

サカハチチョウ♀、翅が丸みを帯び、オレンジの帯が広い  これはトラフシジミ、ウツギの蕾で簡単に卵が見つかる、幼虫にツツジの赤い花弁を与えるとオモロイ事になる
<とりあえず皆さん吸蜜中>

ここは、昆虫採集で最もオイシイ場面なのだが、新芽コルリ目指して先を急ぐことにする。後ろ髪を惹かれる思いなのだが、下山時にはスィーピングしまひょ。
辛い登りが続く、とても辛い登りが続く、情けないけど死にそうだ。
ぼちぼち、尾根へ出る頃だ。新芽ルッキングを開始する。
けど、既に葉っぱ全開である。

???
<よくある光景だ>

コルリエリアの尾根に出たとたん、風速10mの世界だ。コリャ溜まりません、煽られないよう岩陰に隠れて行動食と水分を補給する。時刻は15:35、雲が急いで北東方向へカッ飛んでいく。ガスが掛かり始めたら即撤収、まだ2時間は採集が出来るか?
北斜面の風の当たらない、ブナの新芽を探索する為に移動を開始した。人影の無い1000mブナ林は、風の唸りの中で、チト不気味である。不吉なことを考えずに突入する。
さっきとは打って変わって、風の当たらない北斜面は穏やかなもんだ。静かで穏やかだ、さっきの荒れは何だったんだろうか?

雪多し北斜面、周りのブナの蕾は未だ固し
<雪上歩行>

ブッシュを掻い潜りながらブナの新芽を捜す。ブナ林のギャップ(オープンスペース)には、ブナの幼木があり、コルリが新芽にもぐりこんでいる筈だ。
雪田の周辺のブナを探るが、未だ硬い。
移動をかける。
手ごろな高さに芽が少ない。2〜3mのブナを中心にルッキングする。

今一な新芽状況
<開いているのもある>

去年訪れたWH01のブナ林は、理想的だった。
外道が少々飛び交う中、3m程の高さの梢にコルリを見つける。
慌てて、アルミポールとネットを取り出し組み立てる。
コルリは未だ梢を徘徊している。動いているほうが見つけやすくて助かるのだ。
そっとネットを小枝の隙間から、コルリの下ヘ潜り込ませて突付く。
コルリは、一瞬立ち止まり、フリーズする。
再び、突付くと自ら小ジャンプしてネットインである。
これを外したら、今までの苦労が水の泡。

一瞬ルリに見えたけどコルリ、擬死が続く
<やっと1ゲット>

グリーンが目立つ個体だな思う。曇りだからそう見えるのかもしれない。
辺りは明るいが、西斜面の所為だ。既に16:00を回っている。
そ〜いえば、初ギフも遅い時間帯だった。

こんな天気で〜採れたもんだ
<あと残り19を目指す>

1個体の採集は意味がある。
次の個体を念入りに探し始める。ここへ来てやたら外道が飛び始める。
外道を5〜6回ネットインする。残念だがぼちぼち限界だ。降雨の心配は無いが日没が近い。これからの下山に1時間30分は必要だ。
撤収!
ブナ林を脱出して登山道へ戻る。さっきより強風は勢いを増してきたようだ。こわ〜ぁ。
疲れは体の俊敏性を奪いつつある。登りはパワー、下りはテクニック、脱兎の如く下山を開始する。

ルリコガシラハネカクシ
<ブナの立ち枯れをチェック>

秋の材割の為に、ブナの立ち枯れをチェックする。
ついでに変なムシもチェックする。

  
<再び吸蜜ポイント> 

再び吸蜜ポイントへ差し掛かる。ここまで下山すれば安心だ。
さて、ゆっくりムシを採集しよう。
流石にチョウは来ていないが甲虫類は多い。
ネットを組み立て一気にスィーピングする。
これ位コルリが採れたらと思うくらいムシがてんこ盛りである。
殺虫管に入れるのが忙しい。吸虫管を買おうかと真剣に考えてしまうくらい忙しい。
スィーピングした小枝は、ルッキングでトドメを刺す。
こーやって、カミキリムシにハマルのね。ゾウムシも悪くないのだが?
殺虫管が満席だ。帰りまひょ。

採集結果
 キンキコルリクワガタ    1♂
 魅力的なムシ        いっぱい 

戻る