9月8日(日)
昨日の宇多田ヒカルさんの『わたし、嫁ぎました。』には、驚かされた。19歳の女の子とは思えないくらい生きる事に対する誠実さとひたむきさは、生理的な年齢を大きく越えていると感じずにはいられない。紛れもなくお目出度い事だ。そんな訳で、宇多田ヒカルⅡを聴きながら、一路、石川県のブナ林へヒメオオリベンジに向かう事にした。
先週の強風・熱風にたいし、今週は秋雨である。停滞前線が太平洋側に移動して、北陸地方の天候の回復が期待できるのだが、何せ1000m以上のブナ林が目的地であり、そうそう期待できないのである。予定地点にパサートを駐車する。小雨、一面ガスである。30分程度様子を伺うことにした。ガスが移動し始めている。谷間や稜線が見えてきたので、準備を始める。ローバーの登山ブーツを履き、キャップを被って、ゴアレインスーツを着込み、ゼフ竿を持ってコンビニパラソルをさす、おっとプロトレックを忘れてしまった。ヒメオオポイントは、ここから林道歩きで1時間先である。
小雨の中の林道歩きはゆ~つである。雨は時折激しくなり、また弱まる。おっ、何か飛んでいる。中型のカミキリムシの様にに見える。ゼフ竿で叩き落すと、なんとクワだった。
<コクワ♂じゃないか!>
コクワよ、何でこんな時間にこんな所を飛んでいるんだ?
<立派に威張っている>
いずれにしても、ボ~ズは免れた。更に、クワが活発に活動している事がわかり、今日のヒメオオはいけそうである。雨の影響はそんなに気にしなくても良いようだ(けど心配だ)。
コクワを即、リリースしてから、出来るだけ前向きな事を考えながら林道歩きが再び始まる。
ええっ、今度は何だ?
<死んでる>
力尽きて、天寿を全うしたミヤマ♂である。天敵に食われた残骸を頻繁に目にするのだが、今回は綺麗な体である。
<まずまずの型>
当然、これもリリースである。土に返っていただこう。これが一番である。何だか今回はクワ付いている。先週は、かすりもしなかったのに、今週は既に2つのクワを見てしまっている。嫌がうえにもヒメオオへに期待が膨らむ。それにしても天気が悪すぎるのだ。
遂に、ヒメオオポイントに到着する。このポイントは、去年1度だけ訪れた場所であり、マイギネス55mmが採れたのである。エリアは狭いのだがデカクて濃いのである。早速、去年のヤナギを見てみると付いている。去年と全く同じ場所に付いているのが笑えてしまう。
<黒い塊>
去年と全く同じ場所と作法で、ネットを枝の下に滑り込ませて、突付いてみる。難なくネットイン。
<あら、2♀♀だったのね>
いとも簡単に、今季初ヒメオオである。この頃になって、雨が上がり始めた。シメシメだ。
<威張る♂と逃げる♀>
ゆっくり、ゆっくりとヤナギをルッキングしていく。今日は日射量が乏しいので、奥まったところが暗くてよく見えないのである。
小ぶりな柳の幹に変な出っ張りがあり、動いている。ネットイン。
<小さいけどヒメオオ♀>
うんうん、実に幸先が宜しい。この雨の中でヒメオオはしっかり活動しているようだ。この調子だと、急がずゆっくりと時間を掛けた方がクワ発見の確率が高くなりそうである。ゆっくり歩きながら、ヤナギとヤマハンノキをじっくりルッキングする。
そのうち、こんな場所に出くわした。
<当にポイント>
右手にブナの立ち枯れがある。ヒメオオの発生木になるにはチト若いかもしれない感じである。さてゆっくり観察してみよう。
<何故か切られている>
さて、お馴染みのルリ<・>を探してみる。お約束通りありますね。
<程好い古さ>
ルリのこの時期は、幼虫である。無駄な材割りはぜず、なすがままである。
それとこっちは、『頭上注意』の看板である。頭上を注意してヒメオオが居たら、マジで大笑いである。
<侮れない看板>
さて、看板の横のヤナギの枝を見上げてみる。笑える、いるじゃないか。
<マジで笑える>
これまた、いとも簡単にネットイン。去年は、このヤナギにクワ付いていなかったのに、今年は付いている。
<看板ヒメオオ>
更に、隣りのヤナギにも怪しい影があるので、すくってみると、やっぱりクワだ。
<珍しくヒメオオエリアのアカアシくん>
これから先は、アカアシエリアのようだ。ヒメオオは姿を消し、アカアシのペアばかりが目に付くようになる。そーいえば、ブナの立ち枯れがない。
<アカアシペアリング>
アカアシばかりなので、昼食を摂る事にした。雨が上がり、薄日が差し始めている。ゆっくり休憩して、ヒメオオの御出勤のタイミングを見計らうことにする。去年は、このポイントで、55mmを採集している。流石に、同じ木には付いては居なかったが、諦めるのにはまだ早い。ヤナギをじっくり見定めながら帰ることにしよう。
おおっ! いるね、デカイ!
威張っているオオアゴがでかすぎる。一目で55mmクラスだと判別できる。
ただ、『デカイのに限ってこんな場所なんだよな~ぁ。』
急斜面に張り出した小枝の先端にデカイヤツがいる。手前にも障害物がある。
デジカメの撮影は止めにして、採集だけに集中する事にした。
足場が悪い急斜面だ、ローバーの登山ブーツが少々肥満したはれほれの体を支える。
自信なかったが、一気にネットを差し出し突付くとポロリ。
ナイスだ!
<暴れる55mm>
獰猛な55mmであります。前胸板のキズが戦歴を物語っている。この個体にこれだけのダメージを負わせる個体も55mmだろう。
ちなみに、去年の55mmヤナギと今年の55mmヤナギは55mと離れていない。ここは、55mmピンポイント?。
この後、♀を一気にリリースすることにした。立派な子どもを沢山生んでね。
<♀ばかり8匹>
さ~ぁ、帰りまひょ。又雨が降り始めた。ゆっくり帰りまひょ。慌てる必要はない。
林道歩きの途中で振り向いてみた。
<絶景かな>
とんでもない場所で、ヒメオオ採集していたと我ながら呆れてしまった。ヒメオオって、相当な場所じゃないと採集できないんでしょか?。東北に行けば、ちょっとした山にごっちゃり居そうなんですがね。
や~ぁ、今回のヒメオオ採集は苦労した分だけ報われた採集でした。ついつい、苦労せずに報われたいんだけどズルイですね。いよいよ、来週は新規開拓でしょう。また、ボ~ズの恐怖と戦うのか?。
採集結果
ヒメオオクワガタ 5♂♂8♀♀(♀は全てリリース)
アカアシクワガタ 3♂♂2♀♀(リリース)
コクワガタ 1♂(リリース)