1月26日(土)

ふと目が覚めた。何時だかわからない。4時にアラームをセットしたはずだと思いつつ、プロトレックを手繰り寄せて見ると、4:15である。「さ〜ぁ、冒険に行こう。」と誰かが囁いた気がする。1:30に就寝したので、フラフラだけどテンションが徐々に上がり始める。
着替えを済ませ、採集兵器等、雪中道具をパサートに積み込み、暖機運転を始める。気温は、−3度である。凍結が心配であるが、それ以上に、西から近づいている低気圧が厄介で、午後から西日本は大荒れになる天気情報である。午後からの行動には細心の注意が必要である。
いつものコンビニで、食料を積み込み、北陸道を北上する。今日の目的地は、岐阜県 飛騨地方 HOLである。3週間ほど前に、新雪地獄を味わった場所である。今回は、前回ポイントより2kmほど奥地へ入る。勿論、テレマークスキーにてでの移動である。
いつものSAで休憩すると、外気温は↓である。さぶ〜。


<SAにて>  

順調な高速走行を経て、富山ICからR41を南下する。途中で、ガンガンに凍結した急な上り坂があり、つい、不用意にアクセルを深く踏んでしまったら、ホイールスピンをおこし、スピードメーターが150km/hまで回ってしまった。失敗、失敗!
無事現地駐車場に到着である。外気温は↓である。ま〜こんなもんでしょう。はれほれは、−25℃を体験した事があるが、あの時は、全てが凍てついていた。クルマのオイルですら凍っていたような。


<現地駐車場にて>

お〜、遠くに、尖がった山が見えますね。天候は、安定している様だ。安心、安心、てきぱきと準備を進める。念のためにケータイも持って行く。
さて出発である。1時間30分は、ひたすら林道スキーである。


<ほ〜ぉ>

テレマークスキーは、絶好調である。既に、根雪があるため上層部の新雪は10センチ程度。バージンスノーをひたすら進む。けど、所詮、登りである。ど〜と汗をかき、休憩を挟みながら周りのブナ林を伺う。
大量の汗の為、帽子を脱ぎ、タオルでえり〜さん被りをする。これなかなか調子がいい。


<こんな感じ>

周りは、ブナ・ミズナラの混合林と針葉樹林が交互に現れ、針葉樹の比率が増してくる。標高は1200mであり、人影は全くなく、偶に、獣の足跡があるくらいだ。小鳥の囀りが少なく、谷川の音しか聞こえてこない。厳しい自然がいっぱいだね。↓


<厳しい自然>

そんな中、雪崩の跡を何箇所か、トラーバスする事になる。これがまた厄介だ。凸凹状態の硬い根雪の上を2mの板では、なかなか歩けない。ふと、自分が雪崩に巻き込まれたら?とも思うが、今日の気温、雪質、積雪量からは、心配ないと素人考えをする。むしろ、スキー操舵を誤り、木にぶつかったり、谷川に転落する確率の方が大きい。ちなみに、クマの心配は、全くしていない。


<20m幅の雪崩の跡を横切る>

そうこうしているうちに、ようやく、目的のブナ林に到着する。林内部を伺うと、巨大なブナや立ち枯れがある。ナイスや〜。苦労して来た甲斐があった。
早速、スキーからかんじきに履き替える。スキーを安全な場所に置いてから、ダブルストックで、林に分け入る。


<今日の1400mブナ林>

すぐさま、立ち枯れを見つけるが、ブナでなくミズナラである。付いてる、付いてる、<・>がベタベタ付いている。ミズナラで見るのは初めてだ。いや〜、久しぶりで感激だ。これだけの<・>を見るのは、ホントに久しぶりである。


<久しぶりのベタベタマーク>

よくよく観察すると、幼虫のウンコが露出して見える。う〜ん、成虫が既に脱出した後かもしれない。材が凍結していることは、覚悟している。ナタで、削り始める。


<ルリフン>

材フレークが飛び散る。なんとか、削れるが、食痕が少ない、おまけに、このミズナラは、完全立ち枯れでなく、一部生木状態である。朽ちている部分がそう多くない。ようやく、幼虫を確認するが、初令の様である。完全に休眠状態だ。↓


<凍ってる>

更に削るが、生木が出てきてしまう。ルリ♀が、こんなに条件の悪い材に産卵した理由はなんなんだろう?。それとも、美味しい材は、既に食べ尽くされたのか?。もう1つ出す。↓


<頭でっかちだ>

材上部を削り、芳しくなので、雪に埋もれた部分を、手で掘り出し、樹皮をめくると、再びマークベタベタである↓。再び、削るが、やっぱり、小さい幼虫しか出ない。なんでやねん?。


<マークは多い>

ミズナラ材を諦めて、ブナを捜す。何本か立ち枯れはあるが、チト若くて、マークが見当たらない。空しく時間だけが流れ、だんだん焦ってきた。ブナ材に<・>がない?。そんななか、赤材を見つける↓。


<赤い立ち枯れ>

<・>があったので削るが、なんもなし。もしや、ツヤハダ・マダラと思い、ガンガン削ると、食痕が出てきた。大きさといい、曲がり具合といい、DGで初めてツヤハダを採集したときと似ている。ただ、材の色が、やや明るいオレンジ色である。
ガンガン削る。材は凍結しており、フレーク同様に、氷の破片も飛び散る。何か、物的証拠が欲しい、外道でもいいから出て来い、ハッキリさせたい。
おっと、蛹室らしき空洞に黒い物体がある。ブナの小枝で穿り出す。何だろう?↓。ツヤハダ残骸か?。更に、削り進み、2つ目の残骸を出す。おかしい、幼虫が出ないゾ。


<残骸>

これ以上削る為には、周りの雪を掘らなくてはならない。ナタで、根雪を削り、更に深く、材を削るが、食痕しか確認できない。こりゃスコップも必要だ。
これにて、時間切れ、撤収となる。
もう一度、ゆっくりブナ林を徘徊してから、スキーの置き場所へもどる。まだ、奥の方にも良いブナ林があるみたいだ。次回に委ねよう。
装備を整え、スキーを履いていると、突然、ケータイが鳴った。北アルプスのこんな場所でである。大学時代の友人からである。事情を説明すると、驚いていた。午後から天候が崩れるので用心してねとの事、サンキュー。
さあ、一気に林道を滑り降りる。程好い緩斜面であり、雪崩跡以外は快適である。めちゃんこ気持ちイイ。1時間30分の登りを30分で下ってしまった。
無事、駐車場に到着する。気が緩んだのか一気に疲れてきた。装備をパサートに積み込み、眠気を押し殺しながら、タンタンラーメン目指し運転する。
さて、今回の雪中材割第3弾もボーズとなってしまった。未だ2002年のクワを採集していない。こうなれば、意地でも第4弾で、初クワゲットを狙いたい。テレマークスキー・かんじきが有効に使え満足であるが、次回は遂にスコップも参戦となるだろう。ルリクワガタ、ツヤハダクワガタ欲しさに何もここまでする必要は無い。時期が来れば、雪が解け、絶好の採集時期が来る。あ〜ぁ、つける薬の無いビヨ〜キになってる。ただ、遭難すると、周りに多大なメーワクをかけ、二度とクワ採集に行けなくなりそうなので、これだけは回避したい。次回もHOLだ。

採集結果
ボ〜ズでございます。
去年から、4連敗中です。

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