5月12日(土)

いよいよ標高1000mのブナ林でのコルリ採集である。意地でも材割にて成虫を出したい、チャンスがあったら新芽でも採集したい。また、マダラにも会いたいし、ツヤハダはまだ見たことがなく、ブナの立ち枯れがあれば、ヒメオオ、アカカシの可能性は充分ある。そんな訳で、勝負一発だ。てなことを、前夜、同僚との麦会に宣言して盛り上がってしまった。
夜明けと共に出発する。北陸道を高速移動し、登山道口まで1時間足らずである。標高1000mの尾根筋まで、残り、標高差500mを登り始める。標高600m付近からブナ林が始まる。時々、小枝を拾って、<・>を探すが、全く無い。本命の材は、枯葉に埋もれているんだろう。


<いまだ残雪>

沢沿いには、残雪が多く、ここでの材採集は不可能だ。丸太橋を渡って左に進む。ここの林は、ブナも立派だが、トチも立派であり、巨木を見るたびに惚れ惚れしてしまう。日本人の巨木信仰が理解できる。沢沿いの登山道から、急斜面の登山道になり、尾根登りの道へとなる。


<今が旬のシャクナゲ>

日当たりの良い、尾根には、シャクナゲが多く、お花は、真っ盛りである。石南花の名前の由来は、なんだったけ? 忘れてしまった。この尾根道には、小ぶりのブナがあり、丁度いいぐあいにネジれた葉が多くついている。新芽採集だったらこの辺だろうか? 時間的にまだ早いので、目星だけつけて、先を急ぐ。ようやく、1000mの本尾根にたどり着く。予想通り、所々に残雪が多い。


<勝負をかけるブナ林>

尾根道をしばらく歩くと、勝負をかけるブナ林が左手に見えてきた。小ピークを越して、ブナ林を伺うと。窪地に雪田があり、周辺には立派なブナがある。想像していた理想的な環境と一致する。さて、薮こぎである。雪田に降り立ちあたりを見渡す。こんな条件の整った林でコルリが出せなかったら、アホとしか言いようが無い。


<ピンポイント>

立派なブナの根元に、装備を置き一服する。辺りは、果てしなく静かだ。さて、つーさんのアドバイスに従い、枯葉に埋もれた古い材を探す。4つん這いで枯葉を探る。まず1本目だ。


<産卵マークはOK>

産卵マーク付きの材が見つかって、一安心する。後は、削り出すだけだ。


<続続と出る>

続続と幼虫が出始める。個体群密度が高い。×にしないように削る。


<蛹室>

いきなり、「ボコッ」と(音はしないのだが、音がした。)蛹室が現れ、変なムシが出てきた。慌ててデジカメを取り出す。コルリの♀!やんけ〜。遂に、材割りで出せた〜。つーさんありがとう。続いて、次の材で。

  
<もう一丁>


<う〜む、ナイスや>

立て続けに、2♀♀を採集してしまう。♂はどこだ〜、不思議なもので、この後は、幼虫しか出てこなかった。


<はよ〜成虫になろうね>

コルリの材割が一段落したので、ブナの立ち枯れor倒木を探し始める。10分ほど探すと、切り株が1本見つかる。周辺には、砕かれた材が散乱している。クワ馬鹿ではない。キツツキの仕業である。よっぽど、大量に何かの幼虫がいたらしく、徹底したつつき方である。残された材の中で大きな材を拾い上げ、鉈で真っ二つにしてみる。「う・・・。でた。」


<今度は、ドルクス>

3つもいる。今日はめちゃくちゃ大吉だ。ヒメオオクワorアカアシに間違いない。どれどれ。

  
<それにしても、食痕と蛹室でボコボコの材だ>

ヒメオオクワだったら、頭がもう少し茶色っぽいはず。成虫が出るはずだから、材割を進める。コルリの神経質な材削りと比べて、ダイナミックな採集だ。


<コクワの♀ではない>

蛹室は多いが、空っぽが殆んどである。やっと出た。コクワ以外の成虫♀とお目にかかるのは久しぶりである。さて、君の名は?


<足が赤い>

アカアシ♀でした。あと2♀♀を同じ材から追加する。
いや〜、満足・満足! アカアシが採れるとは思わなかった。さて、下山しましょう。予め目をつけておいた。ブナの新芽をルッキングしながらゆっくり降りる。やたらムシが多く、コルリもいるかな〜。「いた」、目の前のブナの小枝にメタリックグリーンの♂がひょこひょこ歩いている。デジカメを用意しながら、観察する。新芽まで歩いていって、またもどって来る。♀を探しているようだ。♀がいれば求愛行動が観察できるのだが、できないようだ。両手で、挟むように採集する。小さいけどクワガタだ。外骨格の厚みが素手に伝わる。


<自宅にて撮影>

そんな訳で、新芽採集までしてしまった。いや〜、これだから、クワガタ採集はやめられまへんな〜。

採集結果
コルリクワガタ(成虫)      1♂2♀♀
コルリクワガタ(幼虫)      多数
アカアシクワガタ(成虫)    3♀♀(26〜28mm)
アカアシクワガタ(幼虫)    3exs

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