エクアドル第四日目


<5/26>
8:30過ぎに、 ホテルを出た。昨日のインディオの親子に会った。母親は昨日と同じように足を延ばした ままで、傍には二人の幼い娘がぐっすりと寝ていた。昨日より多くの小銭をあげたが、母親は写真 を撮った俺だと思っていない。二人の娘のために、必死で物乞いをしている母親。幸いなことに、 二人の娘は少しふっくらした寝顔をしていた・・・・。



  今度は、息子連れのインディオの母親。やはり同じように、足を延ばして座っていた。頬は窪み、
ぎょろついている目には力が感じられなかった。  8才ぐらいのインディオの女の子が私の姿を見る
なり、弟の手を握ったまま近づいてきた。幾らばかりの小銭に、”グラーシャス”の可愛い声が・・・。



  午前中に歩いているから何か様子がおかしかったのだが、 ホテルに着いたときには頭がズキズキと
痛んで、猛烈に体中がだるくなっていた。やっとシャワーを浴びて、ベッドに横になるのが精一杯で
あった。14:25。 
  日差しが眩しく強烈で、頬のどこかがピクついていたのは感じていたし、洗面台に写った自分
の顔を見て、日に焼けているのも知っていた。明らかに、日射病(熱射)であろう。帽子を持っ
ていたのだが、現地の人とあまり異なる格好をしたくなくて(注意も受けていた。それにここで
は、誰1人帽子などかぶっていない)、かぶらなかったのだ(服装も、暑いせいもあったが目立
たないものにしていた)。



  15:30 過ぎに目が覚めたが、頭の痛みは治っていなかった。しかたなく、今回の旅行で初めて
頭痛止めの薬を飲んだ。
  少し治まったところで、また午後の散策である。午前中には、商店のほとんどが閉まっていて
(今日は、日曜日)、所々に物売りだけが出ていただけだったが、あっという間に街の一角を中
心としてにインドやネパール のバザールを思わせる多数の物売り(縦横、3〜4ブロックに渡っている)
が集まっていた。 衣服(下着だけの店もあって、目のやり場に困った)、靴、日曜雑貨、果物、
野菜、学用品・・・。まさに、住民のための青空市場であった。丸裸の鶏がぶら下げられ、香辛
料だけだったり、靴紐だけだったり。そして、陽気な音楽がラジオから流れている。それに合わせ
て、身体や手振り・・・。



  目の前の、散髪店で値段を聞いてみた。日射病になったくらいだから、髪を切ってできるだけ
さっぱりしようと思ったのである。しかし、いくら交渉しても、5,000スークレ(約200円)から下が
らないので、交渉を打ち切って店を出ようとした俺に店の主人が待てという(こういう時は、相
手に未練を感じさせてはいけない)。髭剃りは、1,000スークレだからと・・・。
  髪に霧吹きの水をかけた後、まずバリカン である。妙な気持ち、であった。異国の地で、自分の
頭の運命を他人にまかしているなんて。ひょっともすると、首を後ろから切られるかも知れない
のだ。切られないまでも、殴られたってしょうがない。それにここの主人、恐そうな顔をしてい
たっけ・・・。
  店の主人も、まさか日本人の頭を刈るとは思っていなかっただろう。そんなことを思いながら
座っていた俺の頭が、淡々とした主人の手さばき( バリカンの後は、ハサミでカット。そしてカミソリで切り
残しを剃ってくれる)で進められていく。途中、なにか言いながら主人が手を示した。親指と人
差し指の間が、ちょっとだけ開いていた。
  ”ヤー”である。結局、散髪された頭は洗われず(洗面台が見当たらないのだから、俺だけでも
なさそう)に終わった。15分程度、であった。鏡に映る自分の頭を確かめた後、非常に爽快な気
分になって主人の肩を叩いて外に出た。ものすごく、頭が軽くなったように感じながら・・・。
  ホテルで シャワーを浴びたとき、多量の切られた髪が流れてきた。辺り一面に・・・。



  これで、グアヤキルの街(当然、自分の足で歩ける範囲。タクシーで観光することも考えたが、一人旅
では危険が多すぎる)は、ほぼ歩きとおしたのではなかろうか。相変わらず、すんなり ホテルに帰
れたことはないが、歩きはじめて2日目ともなれば目印の建物も増えてくる。最後には、ポリスか
ガードマン(ポリスは、上着は白。 ガードマンは、上下同じ色の制服姿)に”オテール コンチネンタル ? ” と
道を尋ねれば何とかなる( Hotelの Hは発音しない。したがってHotelは Otelとなる)。



  今日も2度、シャワーを浴びた。きれいなお湯に全身を浸しているだけで、身体中の疲れが徐々に
癒されていく
  ガイド付きでないが故に、何倍も気を使い、そして身体中に負担をかけているが、その代わりに
何十倍もの人が経験しないことをさせてもらっている。
  ここでは、俺が外国人である。俺は道を歩くたびに見つめられ、そして一瞬の後、いぶかしげな
目から開放されることが続けられる。俺はそんな目にかまわず、平然と歩く。人の視線を避けたり、
媚びる必要も無い。いつも顔を上げて、ゆっくりゆっくりと歩いている。そして歩き疲れて、最後
はやっと ホテルに辿り着いている。
  煙草を吸いながらの休憩も、自然と多くなってきた。心と身体の疲れが、徐々にたまってきてい
るのだろう。それにしても人が歩いているのに、立ち小便をしている男性を2度も見たのはいただ
けない。
    18:35。



  昨日は街の食堂で、食事をさせてもらった。店番をしていたのは、6〜8才くらいの少年である。
料理は、店の奥にいる男性(お父さんと料理人?)が作るのである。
  ウイチブ(WUCHIWV: 4,500スークレ)はスープで、野菜や肉、そして卵が入っていて、なかなかの味で
ある。パン( フランスパンのように固い)につけて食べたが、これまた最高であった。
  セルベッサ(ビール、CLUB: 1,800スークレ)3本が、瞬く間に喉に流れ込んでいった。
  食事の最中に、店の前にタクシー(黄色の車体で、車上にタクシーの表示がしてある。それ以外は、見て
いない)が止まった。そこから降りてきた女性を見て、少年の顔が微笑んだ。いよいよ、お母さん
の出勤である。どこの国でも、子供たちの笑顔は可愛いものだ・・・。
  街角で写真を撮っていたら、インディオの少年(6才?)が近づいてきた。 カメラを持っている人間を
見るのは、俺が最初だったのかもしれない。煙草を吸いながら休憩している俺に、その少年が話し
掛けてきた。もちろん何を言っているのかわからなかったが、 カメラを指差したので撮らせてもらっ
た。 フラッシュに少し驚いたようだが、立ち上がってからさらに可愛い笑顔を見せてくれた。
  でもその少年、近くで ジュースを売っていた母親にこのことを伝えに行って、何か叱られていたっ
け。
  ”見知らぬ人、特に俺のような目つきの悪い人には、絶対に近づくな”とでも、言われたに違い
ない・・・。



 ゙ール( 2,000スークレ)を飲みに立ち寄った店では、14〜16才くらいの若者数人が店番をしていた。
少しばかりの賃金と、客のチップを当てにしているのだろうか、競って相手をしてくれた。店の蛍光
燈がほとんど切れかかっていて点灯しなくなっているのを、ソケットのところをうまく調整して点けた
少年に、よくやったなと合図を送ったら得意げな顔をしていた。
  蟹(手足を縛られていて、どこかワタリガニに似ていた)が店先にずらりと並んでいた(どうも蟹
の専門店らしかった。席に着いたときに持ってきたのが、どうも蟹を食べる道具:魚の形をした木
の板と、叩き割るための木の棒)ので、値段を聞いたら 4,500スークレとのこと。ビールをもう一本飲ん
で、店を出た。



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