独り言
平成元年に特級が廃止され、平成四年の四月からそれまであった酒の等級ランク
付けはなくなりました。
酒は本来、出来上がってきた時には全て二級酒であって、蔵がたとえば「この酒を
一級酒として売ります」と申請し、国税庁の審査にパスした後、それが初めて
一級酒として認められてきました。
よってこれまで二級酒として売られてきた酒が悪くて、特級酒がいい酒だった
という考え方は間違いで、等級の違いは酒税率の違いであって、それがそのまま
小売価格に反映されてきました。
現に宮城県の「一ノ蔵」という酒蔵が出していた酒には、無鑑査二級とラベルに
書いてあり、酒を全て二級酒にして少しでも安く消費者に提供しようと、
これまで試みてきた蔵もあります。
それが平成四年の酒税法改正によって、税率も一本化され現在に至っています。
いま 酒造業界も大変厳しいものがあります。小売店に於いては従来のように、
ただ酒を置いていただけで売れるという時代は終わりました。
いかにして他店との差別化を打ち出せるかによって、これからさき生き残れるか、
ダメになるかの境目の時期です。
このことは大手酒造メーカーにしても同じで、
以前は鑑評会でしかほとんどお目に
かかることがなかった品質のよい吟醸タイプの酒を、最近どの大手メーカーも
手掛けるようになりました。