「奈良漬け」



 私たちの年代では、特別な家柄でない限り食べものでは、どこのいえでも非常に惨めな体験を刻みました。
 それは戦争という、生きながらの地獄をわたってきたからです。
 いま、私の生活は、明日は何をしようかなー・・・とか
          友達を誘って買い物に行こうかなー
          久しぶりに何か変ったものを食べたいなー
          娘が、美味しいケーキ屋さんができたと言っていたが・・・
 なんと恵まれたことか!
 感謝をせずにはいられません!
          
 このように恵まれた生活の中、もう売っている物では「あれなら一度食べてみたい」と思うものがなくなってしまった!
・・・まさに、もったいないことです!

 これから、さらに贅沢をしようなどとは決して思っておりません。
自分にしかできない味を・・・あるいは、何十年前に食したとき、こんなにも美味しい物があったのかとの、感動に再び浸ってみたいのです。
 そして、その味と歯ざわり、さらに深みのある香り・・・私にしかできないもの。それは、漬物です。
漬物といっても色々あります。塩漬け、味噌漬け、醤油漬け、砂糖漬け、酢漬け、焼酎漬け、粕漬け(奈良漬け)等々。

21世紀のスタートを記念して私にしかできない「奈良漬け」に挑戦することといたしました。
仙人堂住人 寺井 日出子

キュウリの漬け方

@ キュウリは、余り大きいとタネが多く肉が厚いと重石が効かない。(30p程度で握れるくらいの太さ)
A 塩漬け  
・ キュウリの20%〜25%ぐらいの塩で漬ける。
・ 重石は15キログラム程度のものでシッカリとした圧しをする。


・ 10日から15日くらいで漬かるが、暑い季節は失敗するので、秋の涼しくなるまで重石のままでおく。
9月を過ぎると粕がなくなるので、涼しい場所があれば早目に済ませた方が楽。


・ 粕に漬ける(1回目)  


最初に粕に漬けるには、キュウリの水分を抜くため影で半日ほど干す。
(このとき水洗いしてはいけない)
(漬けるカメには、漬物用のビニール袋を使うと汚さずにすむ)
漬ける前に、試しに一口食べてみる(身震いするほど塩くどい!)
粕は70〜80本/4kg
   底に粕を、次にキュウリを、また粕を・・・交互に詰める。


・ 粕に漬ける(2回目)


   40〜45日で最初の粕を捨て(畑の肥料に最適)2回目の粕漬けをする。
   1回目と同じ要領で繰り返す。
   終わったらビニール袋を閉じ、その上に赤トウガラシを散らしておくと、虫予防になります。


・ 年末には美味しく召し上がれます!



瓜の漬け方
・ 瓜は二つ割にして、タネを取り除きその中へ一杯の塩を入れる。
・ 塩を入れた方を上に向け15日ほど漬ける。
・ 陰干し以下、キュウリと同様な要領による。
(2度目の粕に漬けるとき、アカザラメを一つまみパラパラ撒くと一層美味しくなります。ただし、これ以上入れるとマイナスとなる。)