「梅酒」

 

 昔から田舎では、梅の木は何処の家にもあった。

 しかし、近年は梅干しを作ることも少なくなってきたので、梅をあまり必要としなくなってきた。

 このため、梅の木はあっても始末をしないのでボロボロで、木の胴が半分ぐらいなって古木として、庭の飾りとして鎮座していることが多い。

 我々子供のときは、これらの木々も若かった。

 そして、その時期になると他人様の梅をむいで(盗んで)食った。

 逃げるとき、枝に付いているトゲ(柔らかい板ならつき通すほど鋭い)が頭に刺さった覚えがある。

 相棒に引き抜いてもらったことも覚えている。

 いまなら医者で・・・

 少し熟したのを食えばそれほどでもなかったが、青しっぺのは酸っぱかった!

 親からは、そんな青梅を食うと“チブスになる”と言われた。いまでも、本当かどうか分からない。

 

 あれから、随分とときが流れた・・・

 いつ頃からか分からないが、若い者が“梅酒を作ってくれ”と言う。

 なんでか分からないが、体にいいらしい。

 そういえば、テレビでも“チョウヤ梅酒”ってやっている。

 まあ、酒は百薬の長と言うのだから、別に梅を入れなくても体にイイのはよーく分かる。

 

 梅酒は、昔から暑気払いや疲労回復にイイと伝えられている。

下戸の人や子供は、酒そのものはチョッと飲み辛い(無理)ので、少し工夫して家族が健康で過ごされるように、梅からの甘露づくりをお教えいたします。

 

仙人堂住人 吉田 栄一

 

材料

  梅          500グラム

  砂糖         400 〃

  ホワイトリカー    0.9リッタ

 

 1 梅は、傷があったり黄色くなったものはつかわず、青くて硬いものを選ぶことが肝要。

箸などの尖ったもので、付け根の芯を取る。

 

 2 一日くらい水に漬けておき、よく洗う。この間、水は三回くらい取り替える。このとき、梅は丁寧に扱い傷がつかないようにする。

 

 3 洗い終わったら、ざるに上げて水気をよく切る。さらに、乾いた布で水気をよく拭き取る。

 

 4 保管する保存ビンは、洗って完全に乾かしておく。分量の砂糖と梅は良く混ざるようにビンに入れる。

 

 5 ホワイトリカーを、保存ビンに入れる。

栓をして、密閉されていることを確認して、涼しいところへ保存する。

 

   このとき、漬け込んだ経過や調合の具合、開封予定日等を書いて貼っておくと良い。

 

 7 10日おきくらいにビンを動かして、中の砂糖を溶かすようにする。

 

 8 約3ヶ月で飲めるようになる。

   このままで1〜2年漬けておけば、さらにマロヤカさが増す。