「三六連隊史跡」の案内
昭和12年9月10日、わたしは長崎高等商業学校専攻科(海外貿易科)に在学中、下宿で「グンムコウヨウスグカヘレ」の電報を受け取りました。
いわゆる、赤紙の召集令状である。それから終戦後、昭和21年4月佐世保に上陸し復員するまで、8年6ヶ月におよぶ長い軍隊生活が続くとは・・・。
当時、わたしも若い青年でした。長い長い年月を経たいま、生死の挟間をさまようなか、苦しさ、空しさ、悲しさ、そして内地の恋しさ等々で眠れぬ夜、美しい星空を見上げた戦友を鮮明に思い出します。
50年余を過ぎた今日、戦禍に散った戦友の誉れ高き士気を後世に正しく伝えます。
鯖江市の沿革
歴史的背景について
今から約2000年前、人皇10代崇神天皇の御代に、四道将軍大彦命が北陸道征討で巡行された。
賊徒平定を祈るため、盾3枚で社形を作られた。
以後、これにより賊は、神矢によって征伐されたという。このときの矢の羽根が、鯖の尾に似ていたことから、鯖矢(鯖尾)と呼び、これが転化して鯖江になったと伝えられている。
承元元年(1207年)、親鸞上人が越後へ配流の途上、鯖江で法を説かれたことがきっかけとなり、現在の誠照寺を中心とした門前町が拓かれることとなった。
江戸時代、享保5年(1720年)に越後村上から、鯖江藩主として間部詮言(まなべあきとき)が移封され、これから後は城下町として発展をした。
鯖江市の誕生
昭和23年11月、鯖江市と新横江・舟津村が自主合併し、その後町村合併促進法に基づき、昭和30年1月15日、鯖江町・神明町・中河村・片上村・および丹生郡立待村・吉川村・豊村の2町5ヶ村が合併して市制を施行、鯖江市が誕生した。
さらに同年6月10日、北中山村(赤坂・新堂を除く。)を編入合併し、また32年3月31日に河和田村を編入合併して現在の躍進する鯖江市に至った。
神明地区と連隊
明治8年 (1875年)千島と樺太を交換、樺太をロシアに譲渡。
明治16年(1883年)沿黒龍総督をハバロフスクに設置。
明治24年(1891年)シベリア鉄道を敷設。
明治27年〜28年(1894年〜1895年)日清戦争。
露・佛・独の三国干渉を受けて、遼東半島を返還。
日本政府は、ロシアの東方政策に対応するため、軍備を拡張する必要に迫られた。
明治29年(1896年)6個師団の増設計画が立てられ、急きょ実施に移された。
第7師団(旭川)
第8師団(弘前)
第9師団(金沢)
歩兵第6旅団(金沢)
歩兵第 7連隊(金沢)
歩兵第35連隊(富山)
歩兵第18旅団(敦賀)
歩兵第19連隊(敦賀)
歩兵第36連隊(鯖江)
第10師団(姫路)
第11師団(善通寺)
第12師団(小倉)
神明の地に、なぜ兵営が建てられたか?
土地選定の理由
1 鯖江大地のほぼ中央に位置
・ 地盤が堅固で耐震性が高い
・ 高台で洪水等のおそれがない
2 良質な地下水が得られる
3 北陸道に面しているので行軍が容易
・交通の要所であったことから商店も合った
4 隣接の鯖江が城下町として発展した
・ 勉学を好む気風
・ 将校、下士官の下宿・娯楽設備がある
5 近隣への四方の交通の便が容易であった
6 敦賀から福井に至る国鉄北陸線が開通した
7 兵営敷地、練兵場、射撃場等の広大な予定地に人家が殆どない
兵営 東西 約310メートル 南北 約510メートル
練兵場 〃 1,350 1,250
射撃場 〃 300 750
明治29年、神明の地は農業を中心とした集落であったが、この三六連隊の設置より連隊の街として発展した。
戦後は、連隊跡地に福井大学教育学部が置かれたが、後に福井市に移転し、この空き地を中心として現在の街が形成された。
この公民館の地には兵舎が建っていた。
神明郷土史から
参考
例年、鯖江三十六連隊の勇士の遺徳とその顕彰を行うため「三六祭」がとりおこなわれています。
今年も若葉薫る5月13日(日)に、近郷近在はもとより東京や大阪から三六連隊の戦友やその遺族をお招きし厳粛なうちに、式典が挙行される。
若き日に、この連隊で苦楽をともにし肩を叩き合った仲間たちが、再び三度集うこととなります。そして、先に戦場の露と散られた方の勇猛果敢な武勲を語り合うこととしています。
御案内を差し上げたご返事には“この日の楽しい一日を夢見ています”と記されていました。わたしたちは、皆様が喜んでいただけるあいだ、精一杯この催事をお世話させていただきます。
そして、鯖江三十六連隊史蹟記念碑の銘版に刻まれているとおり祖国の繁栄と世界の平和を訴えてまいります。
御協力をお願いいたします。
以下に平成13年度のプログラムを記します。
平成13年度 三 六 祭
日時 平成13年5月13日(日)午前10時30分から
会場 鯖江三十六連隊史蹟碑前
主催 鯖江三十六連隊史蹟保存会
主管 神明公民館
後援 鯖江市
三六祭式典次第
1 開式の辞 午前10時30分から
2 黙 祷
3 神 事
(2) 降神の儀
(3) 献饌の儀
(4) 祝詞奏上
(5) 祭文奏上 三六史蹟保存会会長
(6) 玉串奉典
(7) 撤饌の儀
(8) 昇神の儀
4 主催者挨拶 三六史蹟保存会会長
5 来賓祝辞 鯖江市選出県議会議員代表
6 祝電披露
7 喇叭吹奏 陸上自衛隊伊丹駐屯地
第36普通科連隊 喇叭手一行
9 閉会の辞
10 懇親会
三六連隊史蹟保存会 懇親会
日時 平成13年5月13日(日) 午前12時30分から
会場 三六武道館二階
懇 親 会 次 第
1 開会のことば (神明地区区長会長 大平 敏男)
2 国歌斉唱
3 挨拶 (鯖江市軍恩連盟会長 松塚 貞見)
4 乾杯 (県温交会会長 近藤 平之助)
5 スピーチ 来賓による
6 万歳三唱 (三六戦友会 下山 正敏)
7 閉会のことば (三六戦友会代表