an opinion
絵はここからもらいました。

代替ヘリポート建設反対表明

'98.2.6



 これは本当に感動的な出来事でした。2月 6日午前11時30分過ぎ、大田沖縄県知事が普天間基地返還のための代替ヘリポート建設にNOの意思表明をしました。
 詳細は言わずもがなのニュースですが、少し振り返りますと、名護市で住民投票が行われるところまでは、地域での重大な決議事項には住民投票を行うということが徐々に浸透していっていることを喜ばしく思い、且つ、組織的な受け入れ賛成(条件付き賛成)への工作があからさまに行われる中で当然ながら自分の街に米軍基地がやってくることに反対という結果が明らか(賛成が意外に多く驚きましたが)となったことを歓迎したくなったものですが、その後、名護市長が住民の下した判断を無視して、受け入れを表明し、更にあろう事か責任を棚上げして辞任するなどという暴挙を取ったことにあきれ果てたを通り越し怒りを覚えたものでした。まあ、賛否再投票となる名護市長選にかけるしかないかとは思いつつ、大田知事に期待していたところでのこの意思表明です。

 NHKニュースで見た知事のコメントは、いまある普天間基地は米軍の進駐により沖縄が否応なく受け入れざるを得なかった基地であるが、今回、普天間返還にともなう移転ということであっても県が認めて代替ヘリポートを建設するということになると、これは全く意味の異なる基地の存在ということになる、という意味のことを言っていました。すばらしいです。全くその通りです。いかなる理由があろうとも、軍隊の基地=人殺しのための施設を積極的な意志を持って建設するなど、”認める”べきでは絶対にありません。それ以前に、そもそも、”代わりのものを要求する「返還」”などというもの自体があり得ないのです。代わりがあるのだったらそんなものを「返還」と呼ぶわけがないだろうということを橋本さんにわかってもらう必要があります。

 そして、もう一つ環境保護派の私にとってはこちらの方が重大ですが、基地が大幅に削減されるならまだしも、代わりのものを建設するために美しい自然を破壊するとはどういうことだ?と言いたかったわけです。減りもしないで移転するだけで、環境を破壊しなければならないのなら、なんにもしないで今までのままの方が、自然破壊がないだけよっぽどマシじゃないか。このことを県民の方々も政府もよくよく認識してもらいたいものです。地域振興だとかなんだとか、どこもかしこも同じように土建立国で似たようなビルを建ててインフラを整備して顔のない人工の街を立ち上げるよりも、その地域の誇るべき特色(沖縄の場合はもちろんまわりを囲む美しい海と、本州などと比較して格段に破壊されずに残っている自然の機構)を最大限に生かすことこそが最大の振興につながるのだと言うことを認識するべきである。

 さらに最大に非難すべきは、これで沖縄の地域振興策も先送りになるだろうなどと、「沖縄振興開発特別措置法改正案」について決定を先送りするといった判断を下す政府である。このような対応は実質的に”恫喝”以外のなにものでもなく、このような恫喝を政治に持ち込む政治家を国民は誰も信用しないだろうし、私も徹底的に非難したい。 こちらに各種のマスコミの報じた内容などが紹介されていますが、ここから報道内容を引用させていただき、数々の批判に大田知事に代わって意見を言わせてもらおうと思います。

・共同通信 02/05 13:05 沖縄振興法案を先送り
自民「政治的判断」で政府と自由民主党は、沖縄振興開発特別措置法改正案について、決定を先送りすることを決めた。
これについては上記の通り。
・共同通信 02/06 11:18 大田知事は努力したのか 久間防衛庁長官が批判
 「普天間飛行場がそのまま残ってしまうことになる。返還を一番求めていた知事が名護市の問題を優先するというのか。移設返還に向けて知事は努力したというのだろうか」

・共同通信 02/06 12:04 「知事の不決断で水泡に」 加藤氏、大田知事を批判
 「日米間、中央・地方、与野党間の多くの人の努力が、一人の知事の不決断ですべて水泡に帰すと思うと本当にむなしい」
 「ヘリ基地が普天間飛行場に残るのがいいのか、名護市沖にあるのがいいのか」「知事にはより良きものを求める指導者としての決断がほしかった」
だから知事が求めたのは”返還”であって、”移転”ではないということじゃないのか!?知事が勝手に意向を変えて周囲に迷惑をかけているというような詭弁は止めてもらいたいものだ。
・毎日新聞 02/06 11:46 海上HP建設>沖縄県知事の反対表明 名護市長選に波紋広
 海上ヘリポート基地建設推進派・岸本陣営のコメント
 「国と市の問題と言い続けて、自分は手を汚さず、市民に泥をかぶせた知事が、なぜ今ごろになって拒否表明をするのか。露骨な選挙への介入だ(賛成派の島袋権勇・名護市議)」
国と市の問題として、国と市とで適切に解決(合意)できればなにも問題は起きやしないんだよ、アホな市長が住民投票の結果を反古にするなどという暴挙に出て、結局権力を持たない弱者=一般市民が馬鹿を見るような展開になってしまったものだから、その市民の代表として最後の力を振り絞ってくれたのでしょうに。いわば、バカ市長がねじ曲げた方向を正しい向きに修正してくれただけのことじゃないか。おまえも市議なら市民のことをまず考えたらどうだ?(島袋権勇・名護市議へ)
・時事通信 02/06 11:55 引き続き静観の構え−米政府
米政府は「名護市への代替ヘリポート移転以外に選択肢はない」と強調するが、「この先十年から二十年かけて段階的に沖縄から海兵隊などの前方展開部隊を移動させる計画を立てるべきだ」(マクヘール民主党下院議員)など、新たな選択肢の検討を求める声も聞かれる。
そんな余地があるなら何でもっと早く検討しないんだ?
・NHK  02/06 12:49 加藤自民幹事長 海上ヘリポート反対表明の大田知事を批判
 「大田知事にヘリポートが宜野湾市にあるのがいいのか、名護市沖の海上にあるのがいいのか問いたい。沖縄全体の利益のために大局的な判断をするのが、指導者としての勇気ではないか。普天間基地の返還に向けた多くの人のこれまでの努力が、一人の知事の判断によって水泡に帰するのかと思うと、むなしい気持になる」

・読売新聞 02/06 12:16 大田知事批判の声相次ぐ
 自民党の役員連絡会でも、野中広務幹事長代理が文句を言っていたらしい。  「これまでの二十回近い首相と知事との会談は何だったのか」
回数重ねたからと言ってなんでそちら側に与(くみ)する決断をしなければならないの?それじゃなにか?その会談ていうのは接待だったとでも言うの?永田町の政治家さんたちは会談と言えばフトコロを肥やす話ばかりなのかもしれないけど、沖縄の知事さんにとっては普通の意見交換だったのでしょうね。
・NHK  02/06 12:49 比嘉前名護市長 海上ヘリポートで大田知事の決定を批判
アンタにこの件について語る資格はナシ。
・NHK  02/06 12:50 海上ヘリ基地反対表明 宜野湾市長談話
 普天間基地の地元の宜野湾市の比嘉盛光市長のコメント。
 「大田知事の決断は名護市の住民投票や県民からの意見聴取などを経て苦悩の末に決断されたことだと受け止めている。普天間基地の返還は国が決めたことなので、国は責任を持って移転先について検討を進めてほしい。移転が凍結されるような事態は考えていないが、知事の決断を受けて国がどのような対応をするのか見守りたい」
見なさい、宜野湾市の市長だって、自分のところの基地がなくなりさえすればいいってわけじゃないですよ。同じ沖縄県民として知事の決断には十分な理解を示しているのではないでしょうか。
・毎日新聞 02/06 13:16 海上HP建設>大田沖縄県知事のコメント(要旨)
 沖縄県の海上ヘリポート建設に関する意志表示の概要は以下のとおり。
(1) 名護市の市民投票で反対派が過半数を占め、民意は明らかとなった。これを尊重するのは、民主主義の基本的ルールである。
(2) 沖縄県議会は、1996年 7月に、普天間基地の全面返還を求め、基地の県内移設に反対するという決議を、全会一致で採択している。
(3) 県内84団体からの聞き取りでも、反対とする意見が多数を占めた。
(4) キャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポート基地建設計画水域は、沖縄県の自然環境保全審議会でも最も高く評価される区分となっており、基地建設に伴う環境破壊が強く懸念される。
(5) 県の基本理念は平和・共生・自立であり、これを元にして「基地のない平和な沖縄」を実現することを掲げている。
沖縄県としては、(政府の方針を)容認できないという意志表示をせざるを得ないことを残念に思う。
沖縄県は、今後とも普天間基地の早期返還・海兵隊の削減などを要請していく方針である。
なお、今回、諸般の事情から、橋本総理大臣との会談が実現しないうちに建設反対の正式表明をすることになったが、特段のご理解を賜りたい。
それにしても大田知事、全くもって納得のできる説明である。政治家のコメントで当たり前のことを当たり前にしゃべってくれて、そして納得のいく話というのは、近来この大田沖縄県知事のものだけである。知事の政治家としての見識を云々する人がいるが、これら(1〜5)の状況下で建設受け入れを表明するような知事ならそれこそ県民は二度とその人を選ばないだろう、その意味で受け入れてしまうような知事の方が政治家失格と言われると思うし、政治家としてという以前に人として”人間失格”だ。今回の決断は県知事としてあるべき姿だ。

 いやそれにしても、よくぞ反対を決断してくれたものだ。本当にこの英断を称賛したいと思う。

                      ('98.2.6)




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