Music Column
奥田民生/月を超えろ
2/20 Release (C) SMA
絵はここからもらいました。

奥田民生CANNON BALL
in Fukui Foenix Plaza 99.3.7



 3/7奥田民生のコンサートCANNON BALLに行ってきた。

 パワー全開で、力の抜けたコンサートだった!彼のスタイルはなんとも表現しがたい脱 力感、浮遊感、厭世感のようなものを漂わせているが、まさにそれが今の時代の空気 を捉えていると思える。実際、彼にはユニコーン時代の玄妙!な、変幻自在のメロデ ィーメイクの技があるはずなのに、近年の曲にはあまり当時の作風は持ち込まれてな くて、わざと、うまく、今風にしているように思える。この辺は彼が今の時代の空気 を感じとっているのだと思う。

 オープニングSEは「SWAT」のテーマだ!これにはPUFFYの「JET CD」の一曲目「JET警察」になにか通じる感じがした。考えると全然違うんだけど、なにかが似てる。うまく言えない!

 そして1曲目はメンバー5人で弾きまくりのセッションのような形から始まった。レス ポール2人だった。

 少し前のホイチョイの4コママンガ、「気まぐれコンセプト」に、「局内でバイク便 を頼もうとして、近くにいた煤けた(すすけた)格好をした若者に、バイク便の兄ち ゃんと思って荷物を渡したらクリエーターだった、近頃はみんな煤けた格好をしてい るので見分けられない」、という話があって、そのオチは、「しかし、一番煤けた格 好をしていたのは奥田民生だった」!!というのだが、まったくこの日のタミオもそ のとおりで、1曲目、歌無しでギター弾きまくってるだけの曲だったので、フロント のベース&ギター2人は延々薄暗い中でギターをかき鳴らすのだが、真ん中にいるヤ ツが誰なのかぜんぜんわからず、はやくタミオ出てこないかなぁ、と思わせてしまう ほどだ。実際一緒に行ったタミオファンの子でもわからなかったというほど、それく らい、彼は今日も普段着で、バックのメンバーも十分普段着なのだが、その中でも一 層目立たない出で立ちだった!!
で、結局真ん中にいる彼がタミオだとは、実際に声を出すまでわからなかった!!

 延々とけだるい、しかしロックテイストはたっぷりなライブが続く。プレベ&レスポ ール2台のセッションはなかなか痛快だ。しかしちょっと意外だったのはドラムがす ごくタイトに決めるタイプで、音づくりもかなりしかっりと音が前に出てくる、いい 音だったことだ。フロントはルーズなロックなのに...。でもドラムがしっかり決 まるので気持ちがいい。

 どれくらい力が抜けていたかというと、4曲目くらいで曲の終わり頃になってだんだ んドラムが音を出さなくなっていくところがある!なぜかと見ていると、叩く振りだ けしているのだが実際には叩いてなくて、音を出していない。そしてそのままだんだ ん他のメンバーも音を出さなくなって、最後にドラムの派手なエンディングまで来て 、しかしそこも音を出さずに叩くマネだけして、そのままシーーンとしたまま曲は終 わり。笑いに気を取られた客がやっと拍手、といった具合。

 もう一つ面白かったのは、スモークマシンの新兵器だ!!でっかい煙の輪が発射され るというものだ。よくタバコの煙のワザで、煙を口にためてほっぺたをたたいてわっ かを作 るというのがあるが、あれもできた輪を見るたびになんだかおかしくて力が抜けたり するものだが、この新兵器はまさにそのわっかのでかいのをマシーンに作らせるとい うもの!!直径40センチくらいありそうなしかも太いわっかが、ステージ後ろ両脇か ら客席上空に向けて”発射”されるのだ!!これはもう見るからに、何とも言えない 力の抜け具合である。

 また、このツアーの直前に出されたシングル(「月を超えろ」)だが、彼のコメントを引用すると、「ツ アー出るのに何かないといけないので、このツアーのために適当に作ってきました。 あ、誤解があるといけないので....、必死になって、適当風に作ってきました」 というのだ。ここはまさにホンネなのかと思える部分だ。”適当風”なのがやはり今 風!?

 さらにネタを明かすと、3拍子というかスローの6/8(はちぶんのろく)拍子の ような曲があったのだが、実は変拍子で、3+5拍子なのだ。なんともノリにくい。がふつうにやるとアキが来そうなところをこういう拍子で変化つける、それも音楽的にカッコつけっぽくなくダラダラしてそうな雰囲気。これがいい。しかし、前述したとおりドラムがきっちり決まるので、これが結構イイ感じであった。

 また、アコースティックな曲があって、タミオとギターの二人で弾き語り風に歌うのかと思 えば、ベースもギターを持ってて、フロント三人で演奏、しかし気が付くとなんとキ ーボードもドラムスもギターもってかき鳴らしているではないか(爆笑)!!音は出ているよ うにはあんまり見えなかったけど、これもこのバンド流の演出だった。

 ステージがこんな風だからか、なんだか客も、あんまり熱くなるでもなくかといって冷めてるでもなく、なんとなく楽しんでるってなふうに見えてしまったのは先入観だろうか...

 ま、こんなふうに、とにかく、なんだか適当に、なんとなく楽しいライブだったのでした。ふつうはアルバムをリリースして、それを売るためにコンサートツアーに出るものなのに、今回はアルバムはないし、何にもないのもなんだからシングルをとりあえず作ってきた、とかいうところがなんだか適当なツアーなのかなと感じてしまった!
 PUFFYの「mother」をカバーしたというのが数日前にFMでかかっていたのでこれはトピックスの一つかと思っていたのに、これが聴けなかったのが残念だった。
 シングル曲や、関西でPUFFYが出ているツーカーのCMに使われている曲などが中盤に聴けた。聴きたかった「さすらい」は二曲目のアンコール。最後の最後に「さすらい」をやってくれて満足して帰路についた。

ファンの皆さんの感想はこちらをご覧あれ。
                        99.4.20





Home
takaya@mitene.or.jp