Music Column
絵はここからもらいました。

人間?機械?Human or machine



 このことを、ふと考えたのはかれこれ10年前、そのころはコンピューターミュージック(シンセサイザーをシーケンサーで自動演奏させること)が演奏家のあいだで普及してきた頃でした。私も、コンピューターではないけど、YAMAHAの音源をKORGのシーケンサー専用機で鳴らしたりしていました。それよりちょっと前に「夜のヒットスタジオで」クラシックギターの自動演奏マシンを見たのもその一因です。
 ギターという楽器は、ご存じの通り、6本の弦をそれぞれフレットという仕切線で区切って長さを変えてつま弾くことによって音程を変えるのですが、人間の手の5本の指でフレットを押さえて5本の指で弦を弾くと考えるとむずかしい楽器です。このテレビに登場したギターマシンでは、6本の弦のそれぞれ約20のフレット全部に、6×20=120個のロボットの指をつけてどこでも押せる、片や弦を弾く方は6本の弦に一つづつ爪をつけてどれでもはじける、これでギターのすべての音が鳴らせるようになっているのです。この、120個+6個の指をコンピューターでコントロールすればどんな曲でも弾ける、というわけです。まあ、この時披露されたものでは、単純に押さえた音を、ストレートにつま弾いた音しか出せないようでしたが、機構を改良すれば、人間が弾くテクニックのうちハンマリングとかハーモニクス、失敗して多少びびった音などは出せるでしょうし、チョーキングも工夫次第でできそうです。しかし、グリッサンドやボトルネックを使ったスライド奏法などはできないでしょう。そのかわり、人間にできないフレットのローポジションとハイポジションを同時に弾く、たとえば、ベースフレーズを1、2弦でしっかり弾きながら3、4弦で伴奏のリズムを入れながら、5、6弦のハイポジションでメロディーを弾くといった、スタンリー・ジョーダンのツインギターもまっつぁおな演奏もできるという特徴があります。

この話、本題はまだまだ先なので、次に続けることにします。




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