アーデス・ベイと鷹 ![]() 実はこれが一番書きたいトピックだったりします ハムナプトラ・失われた砂漠の都(The Mummy)ではアーデス・ベイはかなり重要な役でありながらストーリーの中心には登場しません。この映画は徹頭徹尾リック・オコンネルの冒険物語で、アーデス・ベイは、3000年に渡ってハムナプトラとその地に封じられた"He Who Shall Not Be Named"(名前を封じられし者)--- イムホテップを再びこの世に出さない事を代々使命としてきた秘密結社、メジャイの長として、要所要所に少しずつ登場して、ストーリーに「歴史」と「神秘性」の深みを添えています。 映画の冒頭でアーデス・ベイはハムナプトラとイムホテップの死の顛末、その後の歴史を語り、メジャイの立場から物語への導入を果たします。初めてアーデス・ベイが語っているとわかるのはナレーションも終わりに近づいた1923年のシークエンスになってからです。 "And for three thousand years, we the Med-jai, the descendants of Pharao's sacred bodyguards, kept watch." 初めて「われわれメジャイは3000年の長きに渡って・・」と自分の素性を明かします。エジプトの落陽と共に忘れ去られたハムナプトラの禁忌を守り続ける、この物語のいわば狂言回しの役割を果たします。 リチャード・オコンネルがハムナプトラで九死に一生を得た時も、メジャイは高みからじっと見ています。3年後にハムナプトラを荒らす者--- リックたちもその一人でしたから--- としてオコンネル等を阻止しようと夜陰に襲撃します。 初めて二人が立ち会うときに、アーデスは偃月刀でリックの銃をたたき落とし、リックはもう一丁の抜いた銃でアーデスの刀をたたき落とす、という互角の勝負を見せます。 次に二人が遭遇するのはカイロ。博物館でリックたちにメジャイの正体を明かし、イムホテップの再生を阻止するためには手段を選ばないと明言します。その後(かなり滑稽な)紆余曲折を経てリックと行動を共にしてハムナプトラに至ります。ここではもうリックとアーデス・ベイは敵ではなく、イムホテップという共通の敵を持つ同胞になっています。 ハムナプトラの地下でアメン・ラーの書を捜すリックたちに追いすがるミイラの群れから時間を稼ぐために、 "Save the girl, and kill the creature!" ────娘を救ってあの化け物を殺せ! この言葉を残して襲ってくるミイラの中へ飛び込んで死ぬはずでした。しかしアーデス・ベイというキャラクターを惜しんだ監督スティーブン・ソマーズによって土壇場で脚本が変わり、アーデスは無事にハムナプトラを脱出、最後にリックに再会して "I offer my humble thanks and the eternal respect of my people, and myself." ────私と私の一族からささやかな謝意と変わらぬ敬意を捧げる こう言い残してまた「名を禁じられし者」を封じて砂漠を守るために去っていきます。 黒衣に身を固め、額と頬、手の甲に青い刺青を施し偃月刀を挿し機銃を手挟み、ひたすら影のように砂漠の死者の都を見守る騎馬の戦士───Med-jai ハムナプトラ2・黄金のピラミッド(The Mummmy Returns)ではアーデス・ベイの存在は一層重要性を増します。 死者の都ハムナプトラの発掘という蹂躙からいち早く陰謀の進行を覚って、その一味をロンドンにまで追跡して来ます。イヴリンとリックの危機を敢然と救い、リックと共にノンストップの活劇の渦中に飛び込んでいきます。 リックの屋敷での剣劇、大英博物館での機銃掃射、二階建てバスでのミイラとの白兵戦・・・ 後半の飛行船によるアレックスの追跡は、目まぐるしい展開の中でひとときの平穏と細やかな人間心理が描かれるところです。 イジーの"Magic Carpet Airways"「魔法のジュータン航空」でリック一行と待ち合わせをしたアーデスはメジャイの12部族の族長を伴って現れます。その場から少し引用。 Ardeth Bay, in the familiar dark turban and robes of the Med-jai warrior, on horseback, accompanied by twelve of his tribe's fellow warriors, also astride horses. All were heavily armed---rifles in saddle scabbards, scimitars and pistols at their waistes. They were just sitting there, as if waiting to be noticed. ────アーデス・ベイはメジャイの戦士のおなじみの黒いターバンとローブを身に纏い馬に跨っていた。同じく騎馬の12の部族の同胞が立ち並んでいる。全員が、鞍の鞘にライフルを入れ、腰に偃月刀と短銃を挿した重装備で、まるでこちらが気付くのをじっと立って待っていたかのようだった。 The Arab strode forward, approaching the little group; then, planting his feet in the sand, he held out his arm, stiffly, crying out, "Horus!" On the similarly outstretched arm of another of the Med-jai commanders sat a large, legal falcon, who at Ardeth Bay's command, took flight and flew to the Med-jai chiftain, landing nimbly on his waiting arm. ────アーデスは前に進み出るとリックたちに近づいて、しっかりと足を踏みしめると腕を真っ直ぐに突き出して叫んだ「ホラス!」 一人の族長の同じように伸ばした腕の上には大きな堂々たる鷹が乗っていた。それがアーデス・ベイの命令で飛び立つと優雅に空を滑ってメジャイの長の腕に機敏に止まった。 これがアーデスの無二の親友である鷹のホラスの登場です。Horusは本来は「ホルス」でエジプトの空を司る鷹頭のホルス神(その左目は月、右目は太陽、ホルスの目はウジャトとして表される)と同じ名前なのですが、多分紛らわしくなるのを恐れて発音通り「ホラス」と表記しているのでしょう。 伝書鳩ならぬ伝書鷹としてホラスはアーデスとメジャイの戦士たちの間を飛んでアーム・シェアの在処を伝え、来るべきアヌビス軍との決戦に備えるという役目でした。 アーデスはいたくこの鷹をかわいがっています。いつも冷静なアーデスの思わぬ一面を見せられます。彼のキャラクターからは家族とか些細な日常生活のにおいは全く感じられないのですが、この鷹のお陰でアーデスにも人間的な、それもかなり濃厚な一面があるのが感じ取れます。 ![]() 映画でも飛行船の中でアーデスはいつもホラスを撫でています。ノヴェライズでもちょっと拾っただけでも何カ所かその描写があります。 そこを引用してみましょう。 Jonathan said to the warrior, "A humanizing touch, that---you having a pet bird." Lovingly, Ardeth Bay stroked the feathers of the falcon. "Horus is no pet. He is my best friend, my most clever friend. It is Horus who will let the commanders know our progress, so that they may follow, at a distance." ────ジョナサンはメジャイの戦士に声を掛けた。「やあ、人間味溢れることだな、ペットの鳥か」 いとおしげにアーデス・ベイは鷹の羽を撫でた。 「ホラスはペットではない、私の一番の友人だ、もっとも賢い友人だ。ホラスがわれわれが先に進む道を知らせて、族長たちが遠くから後を付いてこられるようにする」 いざ飛行船に乗り込むという時の独白 A veteran of the airplane journey that had ended the life of the previous overseer of this airport, Winston Havlock, the Med-jai chieftain seemed to be speaking to the eagle on his arm when he said, "Can't these Westners ever keep their feet on the ground? " ────この飛行場の先の監督官、ウィンストン・ハブロックの命を奪うことになった何年か前の決死飛行で空を飛んだ経験のあるアーデスは、腕に止まっている鷹に向かって話しかけているようだった。 「どうしてこの西洋人たちはちっとも地面に足をつけていられないんだ?」 飛行船の中で(ジョナサンと) "Well, if no one returned to tell the bloody tale, who told you?" Ardeth Bay was lovingly petting the falcon, which all but purred at the attetion. "It is written---" ────(ジョナサン)「じゃあ、そのひどい話を話せる者は誰も帰ってこなかったんなら、一体誰が他人に伝えたんだね」 アーデス・ベイは大事そうに鷹を撫でていた。鷹の方も目を閉じて甘えるように咽を鳴らしていた。 「それは書かれたものに残っているんだ・・・」 アーム・シェアからの通信 Ardeth Bay stood in the clearing, attaching another missive magnetically to the rear leg of his beloved falcon. He stroked the bird fondly, then launched it. He watched the regal falcon fly up and out of sight over the canopy of the forest, then fell in behind Jonathan and Evy as O'Connell headed into the brush. ────アーデス・ベイは周囲の開けたところに立って、大事な鷹の後ろ足にまた手紙を磁石で付けて、愛しげに撫でると、大空に放った。鷹が高く舞い上がり森の梢をこえて見えなくなるのをじっと見守ってから、密林に分け入ったオコンネルに続いて行ったエヴィとジョナサンの後を追った。 映画でもカルナック、フィラエ、アブ・シンベルと場面が移るたびにホラスが飛び立つシーンを交え、その間には他の人々と宿命とか前世についてしんみり語る折りには、腕に止まったホラスの羽をそっと撫でているのです。目的のためなら全てを犠牲にしてもやり抜くといったハムナプトラ1に描かれた類型的な冷徹なアーデスからは考えられないくらい人間味溢れる描写ではありませんか。 ところが鷹のホラスはただアーデスの人となりを語る小道具すぎなかったのではありません。それはホラスが狙っていたロック・ナーに撃ち落とされた直後に起こります。 その部分を少し長いのですが少しずつ紹介しましょう。 They had made a better path with a machete---when a report of a rifle rang out over the jungle, followed by a shriek. Not a human shriek: the cry of a bird. Ardeth Bay could not know it, but Imhotep's man Lock-nah had spotted the falcon a day earlier, and had been keeping watch, waiting for its return, waiting for this moment, to shoot the winged messenger from the sky. ─── 一行は手斧を使って少しはましな道を切り開きはじめた...その時ライフルの銃声がジャングルに響き、鋭い叫びが起こった。 人間ではなく、鳥の悲鳴だった。 アーデス・ベイは知るよしもなかったが、イムホテップの家来のロック・ナーが前日に鷹を目撃して以来目を光らせて鷹が戻ってくるのを見張っていたのだ。彼はこの翼を持った使者を空から撃ち落とす機会を狙っていたのだった。 But Ardeth Bay did know that Horus had to be dead, or dying, and as he spun toward the sound of the shot, he called out the bird's name, his love for the creature apparent in the agony that colored his voice. ──── しかし、アーデス・ベイには今ホラスが死んだか、死にかけていることが一瞬にして分かった。銃声の方を向いてアーデスはホラスの名を呼んだ。声に込められた悲痛な調子でどれほど彼が鷹を愛していたか明らかだった。 Staggering forward, the Med-jai chieftain stared into the empty blue sky, devastaed. O'Connell exchanged forlorn glances with Evy---they knew how much the falcon had meant to their comrade. ────よろめくように二・三歩前に出るとメジャイの長は途方に暮れたように影の消えた空を見つめた。オコンネルはエヴィと痛ましげな眼差しを交わし・・・.二人ともあの鷹が同志にとってどれだけかけがえのないものだったか自分のことのようによく分かっていた。 Ardeth Bay unslug the rucksack from his back and turned solemnly to O'Connell, saying, "I must go." And with that, the Med-jai turned and began trudging in the opposite direction. Quickly, O'Connell stood infront of the warrior, blocking him, stopping him. ────アーデス・ベイは担いでいたリュックサックを下ろすと重々しげな表情でオコンネルの方を向いて言った。 「行かなくてはならない」 それだけ言うと、メジャイは反対の方角に歩き出した。オコンネルは素早くメジャイの戦士の前に立ちはだかると遮るように押し止めた。 さて、ここまでは映画と同じ展開です。実は映画を見て、「何か納得できない」と感じた場面の一つがここでした。 と言うのも ハムナプトラ1,2をここまで見てきてアーデス・ベイの人となり、アーデスの行動原理を知っている人なら、リックの「まず息子を助けるのを手伝ってくれ」という一言で、アーデスが「アヌビス軍との戦いに備えてメジャイの本隊に居所を知らせる」という最優先命題を、いともあっさりと「ではそうしよう」と撤回してしまうのが、余りに唐突だったからです。 確かにアーデスにとってもアレックスは親友の子というだけでなく、幾たびか一緒に危機を乗り越えてきた戦友の一人であり、その利発さ、勇敢さに一目置いている子供なのですが、だからといってそういう「私情」に流されないところがメジャイを束ねる長たる所以。 ノヴェライズ版ではその辺の処理をどうつけて、映画の展開を理にかなったものにしているか、見てみましょう。 "I can't do this without you," O'Connell said. "I must let my commanders know where we are," the Med-jai said. "If the army of Anubis arises---" "First, we havew to get my son back." "My friend, I adomire your son---he is a fine boy. But he is one boy. The army of Anubis threatens all mankind." "Alex is one boy, yes---like Horus was just a bird." Ardeth Bay stared into his friend's face; and O'Connell stared back into the wrrior's hard dark eyes. ──── 「君なしではアレックスを助けられないんだ」オコンネルは言った。 「部下たちに居所を知らせなくてはならない」メジャイは言い張った、 「もしアヌビスの軍勢が復活したら...」 「まず、最初にアレックスを取り返すんだ」 「友よ、確かに君の息子は大した子だ・・・素晴らしい子だ。だが一人の子供に過ぎない、アヌビスの軍勢は全人類の脅威なのだ」 「アレックスは一人の子供に過ぎないかもしれない、そう・・・ホラスが一羽の鳥に過ぎなかったのと同じだ」 アーデス・ベイは友の顔をじっと見つめた、オコンネルも戦士の激しい褐色の目を時と見詰め返した。 With a nod and a sigh, Ardeth Bay picked up the rucksack and slung it back on. The warrior put a hand on the adventurer's shoulder. "First," he said, "we must get your son back." O'Connell grinned and put his hand on Ardeth Bay's shoulder. "Hey, you wouldn't want to let a Knight Templar down, would you?" And the warrior grinned back. "I would not." ────溜息と共に頷いてアーデス・ベイはリュックサックを拾い上げると肩にかけた。戦士は探検家の肩に手をかけて言った。 「まず、君の息子を取り戻そう」 オコンネルはにやっと笑うとアーデス・ベイの肩にをかけた。「おい、人類の戦士*をがっかりさせたくないだろう?」 メジャイの戦士もにやりと笑い返して言った。「もちろんだとも」 これで平仄が合いましたね、忌まわしい過去の亡霊から世界を守るメジャイの意志を一時的に保留させたのはリック=アレックス、アーデス=ホラスの愛しい者への情だったのです。ホラスを失って半身をもがれたような痛みを感じたアーデスがリックの言葉に秘められたホラスとアーデスへの同情を読みとることができたからです。 (リックは「ホラスはたかが鳥だ」と言ったのではなくて「たかが鳥でも君にはかけがえのないだった、アレックスも僕にとってはかけがえがない者だ」といっているのです) こうしてアーデスは一行の先頭に立ってアーム・シェアのジャングルに踏み込んでいくのです。 *人類の戦士 knight Templar 本来ならテンプル騎士団の戦士であるがこれについては別の項目で考えたい この後ピグミーミイラとイムホテップ一行と三つ巴になってアレックスを救出することになります。 printing into this frenzy, O'Connell and the Med-jai chieftain fired their weapons, O'Connell a two-gun kid with his revolvers, Ardeth Bay a jungle G-man with his Chicago chopper, cutting down Imhotep's red-turbaned minions like firewood. ────この大混乱のさなかにオコンネルとメジャイの長は銃を撃ちながら飛び込んでいった。オコンネルはリボルバーの二丁拳銃のガンマンよろしく、アーデス・ベイはシカゴ機関銃を手挟んださながらジャングルG-メンの出で立ちで赤いターバンを巻いたイムホテップの手先を薪のようにぶった切った。 "I'll get Alex," O'Connell said to his fellow human scythe, as they took time to reload; the Med-jai nodded, and the two men split off. ────「ぼくはアレックスを取り返す」 オコンネルは容赦なく敵をなぎ倒している僚友に弾を込め直す僅かな隙に声をかけた。メジャイは頷いて、二人は道を別にした。 リックは既にピグミー・ミイラの襲撃で大混乱に陥っているイムホテップの一団の中にアレックスの姿を求めて更に潜入、そしてロック・ナーに追いつめられてるアレックスを肩に引っ担いで救出します。 その直後のシーン。 By the time Lock-nah had yanked the scimitar free, the Arab could see O'Connell throwing the boy up over his shoulder as he ran off. Fury raged through the warrior, and he drew back the scimitar, to throw it, taking aim at the fleeing O'Connell's back, but another blade clanged against his. ────偃月刀を食い込んだ木の幹からぐいと引き離そうとしている間にロック・ナーの目にオコンネルが少年を肩に担いで走り去るのが見えた。ロック・ナーの全身を怒りが駆け抜けた。刀を振りかざすと逃げていくオコンネルの背中目がけて狙いを付けた。しかしそれを甲高い金属音を立てて遮ったのは別の偃月刀だった。 Whierling, Lock-nah was facing the chieftain of the Med-jai. "Why not pick on someone your own size?" Ardeth Bay asked. "A pleasure," Lock-nah said, and thrust his blade forward. ──── 体勢を立て直すとロック・ナーはメジャイの長と向き合っていた。 「自分に見合った相手を選んだらどうだ」アーデス・ベイの声に 「望むところだ」ロク・ナーは答えて刀で前に突いて出た。 At the carnage-cluttered cleaering, the scimitars of the Med-jai chieftain and Lock-nah clanged and rang as the two skilled warriors battled away. The contest seemed even, until Ardeth Bay whirled and sliced, carving a deep wound in his opponennt's chest. ──── 虐殺の跡が累々と残る空き地に、二人の手練れの戦士の偃月刀の斬り結ぶ音が響き渡った。 勝負は互角に見えたが、遂にアーデス・ベイが身を翻すと鋭く切り込んだ。刃は敵の胸を深く抉った。 Lock-nah, stunned, fell to his knees, a gash streaming blood across his chest like a scarlet sash. "That," Ardeth Bay said, "was for Horus." the warrior's eyes werer filled with puzzlement and pain. "...Who?" "Wrong answer," Ardeth Bay said, upprecutting him with the blade, accross his stomach, finishing him. ────驚愕を顔に張り付かせたままロック・ナーは膝から崩れ落ちた。胸の深手からまるで赤いサッシュのように血が斜めに流れていた。 「これは」アーデス・ベイが言った「ホラスの分だ」 ロック・ナーの目は戸惑いと苦痛に満ちていた。「だれだって・・・?」 「的はずれだ」アーデス・ベイは言いながら下から思いきり胴を切り上げて留めを刺した。 これでアレックスが無事に戻って、危害を加える仇敵ロック・ナーも倒し、リックとの約束を果たしたアーデスは、メジャイと合流してアヌビス軍を迎え撃つべく、一刻も早くアーム・シェアを離れる事を決意します。 Ardeth Bay ---knowing the boy was alive and in his father's hands, knowing too that Lock-nah was face-first in the mud, dead as Horus--- fled quickly into the jungle, leaving the white zombie pygmies and red-turbaned warriors to their battle. ────少年が無事に父の手に戻って、ロック・ナーは泥の中に顔を埋めてホラスと同じように絶命しているのを確認すると、アーデス・ベイは白いゾンビー・ミイラと赤ターバンの男たちが戦うのを尻目に急いでジャングルの中に姿を消した。 そしてこの様子をイヴリンがちゃんと目撃しています。 Up in the rocks, at her sniper's perch---seeing Ardeth Bay go, having seen Rick and Alex race off--- Evelyn lowered her rifle. ──── 上の岩場で銃を構えていた足場からリックとアレックスが上手く全力で走って逃れて、更にアーデス・ベイが急いで去るのを見て、イヴリンはやっとライフルを下ろした。 リックとアレックスが一息吐いているところにイヴリンとジョナサンが合流します。リックもアーデスには全般の信頼と気遣いを見せています。 "Wretched work, " Jonatahan said, looking weary but managing a small, prideful smile. "Where's Ardeth Bay?" "Now that Alex is rescued," O'Connll said, "he must have gone off to gather his Med-jai. Good luck to him." ────「実にひどい仕事だったよ」疲れ果てたよう見えたが、かすかに得意げな笑みを浮かべてジョナサンが言った。 「アーデス・ベイはどこに行った?」 「アレックスが無事に戻ったから、メジャイを集めに戻ったんだろう、どうか頑張ってくれよ」オコンネルが言った。 かくして、リックたちは一路黄金のピラミドを目指して走り、アーデスはアヌビス軍との決戦に砂漠へと急行することになります。 ![]() 映画では、目まぐるしい展開で十分に語り尽くされなかった、アーデス・ベイの鷹のホラスに対する愛情、それがアーデスをアレックス救出に向かわせたこと、約束を果たした後、すぐさま本来の責務をはたすためにアーデスが皆に別れも告げず去っていったこと、他の仲間も十分にそれを了解していた、言葉にならない同胞意識が流れ、お互いに気遣いながら自分の責務に向かう、そういった潔さがと勇敢さが細やかに述べられています。 (2001/07/14(土) 記) |