Ahmenophus! (アメノファス) ハムナプトラ2の楽しみの一つに前作ハム1のセルフパロディがあります。ハムナプトラ1を観た人だけにわかるとっておきの冗談みたいな物ですね。これを取りざたするのがまたトリビア好きの堪えられないところかもしれません。 先ず、一度見ただけではっきりわかるものが2カ所あります。 第一は「ドミノ倒し」です。 ハムナプトラ1では、まだカイロ博物館の司書だったイヴリンが高い本棚に梯子を掛けて登って、Sのつく書籍を整理している所から始まります。紛れ込んでいたT(トトメス王朝でしたね!)の本を向かいの本棚に入れようとしてバランスを崩します。 結果、本棚がドミノ倒しになって部屋を一周、直後に飛び込んできた館長に" You are a catastrophe"(君は大災害だ!)とまで言われました。 ![]() これがハムナプトラ2では、イヴリンの息子、アレックスが侵入者と相対峙して登った足場ごと蹴られて、倒れるときに神殿の円柱を順にドミノ倒しで倒します。 少しバリエーションがあるのは、一度に完全に倒れないで最後の柱が一時、持ちこたえるのですが、最後に壁を突き破って倒壊...そのお陰でリックとイヴリンが九死に一生を得ます。まず観客に見せてくれたファースト・サービスです。 その次ぎのセルフパロディと思われるのが、以前にかいたアーデスの機関銃。 イムホテップが召還した兵士ミイラが大口を開けて喚くところ。 ここではリックも"Not again!" (またお前たちか!)とあきれて叫んできますね。 セルフパロディの難しいところはただ同じ事を繰り返したのでは、アイディアの貧困、同工異曲と取られる危険性が大であることです。前作を見ている観客に思わずにやりとさせて、そのくせ飽きさせないような新鮮味とひねりをちょっと添えて。 制作側のしてやったりとにやりと笑う様が目に見えるようです。 第二のそして一番重要なセルフパロディは、ヒエログリフ(象形文字)のahmenophusです。 状況も極めて似ていて、1では逃げまどうイヴリンが兄のジョナサンに、2では戦いながら(逃げまどいながら)ジョナサンがアレックスに象形文字の読み方を教えることになっています。 この場面はほとんど同じ。 「最後の文字が分からない」「鳥だ、大きな、コウノトリかな」...「ア、ア、アメノファス」「そうだ、それだ」とほとんど同じ展開で鳥のまねをして腕を羽のように振る動作まで同じです。緊迫した場面であるのに、思わず笑いを誘う息が付ける「緩」の部分と言えるでしょう。 ![]() ところがこれはパロディ自体がトリックになっています。観客が「なんだ、また同じだ」と思ったら制作側の勝ち、実はこの二つは似て非なる物、全く違ったことをしているのに気がつくでしょうか? 実は、1でジョナサンが読むのは「アメン・ラーの書」...命を奪う書、2でアレックスが読むのは「死者の書」...命を与える書でした。 それぞれ言葉は "Hootash im Ahmenophus!" と "Efiday Shokran Ahmenophus!" と、コンテクストも異なっています。 偶然というか、(故意でしょうが)、どの重要な呪文もAhmenophusで終わるとも思えませんがその辺はconvenient!で我慢しましょう。 (2001/07/14(土) 記) |