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多難な展開

オビ=ワンは保安部隊を任されていました、それは残党を武装解除する危険な任務でした。エルダーの一味が籠城するビルを強襲した時にセラスィの父親である ウフッティと遭遇します。セラスィは父親と再会し、家族の絆の大切さをオビ=ワンに話すのでした。

ニールドは新生歴史部隊、つまり死者のホログラムが戦争の歴史を述べる「証の殿堂」というモニュメントを破壊し尽くそうとしています。 戦争の賛美、祖先の仇、復讐に復讐を応酬し続ける悪弊を絶ちきるためには殿堂の破壊しかないと直情的に信じています。戦争の終結後、 最初に自分の手で両親の殿堂を破壊しました。
その後ニールドは街の再建、住宅の整備、食糧の確保、といった執政者がまず考えなくてはならない基盤整備を怠って、 殿堂の破壊を第一目標に行動します。その意固地とも言えるこだわりは、やはり自分の両親を自分の手で葬ったという負い目と、 他人の殿堂に対する盲目的な羨望と裏返しの怒り、それが根底にあったように思えます。

事件は一つの殿堂を破壊しようとしたところから起こります。いつものようにニールドが破壊行為を始めようとしたところにエルダーが集まり殿堂を 取り巻いて実力で阻止しようとします。その殿堂はセラスィの母たち、つまりウフッティにとっては妻たちが葬られている殿堂です。険悪になりそうな事態に スカベンジャー・ヤングのリーダー、マワットはオビ=ワンに武器庫を開放するように頼みますが、オビ=ワンはもちろん拒みます。捨てぜりふを残して去る マワットに一抹の不安を感じるオビ=ワンでした。
このシーンに後にちょっとした役を演じるジョリとロエンニが登場します。

エルダーとの一触即発を回避するためにオビ=ワンとセラスィはニールドを説得して殿堂の破壊を思いとどまらせます。 しかし結果的にエルダーの目前でヤングの内部分裂を見せてしまったことになり、勝ち誇るウフッティにセラスィは心を痛めます。怒ったニールドが去った後、 セラスィはオビ=ワンがメリダ/ダーンに収まる器ではないこと、もっと大きな宇宙に出るべく運命付けられていると諭し、オビ=ワンは自分がクワィ=ゴンを恋しがっており、 再びジェダイに戻りたがっていることをはっきり自覚するのでした。

いつ現れるかが鍵だった「ジェダイへの回帰願望」が期せずしてセラスィの口から述べられます。セラスィは純真で一途な行動力ある女性として描かれています。 ただもう一人のリーダー、ニールドと決定的に違ったのは父が生存しているということ。たとえ敵対勢力にいても、肉親の情は断たれることなく、お互いを懐柔できる可能性に賭けて、 再会を望んでいます。メリダ/ダーンだけが目的のニールドに対して、精神的にまだ余裕のあったセラスィにはオビ=ワンの立場、心情を思いやる事ができたのでしょう。

セラスィから「あなたの運命はこの星にはない、もっと広い世界にある」と言われて、それまで抑圧してきたジェダイへの、端的に言えばマスターへの懐旧と思慕の情が 一気に噴出したのも当然でしょう。この時点からオビ=ワンの心はひたすら悔悟と,焦がれるような回帰願望を意識することになります。

探偵コンビといえば……

一方ジェダイテンプルでは流言飛語がとび年少者は怯えます。この辺り、ジェダイ聖堂らしからぬ困惑ぶりです。窃盗はエスカレートし至宝のクリスタルが盗まれるにいたって 徹底的な厳戒態勢が敷かれます。クワィ=ゴンの私室に侵入者があってわずかに残った匂いからタールは犯人の手がかりを掴みます。早速学生全員の首実検を行うのですが、 なんとタールの嗅覚に引っかかったのはカラマリ人のバントでした。しかもバントはクワィ=ゴンに対する態度がおかしい―――問いつめれば結局オビ=ワンを心配する余り クワィ=ゴンを敵視していたのでした。バントちゃん、健気です。

策が尽きて湖に出たタールとクワィ=ゴン。
どうもジェダイテンプルの構造がよくつかめないのですが中央に一段高い尖塔がありこの最上階に近いところにカウンシル(評議会室)があるようです。 その下部は低い本館と周囲にやや低めの尖塔が四基付いているようです。しかし他にもWing(翼)といわれる別館の建物が延びているようです。 ここに登場する湖はもちろん人工湖ですが周囲には森があり小径が配置されていて上空には摩天楼の群れではなく、ホログラムで自然光の空が見えるようになっています。

この湖でタールは犯人とバントに共通の匂いを感じます。つまり湖水の匂いだったのです。バントは水棲人という種族の特性から1日に何度か水に入る必要がある、 それでこの湖に泳ぎに来るのが日課だった、一方犯人は何らかの理由でこの湖の中に入っていた、これで我らがホームズ氏とワトソン博士にも曙光が射しました。 湖の底に隠されているだろう物を求めてクワィ=ゴンは先ほど一悶着あったバントに協力を依頼します。バントにも否やはありませんでした。

バントちゃんは読んでいる限りではどうもカラマリ人のイメージが湧きません。この6巻もそうですが特に7巻でオビ=ワンを諭したり、慰めたりする様子は オビ=ワンよりも年下でありながら真摯で賢い可愛らしい少女という雰囲気がとても強く、訳していても、脳裏ではハーマイオニーのイメージで言葉を選んでいる自分に気が付きます。

バントの水中での捜索の結果防水容器に隠された盗難品が見つかります。しかし至宝のクリスタルの行方は不明のままです。クワィ=ゴンはここで策を練って、 盗難品を確認に来た犯人を待ち伏せして捕らえる計画をたてます。待ちかまえたところに現れたのはブルックでした。追跡中にとんだ邪魔が入って取り逃がすのですが、 タールがブルック以外の人物を目撃します。これこそ謎の侵入者だったのです。この人物はついに謎のまま正体の解明は#7へと持ち越されます。

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