涅槃像図
 (武生市指定文化財伝・兆殿司筆)
       (ねはんぞうず)


 お釈迦様が沙羅双樹の下で横臥し、涅槃に入られる図であります。頭北南面で周囲にはお弟子たちや禽獣らの悲しむ様子が画かれております。函の裏書によりますと、龍泉寺には元々涅槃像図がニ幅あってそのうちの一つは大幅であったが破裂してしまい、もう一つは小幅で蔵されてきました。弘化4年(1847)の春、本多公が新しい涅槃像図を寺に寄進しようとしたので、この旧像図を見せると、その筆致の非凡さに公は驚いてこれを専門家に鑑定させました。その結果兆殿司の真筆と断定したといわれます。涅槃像図には、画かれる形態により概ね大きく二つの形式に分かれますが、この像図は第二形式に属します。全面にわたり剥落が著しいのが残念ですが、南北朝時代の貴重な涅槃像図として武生市の指定文化財になっております。
尚、寺伝では、開祖通幻禅師が龍泉寺建立に際して持ち来ったといわれております。
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