鉄腕アトムは2003年生れ
「ふう〜ん,鉄腕アトムは2003年生れかあ」
横で本を読んでいた智(小2)が突然そんなことを言った.
え!っと振り返って本の背表紙を覗きこむと “こどもまんが偉人伝
手塚治虫”
「へえ〜,鉄腕アトムって2003年生れかあ.」
父も改めて思った.
今から30年以上前,彼 −アトム− はテレビのなかの大空を自由に飛びまわっていた.
テレビは白黒だったけど,ブラウン管もちいさかったけど,テレビの前には妙な透明なプラスチック板がついていたけど,
テレビから見える世界はまぎれもなく広大だった.時間の座標の向こうにみえる世界は無限に広く暖かだった.
21世紀なんてゆめの世界だったけど,いつのまにか目の前に迫っている.
子どものころ21世紀にかけたゆめなんかとっくに忘れてしまったけど
今の子どもたちは自分たちの世紀にどんなゆめをかけているのだろう.
今の子どもたちは自分たちの世紀をどんなふうに創っていくんだろう.