bQ8  灰について


灰は炉、風炉に欠かすことのできない、茶人にとって大切なものである。
木灰、炭の灰を主としたもので、これを煮出した番茶で染めたもの。 炉ではぬれ灰を用い、風炉に入れる灰は、炉の灰をこまかく乳鉢でひいたものを用いる。
炉の季節になりますと「ぬれ灰はありませんか」と尋ねられます。
炉をお持ちの方ならせめてぬれ灰くらいはご自分で作られては如何でしょうか。


○ 灰のつくり方

風炉の灰
風炉の灰では、灰汁の抜けた、黄色で、きめのこまかいものが良い灰ということになる。
灰はアルカリ性であるから、灰の灰汁が強いと、金属製の風炉、五徳や、土風炉の肌をいためることになる。
〔灰汁の抜き方〕 灰を桶または瓶(大きめのもの)に入れ、その中に水又は湯をたっぷり注ぎ(湯のほうが早く灰汁が抜ける。入浴時の温度程度)、よくかき回し、灰が沈んだら、上澄みの湯を捨てる。   
この上澄みが灰汁(アルカリ性)である。 この操作を2・3度繰り返す。  
別につづけてする必要はなく暇なときを見はからってすればよく、最後になおもう一度、水でもよいからたっぷり入れて灰をよくかき回し、灰がすっかり沈澱したら水を捨て、灰をかき回さずに他の容器に移しておく。
底のほうの灰は、砂のあるものが沈んでいるから、風炉の灰には適さない。
 灰を乾燥させるには、桶に入れたまま自然に乾燥させてもよく、又はむしろ等に広げて日光に当てて乾燥させても良い。
ある程度乾いたら、番茶を煮出した茶汁を加えるが、薄茶や濃茶の古くなったものがあれば、これを普通にたてて灰に注ぎ、灰を上から下からよくかきまぜる。
何度も茶汁を加えて灰をよくねる。  
茶汁を加える理由は、灰が黄色みをおび見た目が美しく、また茶に含まれているタンニン酸によって灰がよくしまり、風炉の灰を押さえるのに扱いやすくなるからである。 〔ふるいで漉す〕  
この灰がよく乾いたら、固まりをよくくだいて、ごく細かいふるいで通す。  
ふるいの目の大きさは、紅茶こしに使われるくらいのものでよい。  
ふるいに残った灰は、よく乾燥しているとなかなかくだけないので、乳鉢に入れてすりつぶしてからふるいにかける。
はじめから乳鉢に入れくだいてから、ふるいで通しても良い。  
この灰をもう一度乳鉢に入れすりつぶすとより細かな上質の灰が出来る。    
乳鉢は大きめのほうが、力もいらずに能率が上がる。

炉の灰
前述のとおり灰汁を抜いた灰を桶、又はかめに入れ、茶汁をかけてよく練り、そのまま自然に乾かしておく。
この炉の灰は乾燥しすぎるより生がわきのほうがよい。
乾きすぎたら茶汁をかけ、上のほうは生がわき程度にしておく。
そして使用する前に、湿り気程度をよくみて(湿り気の多いほうがよい)、あら目のふるい(5ミリ程度)にかける。  
これが炉のまき灰になるわけである。
これを小さめの壷に入れて蓋をして、そのつど必要量を灰器に入れて使用する。

 

参照文献

「角川茶道大事典」   角川書店
「茶の湯表千家」  主婦の友社
「茶の湯用語集」  主婦の友社