bQ3  萩焼について



古くから茶人の間にいい慣わされてきた言葉に“萩の七化け”があります。  
これは萩茶碗の特色を巧みに表現した言葉です。
これには萩焼の技術が李朝の陶工によってもたらされたことで、古萩茶碗には高麗茶碗を写した井戸手、熊川手、三島手、粉引手、御本手などがみられ、それらがよく本歌の高麗茶碗に紛れ見誤られてきたことへの比喩です。  
また萩の土は軟らかく釉薬との収縮率の違いにより「貫入」が出来やすくなります
貫入にお茶がしみ込み使えば使うほど味が出てきます。
使いはじめの状態より変化しやすいので化けるといわれたのでしょう。


◎井戸手
 
萩焼の初期の茶碗は井戸茶碗を模して、形姿、釉調共に本歌に見まがうほどであるが、概して萩の井戸写には、おとなしくて端正であります。
井戸茶碗にはその特色ともいうべき次のような約束ごとがあります。    
茶碗の見込みや高台の畳付けに付着する目跡、ロクロ目、竹節高台であること、さらに高台の内外にカイラギが現われることなど。
 

◎三島手
 
三島という名称は、器体に象嵌した紋様があたかも江戸時代に伊豆の三島神社から発行されていた『三島暦』の文字の印象に似ているところから起こったものです。
鉄分を多く含んだ胎土の焼上がりが黒くなるので、それを美しくするための手法です。 
胎土は鉄分を含んだ萩土(見島土)で、成形後まだ生乾きのとき紋様を線刻、あるいは印刻によって施し、その凹部に白土の泥漿を塗り付け、少し乾燥させて余分の部分の白土を除去すると象嵌が鮮明になります。 


◎俵手
 
象嵌の手法は俵手茶碗にも多くみられ、俵手茶碗は古萩にも多く見受けられる。
これは俵形の上半身を切り取った姿(楕円形)で、ロクロもこの茶碗を縦に起こした姿で引き上げて横にして切り、高台は付け高台です。 


◎刷毛目

三島手と同じく、鉄分を多く含んだ胎土の焼上がりが黒くなるのを美しく見せるために、白土の泥漿を刷毛引きして景色を作るものです。


◎粉引  
三島手や刷毛目と同じく鉄分の多い土を活かして美しく見せるための手法です。
粉を吹いたような感じがするところから起こった名称で、粉吹ともいわれます。
萩焼ではこれを化粧掛けと称し、また萩独特の呼称でエンゴベイともいっている。  


◎熊川手  
熊川の名称は朝鮮の地名と考えられます。  
茶碗は井戸手と違って端反りで、見込みに茶溜りと称する円形の鏡のように一段のくぼみがあり、高台は竹節高台で、概して丸味を帯びた深めの茶碗です。


◎御本手  
お手本という意味で、茶人たちが好みの茶碗を注文して焼かせたものです。
御本の土には淡い紅梅のような赤みの斑点がぼつぼつと器体に現われるので、茶人はこれを特に景色として鑑賞しました。 
普通透明釉の掛かったものにこの斑点の出たものをいう場合が多く、萩の土も同質のせいか斑点がよく発色します。


◎切高台・割高台
 
御本茶碗や初期萩焼には切高台や割高台が多く見受けられ、萩茶碗の特色の一つとなっています。 
やはり高麗茶碗からの伝承で、高台に変化をつけ、全体の調和をとるものと考えられています。 
それについては諸説がありますが、確たる定説はありません。  

参照文献

 『茶碗 一楽二萩三唐津』  監修 林屋晴三   淡交社
「茶道具の基礎知識」 野村瑞典 著 光村推古書院

                           


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