bO4 釜

古くは湯釜・飯釜としてとして利用されていましたが、茶の湯の流行と共に専用の茶釜が製作されるようになりました。
釜は砂鉄を原料とするため原料の入手が容易な場所で作られました。


釜の製作工程

@下図を描く
A下図より木型を作る  釜を上下に分けた半円形のもの 木型を回せば釜 の形になる
B木型を元に雌形を特殊な粘土で作り焼き上げる(雌形は外形) 
 雌形は上下二つに合わせるようになっている
C雌形から中型(なかご)を作り同様に焼く(中型は中に入れる型)
D中型を釜の厚さ分だけ削り仕上げる
E雌形の中に中型を入れ、上下型を正確に合わせてしっかりしめる
F型の上部(釜の底にあたるところから)に熔けた鉄を流し込む 
 釜底にはへその様な丸いものが必ずありますが、そこが鋳込みの痕跡です
G鋳上がった釜は雌形をはずし、中型は砕いて取り除く
H釜を一度赤く焼き、焼膚をはがして仕上げる
I最後に釜膚に漆と酸化鉄を混ぜたものを塗り着色する


◎釜の製作地とその時代

○芦屋釜  
芦屋(筑前) 博多釜            室町初期から桃山初期まで
越前      福井県今立郡五分一村  室町時代           
伊勢      三重県津市         室町末期から桃山期まで      
播州      兵庫県姫路市付近    室町末期から桃山期まで 

○天明釜
佐野天明 (天明・天命) 栃木県佐野市                 
小田原天猫(天猫・猫天明)神奈川県小田原市         

○京釜  
西村 道仁(信長・紹鴎の釜師)                     
辻 与次郎(実久・一旦・天正与次郎という 秀吉・利休の釜師)      
与次郎(慶長与次郎という)                     
大西家  初代 浄林(仁兵衛・寛文三年没)より   当代に続く

◎釜の名称について

@形による名称    …  阿弥陀堂釜・丸釜・四方釜・真形釜・達摩(だつま)釜 
A所有者による名称 …  万代屋(もずや)釜    
B口作り・肩による名称… 矢筈(やはす゜)釜・鶴首釜      
C地紋による名称  …  達磨堂(だるまどう)釜・霰棗釜・雲竜釜
D鐶付による名称  …  鬼面・唐犬釜
E羽による名称    …  裏甲釜・透木釜


◎鐶付の種類

鬼面・菊・松笠・束ね柴・獅子咬・遠山・瓢・梶・扇面・茄子

おおよそ以上の種類があり釜に表情を加えています


 参考文献

大西・小田   「釜・香合」   主婦の友社
加藤義一郎   「釜」         河原書店
鈴木友也 編 日本の美術「茶湯釜」至文堂
「なごみ」   1990年10月号      淡交社
                   


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