福井大野事務所「南部地区研究会」 酒井利雄 代表世話人の講話より
平成12年12月14日 007

香川 景三郎 著

運命のはなし

 善いことをすれば、ほめられます。
 悪いことをすれば、おまわりさんに捕まって、罰を受 けます。
 あたりまえのことのようですが、仲々その通りに見え ないのが、この世の中です。
 或いは、逆に、いくら善いことをしても、なかなか善 いむくいが来ないばかりか、悪いことをしても捕まらな いように見えることが度々あります。
 運命論を信じている人たちは、善悪のむくいは、この 世にはあらわれず、来世でむくいられると考えているよ うですが、来世のことでは、現在の私たちには直接イタ くもカユくもありません。
 そこで、なんでもかでも、好き放題勝手放題のことを して、一生愉快に暮せば良い、などという考え方も生ま れてきます。
 さあ、大へんです。そんなことになったら、この世の 中はロカビリーの舞台さわぎどころではなくなります。  ところが、聖人は「一日善を行なえば、善いまだ来ら ずといえども、悪自ら去る。」と、いってます。
 つまり、善いことをすれば、たとえすぐほめられたり、 ごほうびをいただかなくとも、その人が持っている悪い 運命が少なくなることで勘定があう、というのです。こ れとは反対に、悪いことをすれば、すぐに捕まったり、 カンゴクにつながれなくとも、その人が持っている良い 運命の方が段々少なくなるのです。
 こうして、善いこと、悪いことをつみ重ねていって、 収支勘定の結果、プラスになる人も、ゼロになる人も、 マイナスになる人もできてくるわけで、けっして原因が あったものに結果がないということはないのです。
 これを因果律ということばで、あらわされています。
 この因果律の法則は、常に私たちのまわりにあって、言 語行動に適用されていますから、私たちは、この因果律 から離れては一日も生活できないのです。この法則によ ると、善いことをすれば、必ず善いむくいがあり、悪い ことをすれば、必ず悪いむくいがあることは、確かであ ることがわかります。
 そうなると、私たちは少しでも悪いと思われることは、 したり考えたりしないようにし、一方善いことはたくさ んして、よい運命をきりひらいていかねばなりません。
 善いこと、悪いことといっても、ただ形の上だけのこ とばかりではなく、心もちの問題もふくまれているので す。これがなかなかムズカシイのです。
 そこで私たちは、過去と現在と未来に流れている運命 というものを、もう一度考えてみましょう。
 運命というものは、決して一生の間、はじめからきめ られているものではなく、善いことをつづければ、必ず 善い運命になり、悪いことをつづければ、必ず悪い運命 に変っていくものです。
 過去のことは、過ぎ去ってしまったことですから、 「ああ、あの時は、ああすればよかった。あの時はまず かった」思っても、それこそあとのまつりで何ともな りません。
 未来は、またこれから先のことで、これも今から自由 になりません。
 ただ一つ、私たちが自由にできるのは、過去でも未来 でもなく、現在だけということがわかります。
 現在こそ、運命をきりひらくカギだといえるでしょう。
 聖人とか偉人とかいわれる人たちも、次のようにいっ ています。
 キリストは「明日のことを思いわずらうことなかれ。 今日のことは今日のことにて足れり」と。
 道元禅師は「今日の身命は、おしむべき形骸なり。今 日という日は再び来らず」と。
 釈迦は「過去の因を知らんとする欲すれば、現在の果を見 よ。未来の果を知らんと欲すれば、現在の因を見よ」と。
 白隠禅師の師である正受老人は「いか程の苦しみにて も、一日と思えば堪えられないことはない。楽しいこと もまた、一日と思えば、おぼれることもなかろう。」と、 現在の言動の大切なことをとき、つづいて、
「親に孝行をしない、というのは長いあいだのことだか ら仲々つづかないのだ。一日、一日のことだと思えば、 そんなにむずかしいことではないはずである。一日、一 日がつみ重なっていってやがて一生になり、百年にも、 千年にもなるのだ。一大事というのは、今日ただ今の心 である。これをおろそかにして、翌日はない」と。
 今日という一日を、永遠の今日と見る人こそ、運命を 切りひらくことができる人です。ほんとうに、現在を生 かすことができなければ、未来に光明を求めることは不 可能です。
 現在なしに、過去も未来もありません。現在こそ、過 去を負い、未来をはらんでいく姿です。
 幸福は、今日ただ今をおろそかにしていては、決して 求められません。光陰は矢の如し、といいます。前途有 望な皆さんが、一生不幸の淵に沈むのも、幸福の園に至 るのも、今日ただ今の心一つで決まります。未来に悔を 残さないように現在の心を生かしましょう。

   代表世話人の講話

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