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名機マランツ7の回路と補修

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数多くの方が製作記事.回路図を見てクローンを製作されたMarantz7ですが、意外と間違った回路図で製作された例が多くあるようで、1970年代に国内有名オーディオメーカーが比較検証広告に示した回路図でさえ間違いがありました、実際製作してみると質の良い真空管.コンデンサー.抵抗.電源トランスを入手して、配線の引き回しとアースポイントを吟味しないと実機に迫れない事に気付かされます、そして最大の課題はフロントフェースです・ ・ ・

Marantz model 7 フォノイコライザー回路図

Marantz7 EQ 回路図(pdf)  マランツ7 回路図よりフォノイコライザーを抜粋(セレクタスイッチPhono 1)
上記のMarantz7 EQ 回路図(pdf)を見やすくしたのが下記のMarantz7 EQ 源回路です

マランツ7回路図
補修及びレプリカ製作の要点
  1. 真空管
    個体差、劣化の程度によってプレート電流が変化するとプレート電圧も変化します、プレート負荷抵抗の経年変化が原因の場合も多いように思います、真空管は頭部の管壁に付着したゲッターと呼ばれる水銀色の面積が使用時間と共に減り真空度が低下して寿命を迎えますが、ゲッターが充分有っても増幅度が減ったり、ノイズが増加して寿命を迎える場合もあります
    真空管はノイズレベル、音色に大きく影響するので良いものを使いたいものですが、12AX7は非常に普及した真空管の為に高信頼管などバリエーションが多くあり、中には5751のように規格が違うのに互換品とされている場合もあります
    12AX7属 12AX7A 12AX7T 12AX7WA ECC83 E83CC ECC803S CV4004 7025 M3689等
    最初の頃のモデルは低ノイズで有名なテレフンケンが使用され、その後はGE.中国球などの変遷があったようです、現在ではテレフンケン管はオークションサイトで高値で取引されているようですが、初段管ぐらいは低ノイズ球を使いたいものです、真空管はバラツキが大きい部品でも有りますので安いHiFi用を多目に購入して選別使用するのも良いかと思います

  2. 抵抗
    殆んどA&Bソリッド抵抗を使用していますが音色はともかく経年変化で精度が悪く、NOS品でもこの傾向はあるので、選ぶのに苦労するようですが音質に影響すると言われているので拘りたいところです、レプリカ製作では良質の金属被膜抵抗か炭素被膜抵抗で妥協してもよいと思います
    尚A&Bはさておき、当時の国産ソリッド抵抗は高周波回路用途ですが、ノイズも多くオーディオ用途に使ってはいけません
    初段管のプレート負荷抵抗R65Aはノイズ特性に影響するのでW数を上げて電流雑音対策をするなど、ローノイズ製品を使用したい、また1kΩ(R10A)など音声が直列に通る抵抗は無誘導巻線抵抗の使用で好結果の報告もあるのでレプリカ製作では試してみたいが、この抵抗はフォノイコライザーのみを抜書きしたWebサイト、雑誌等の製作記事、メーカー比較広告で載されない事が多々有り、製作して発振する原因のひとつになったようです

  3. デカップリングコンデンサと電源フィルタコンデンサ
    電解コンデンサは経年変化で劣化している可能性が大きい部品です、漏れ電流チェックをしましょう、ブロック型のNOS品は殆んどが枯渇していますし有ったとしても電解コンデンサは新しいほうが良いということで悩むところです
    1.2段目左右(A-ch.B-ch)共通で電源部へ大きく迂回してアースされていますが、クロストロークに影響するのでレプリカ製作では1.2段目をLR別々にしてカソードでアースしたい、3段目もLR共通で電源部でアースされているので、レプリカ製作ではLR別々にしてカソードのアースといっしょにしたいが、これもオリジナルの音作りの為となると微妙な選択となる

  4. カップリングコンデンサ
    C63A、C65A、C66Aのカップリングコンのオリジナルは通称バンブルビーのオイルペーパーコンデンサーですが、軍用などに見られるハーメチックシール構造でない為に精度、漏れ電流の問題も多く不良のまま使用すると歪率、ノイズ、真空管の寿命に影響する、しかし市販のNOS品と言えども製造中止から40年以上経過していて経年変化が心配です、高値の為に有ったとしても偽物(復刻品?)だったりと大変なようです
    オイルペーパー復刻品、類似品では音質が変わると言われているので悩むところだ、レプリカ製作では色付けの少ないとされるASC-X363、WIMA-MKP等のフィルムコンデンサで妥協してもよいと思う

  5. その他コンデンサ
    C62A、C64Aのカソードパスコンは電解コンデンサですので経年変化が心配です、当時の電解コンデンサ規格は現代の±20%では無いので問題はないのですが表示容量プラス10〜30%の製品が殆んどだったように思います、最近は小型化の影響もあってか表示容量に近い製品が多く、ややもするとマイナス容量の製品も見受けられます、NOS品か現在生産されているタイプか悩むところですが、ウェットタンタルコンデンサの使用で好結果の報告もあるのでレプリカ製作の場合は使ってみたいです
    C61A、C67Aのノイズ防止及び正帰還用の通称チタコン(円筒状)は経年変化の少ない部品ですが、もし交換する場合は現在生産のあるディップマイカ(シルバードマイカ)が適当だと思われます、またキット(Marantz7k)、レプリカ(Marantz7SE及びMarantz7Replica)ではセラミックコンデンサ(円盤状)を使用しています、円筒状のチタコンより円盤状のセラミックコンの方が生産性が良いので、部品メーカーは1960年代終わりに移行して現在では枯渇状態です
    C10A、C15Aのイコライザー素子はセラミックとバンブルビーのオイルペーパーコンデンサです、経年変化している場合は交換の必要が有りますが、当時のオイルペーパーコンデンサの多くは±20%規格ですが、実測するとプラス10〜20%が多かったように思いますので、マランツはCRを選別してRIAA特性をチューニングしていた可能性が有ります、交換には現在生産のあるディップマイカ(シルバードマイカ)が適当だと思いますが上記の事を考慮して選別.実測.試聴でチューニングする必要があります
    また場所によっては印加電圧より大幅に高電圧のコンデンサが使用されていますが、開発当時は真空管全盛時代で低電圧の製品が殆んど無かった為です

  6. ボリューム
    ボリュームも音質変化の大きい部品です、米Clarostatが最高とされていますが既に入手不可能でA&BのNOS品も枯渇していますので国産のコスモスになりますが、音量用は市場に有るようですがバランス用はAC型の特注品でMN型は無理のようです、しかしオリジナルは挿入損失のあるAC型で7KはMN型を使用しています
    またアメリカのボリューム(軸サイズは6.35mm.1/4インチ)を日本製のボリューム(軸サイズ6mm)に交換すると多少隙間が開きますが、偏心が気にならなければそのままでも良いと思います、気になれば詰め物等で対応する必要が有ります
    レプリカ製作だと高評価のコンダクティブプラスチック抵抗体を使ったボリュームか、ロータリースイッチによるアッテネーターという方法もあります

  7. 整流器
    B電源用のセレン整流器は経年劣化している可能性が大きい部品です、殆んど入手不可能ですが国内外オークションサイトなどで出品があるようです、またSiC-SBD(シリコンカーバイド・ショットキーバリアダイオード)がセレン整流器と似た特性を有するという事で注目されていますが、特徴は高速逆回復時間特性と高耐圧で1200v製品も有ります、損失の違いから出力電圧の変化が大きい場合、ドロップ抵抗の抵抗値増減が必要と思われます
    またヒーター電源用のセレン整流器も殆んど入手不可能ですが国内外オークションサイトなどで出品があるようです、また安価に流通している100v以下のSBD(ショットキーバリアダイオード)を使用する方法もあります

  8. 電源トランス
    電源トランスの不良は起こり難いですが、プリアンプでも特に微小信号を扱うフォノイコライザーはトランスの漏洩磁束によるノイズに悩ませられやすいので、レプリカ製作では製品仕様、配置に注意する必要があります、漏洩磁束が出難い構造ではトロイダルトランスが有りますが、高電圧が得意でないらしく製品をあまり見かけません、カットコア.Rコアトランスは殆んど特注品では有りますが入手できるようです
    また手頃なEI型でも電磁シールドとショートリングを施した製品を選んだり、増幅部と別シャーシにして物理的に離し漏洩磁束から逃れる方法もあります

  9. レイアウトと配線
    開発当時はレコード.テープのイコライジング規格が統一されていない為にCR定数を切り替える必要が有り、入出力の信号の劣化を最低限に留める優れたパネル.部品レイアウト.配線方法が考え出されました、しかしRIAAオンリーのレプリカ製作ではロータリースイッチを延長シャフトで奥に配置したり、信号リレーを使用してピンジャック直近で切り換える方法が考えられます、実機では全てのピンジャックが取付リベットを通してバックパネルシャーシにアースされ、増し締めが困難なため接触不良によるトラブルが多いようです、Marantz7独特のアース経路(順路)については配線図では表現しきれていませんので、他のWebサイト上の写真とか無線と実験1979年3月号の製作記事が参考になるようです
    またベーク板にポストを立てた基板(タレットボード)と、ロータリースイッチにCR部品を効率よく配線したオリジナルの配線方法を踏襲するか、平ラグ.立ラグを使った配線とプリント基板に集約する配線方法か悩むところですが、プリント基板でジャンパー無しに拘りすぎると回路の流れに逆らったり、最適なアースポイントにならなかったりと苦労する、両面2層のベタアース基板も浮遊容量や、高圧回路の誘導ノイズを考慮した設計をしなくてはなりません

  10. その他
    回路図を見直してみるとPhono入力は47kΩ(R1A)とTAPE-Hado入力1MΩ(R62A)が並列に接続されますが、合成抵抗の値は約45kΩとなり、1MΩを省略しても問題が発生する可能性は低いと思われます、また配線図と違い実機のch-BのR62Bは実装されてますが、ch-AのR62Aは省略されてるようです、更に最初期の製品にはch-A.Bどちらも実装されていなかったようです
    グリット−カソード間に入っている100pF(C61A)は、浮遊容量を嫌ってシールド線にも気を使う入力に入っていますが、McIntosh C22.LUX SQ38FDにも入っていて、この時代は電波障害防止対策としてセオリーみたいになっていたようです、現代では多くの電化製品は電磁波対策が施され、携帯電話の影響でアマチュア無線人口も少なくなり、殆んど必要有りません、しか音への影響も考えられるので、音楽試聴と各種特性を計測して慎重に行わなければなりません、そしてMarantz7K 回路図に描かれている、ボリューム出力ケーブルのコイル状シールドとアースの間に入っている1kΩ(R095)はMarantz7及び7C 回路図では描かれていませんが、オリジナル中後期製品でも実装されているのを確認しました、しかし前期製品では見当たらないようです

  11. 回路図
    Marantz7 回路図(pdf)  無線と実験1971年10月号より抜粋
    回路図はメーカー提供の回路図を元に写植職人が回路図を書いたようで、沢山の誤植が見受けれましたが分かるかぎり訂正してあります、オリジナルとの違いは参照番号が無いことと電解コンデンサ記号.配線のクロス表現が現代的です、実機の画像を参考に抵抗のW数を訂正しました
    Marantz7K 回路図(pdf) 無線と実験1979年3月号より抜粋
    製品発売当初の回路図で多少の誤植が見受けられましたが、分かるかぎり訂正してあります、マランツ7オリジナル機との違いは、Trble回路に追加されている22MΩ(R050)の高抵抗がある事と、Bass回路の抵抗(R049).カソードパスコン(C062).カソード抵抗(R063.064.068.081).イコライザー回路のNF抵抗(R014).電源ヒーターのドロッパー抵抗(R101.102)の値に微妙な差異が認められますが、コストなど制約の中で調達できた部品が偶々これだった程度のことだと思われます、その他にはトーンコントロールのウェハー、コイルシールドの描き方が実際的な描き方になっているのが特徴ですが1MΩ(R095)も描かれています、アース順路については他のWeBサイトの写真、無線と実験1979年3月号の製作記事などを参考にして下さい、またCRのオリジナル参照番号に”0”が付け加えられ"AB"が省かれています、実機の画像を参考に抵抗のW数を訂正しました
    Marantz7 回路図(pdf) オリジナルモデルサービスマニュアルより抜粋
    一番信頼度が有りますがイマイチの画質でしたのでアナログリマスターをかけました(・_・)エッ......?
    オリジナルのマランツ7は1958年から1965年まで生産されましたが、最初期型から細かな改良を重ねたCバージョンがサービスマニュアルとしてWeb上に流出したようです、製品型番にはCは付いていませんので変更は製造番号で管理されていたと思いますが、R68Aの値を見ると前中期回路図のようです、電解コンデンサ記号.スイッチ記号.配線のクロス表現など古い表現方法を使っています、実機の画像を参考に抵抗のW数を訂正しました
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