第5集 猛暑日






第2章 週末

   週末

ゴミ箱と化したアルデオたまりかね玄関先で分別をする

土用なり押入れ並ぶ冬スーツ秋来ぬ前に洗濯に出す

ギトギトの油まみれる換気扇盆正月の亭主の仕事

新聞の折り込みで見たマッコリを妻のビールと合わせて求む

マッコリと韓国のりで調子あげ久方ぶりの暑き週末

   夏の白馬

アルデオで高速飛ばして白馬行くキャンパー良くも鈍足飽きて

久方の追い抜く気分快適で速度監視機見ながら走る

スタンドで聞きし小さな洋食屋20年目で初めて入る

欧州の田舎風なる店作り二人の好みに妻と小躍り

定番の自家製ハムにソーセージふんわりパンにコーヒーが付く

遠方のナンバー並ぶ店のまえ客が来過ぎて気持ち複雑

子供らで賑わう園地入り込む夏の白馬を味わいたくて

息子らの思い出残る遊具見つ妻と二人で昔へ戻る

キャンプしてウサギや遊具で遊びたる息子も今は妻子持ちたり

特別の響き持ちたる「白馬村」家族にとって別荘の地なり

   猛暑日

暑いねと逢う人ごとに言葉かけ今年の猛暑いつもと違う

猛暑にてうちのシロネコ居場所なく玄関先で伸び切っている

老人が畑で草取り倒れたる日本列島猛暑日続く

しとしとと情緒感じる梅雨景色今の日本じゃ昔の話

梅雨明けの暴力的な猛暑日は日本人から思考を奪う

ロシアでは30数度の日が続き泥炭層が燃え上がるらし

インドでは車の屋根で目玉焼き連日続く48度

   駐車場

元よりも歩きが5分短縮も駐車するまで10分かかる

気を抜けばどちら向きかも忘れたる8回登る狭きスロープ

屋根付きの車眺めて登りつめ炎天下なる屋上停める

鉄骨に吹き付けてある石綿がまさかと思えど聞くこともせず

県庁のお堀見つつの通勤は後で思えば贅沢なはず

   フェニックス祭り

孫抱きて近くの川辺で夕涼み遠くで花火がポポンと開く

胸の孫遠くに見える花火より国道通るクルマ気になり

車椅子納屋から取り出し車積む久方ぶりの親孝行と

伴奏が水面を伝うお堀端母を押す手に力が入る

初めてと御廊下橋を見て言うも渡りし後に感想も無く

ソースカツ食べてみたいとAKB福井来るのは初めてらしく

お揃いの白き衣装のAKB顔も名前も分からずじまい

祭りの夜中央公園集まりて思い思いの青春刻む

ヨサコイの衣装は弥生の衣似て見ている客をいにしえ誘う

若者の魂ぶつけるヨサコイは神と向き合う古代の祭り

大学のグループ踊るヨサコイに姪の姿を必死で探す

待ち合わせしても会えぬに偶然にムームー姿の義姉に会えたり

夜店にてその大きさが気になりて値段かまわず餃子買いたり

   夏野菜カレー

夏野菜たっぷり入れたカレーにて今年の猛暑を乗り切ってやる

キュウリやらナスにトマトの夏野菜入れたはずだが溶けて分からず

入れすぎたトマトでカレー酸っぱくて二日目カレーと区別がつかず

   金沢のデパート

金沢のセレブ好みのデパートは吹き抜けホールで夢をいだかす

ブランドの品が並びし店先にハワイ想わす微かな香り

木製のおもちゃや積み木眺めれど万の単位で買う気も起きず

どれ見ても次元の違う値札にて庶民の吾は一歩引きたり  

商品に憧れる時代は過ぎにけりデパート商法閑古鳥鳴く

竜王のアウトレットが賑わいし今の時代にデパート合わず

   やりたい事

愚痴言うな本当にしたい事ならば障害乗り越えやればいいじゃん

あちこちの体が痛いというなかれやりたい事なら体は動く

金がないなどのたわごと言うなかれ計画立てれば何とかなるさ

時間ないなどともいうな時間などあるんじゃなくて作るもんだぜ

100年後なったつもりで今を見ろどんなことでもやれる気がする

ものごとは金と時間とやる気いる全部がそろう時などないぜ

金かけず中年なれば暇作り老年なれば気力立たせる

   ローコスト趣味

道具などまったく要らぬ短歌趣味金がかからぬ代表格よ

自転車を乗って磨いて修理する金のかからぬ実用の趣味

木工は手先使いて金かけず自分の宝を自分で作る

油絵は旅の思い出残す趣味下手な絵さえも効果抜群

燃費良いバイクで走る趣味あれば何処まで行けど小遣い範囲

定番の園芸趣味も安上がり時間をかけて成長を見る

ウォークも心身ともにリフレッシュ趣味というより健康管理

台所立ってあれこれ料理する楽しい上に実用になる

昔からテントに料理のキャンプ趣味クルマに換えて今も継続

   松江の娘

この春に遠き島根へ娘行き4年学びし京都離れて

簡単に行けぬ距離なる松江の地 親元はなれ無心にやれる

様々な人物集まる島根院生き方学ぶ機会となりし

島根には一年近くいるような 4ヶ月しか経っておらぬに

日帰りの出来ぬ距離なり島根の地 親の気持ちに寂しさ残る

   避暑地

連日の猛暑耐えかね山へ入る標高上がれば数度違いし

谷峠トンネル抜けて別世界 椅子テーブルで高原気分

自宅から1時間なるリゾート地 緑以外は何も無いけど

手取り沿いチャリンコ出して走りたる日差しと緑の夏を楽しみ

みち沿いの流れ落ちたる冷水に裸になりて体を冷やす

トラックの通りしあとの巻き風が体にあたりて涼しさを呼ぶ

透き通る流れの手取淵おりて靴下脱いでひざまで入る

少年になって淵底潜りたし蒼き水面が自分を誘う

白帽子飛ばされぬよう手に持ちてスピード上げし下りの自転車

   哀れレジアス

連日の猛暑の中に置かれたり俺のレジアス車検が切れて

8月の日差しに焼けるレジアスにすだれ掛けても守ってやりたし

復活が出来るかどうか心配し暑き真夏に放って置かれ

13年経てど車体はしっかりとくたびれビスタに勝る勢い

レジアスの金のかかりし装備群寿命来るまで面倒みたし

環境に良くないはずのレジアス車密かに金貯め復活狙う

   京都雑感

外人がロビー行き交う京都駅日本人の立ち位置を知る

敷き詰めた黒光する大理石今の日本のプライドを見る

名店のレジ前ならぶ客多し土産の袋両手に持ちて

車にて大学横を通りたる娘居らずも居たる気がして

折りたたむ自転車使い京散歩路地に入り込み京都味わう

高級な住宅横の古き家負けずに存在主張する

千年の歴史と今が共に在る京の生き方未来を感じ

三条の延々続く小売店並びし品に味わいがある

自転車が市民権を得る京都駐輪料金しっかり取られ

   京都雑感2

伊勢丹のロビーの冷房良く利きて買い物疲れのおばさん涼む

ぶらつけば夏に花咲く京都駅ショートパンツの女性が歩く

凛とした雰囲気漂う京都駅肌黒きエリートすれ違う

手をつなぎ若き女性が街歩く言葉以外は日本人なり

自転車で青い目の人走り来る京都の街の普通の風景

御所近く老舗のホテルでランチ摂る給仕の名札カタカナの文字

門入れば空気穏やか本願寺地方の信者の心を癒す

手をつなぐ男女の多き京の街還暦前の吾には分からず

鮮やかな八坂神社の色使い氷川神社と同じ神とは



第3章 兄貴夫婦へ

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