第14集 秋風吹いて




   第2章 白山の新雪

   白山の新雪

先週の台風崩れの低気圧平地は大荒れ白山に雪

山里の目に鮮やかな紅葉は本格的な冬の前触れ

ストーブが無くては居れぬ日曜日畑仕事はまだ残れども

暖かき部屋を離れぬ家の猫元をたどれば確か南国

   冬支度

翌日の雨心配で時間休残りしイモとヤーコンを掘る

冬前にイモ類掘って安堵感ダイコン白菜何時でも採れる

来週は寒気来るからタイヤ換え免許返した親父言い出す

軽トラとフィット共に冬仕様安全よりも親父対策

恒例の地元お寺の秋初穂白菜ダイコン米代持って

組み合わせパネル使った雪囲い暖冬続きありがたみなく

山際の大木倒れ道塞ぐ放置の山で地主分からず

それぞれの言い分聴けど埒明かず古家尋ね図面を探す

雨降りで家を飛び出し高速へ妻と二人で竜王目指す

モンベルで登山スティック買い求めハワイの店でハンバーグ食う

   霜月

食道の癌が広がり肺炎か入院してから10日で逝きし

昨年は60後半二人逝く煙草愛した農協OB

知り合いがお通夜の席で倒れたり身体強張り目は釣り上がり

還暦を越えた我が身も同じこと明日の命は神のみぞ知る

霜月に入れど我が身楽ならず年末向かい日程並ぶ

総会に慰労会に大掃除引き継ぎ含め多忙な業務

自治会に負けず劣らぬ地区行事正月過ぎまで両手を越える

全力で走り続けた2年間クールダウンの来る日はいつか

インフルの予防接種の券がない90過ぎの親父が騒ぐ

休日は保健センター病院と親父の世話で半日がかり

だみ声と咳が止まらぬわが親父予防接種の風邪の症状

世話掛けて金を払って風邪貰う仕方はないが割り切れぬ吾

   小春日和

紅葉の便りは耳で聴くだけよ自治会雑務に日々追われたり

天候にそっぽ向かれた指定休里畑芋堀りも年休とって

総会が済めばあとは残務だけ会計閉めて承認を得る

窓越しは小春日和の日差しだが戸外に出れば冬の寒さよ

   心楽しき

総会に10日残せど不足なし2年間の実績が友

間を置かず誠意を持てば物動く次期役員や空き家の話

代えがたい経験得たる3年よ初め嫌でも済めば感動

地区行事年末年始に重なれど先が見えれば楽しき思い

   気力

師走入り冷たき雨が降り注ぐ暗い空見て総会準備

いつまでもあると思うな親と金今の時代は時と健康

3年の奉公済ませ自由人何をするにもハンドフリーよ

総会と会計監査を終えれども年末年始は行事が続く

楽しみと思えばそれも楽しみか延々続く地域の行事

食欲と睡眠だけが資本なり後は気力で玄関を出る

   ありがたし

総会の準備を終えて一区切りあとは週末待つばかりなり

来年の要望事項出そろいてやる事やって次年度託す

パソコンで引継ぎ文書作り終え思い出し出し楽しき作業

次年度の役員候補頼み済み一番難儀な仕事の一つ

3年の自治会業務ヤマ越して心静かに総会を待つ

   冬近し

隣から折り菜もらって植え直す我が床の苗まだ5ミリなり

タイヤ換え初雪待って谷峠白銀世界が吾を待ちたる

ストーブの煙突掃除すでに終え時雨の中で試運転する

気が付けば時雨が続く晩秋で玉ねぎ苗が大きくなれず

里イモにヤーコン芋にサツマイモ農舎の床でそろい踏みする

ダイコンの真白き肌に励まされ厳しき冬に立ち向かう吾

カブ2台キャブのガソリン全て抜き広き農舎で冬越しを待つ

   あと二日

それなりに満足感あり地区の役会議の多さに閉口すれど

3年の年季が開ける歳の暮れ正月準備も心が躍る

次年度の役員決める総会は何起ころうとあと二日なり

本来の残任期間は年末と規約にあれど気持ちは切れる

   一人酒

喜びをかみしめて飲む一人酒3年間の自治会終えて

ひとりでに3・3・7の拍子出るストーブ前で手酌をすれば

残務ある年末年始のせいなのかいくら飲めども酔いが回らず

総会が終わったことも知らず居る隣の親父に喜び話せど

   残務

ぽたぽたと雪降り続く歳末に粛々進む自治会残務

毎日のように続きし夜会議体調整え必死に向かう

新年が明ければ恒例年賀会この山越せばやっと正月

   ふたつの年賀会

元旦に地元議員の年賀会ホテル貸し切り千人は居る

乾杯の音頭預かる大役目国の議員や県議を前に

地元での公民館の年賀会万歳三唱も和やかなうち

自治会や団体長の卓回る話弾みて自席に戻れず

   今年の正月

年賀会ふたつ済ませて幹部会ゆっくりできる正月欲しい

自治会の役目終えれど手が空かぬ館長業務にまつりの仕事

三本の天神さまと鏡餅親父の仕事息子引き継ぎ

蒸して突くこれ一台で餅食える一臼だけなら便利な時代

年明けどお参り時間は夢の中晦日も何も普段と同じ


   今年の寒波

半日で50センチの雪降りて通勤クルマが雪だるまなり

生垣が積もった雪に雨が降り重み耐えかねお辞儀をしたり

剪定で半分なりし金木犀今度の雪でさらに半分

早起きし玄関前の雪はねるデイサービスの送迎のため

大寒波気温零下の雪作業手袋しても指先冷たき

   ソニーのデジカメ

流石なり1インチなる受光素子隅から隅までキリリと写る

初代機は5年前なる設計もバランス良くて今でも光る

小さくもレンズと素子が秀逸で一眼レフの画像に負けぬ

等倍に伸ばせばソニーの独断場そこにある物そのまま写る

絶品のプロでも使える高画質我が用途には過剰品かも

   ニコンも良し

あちこちに良心溢れるニコン製画像落ちるもこれで十分

大きくて操作が楽で手に馴染む手軽さ命の実用カメラ

広角も超望遠も任せとけ相手選ばぬ万能カメラ

ソニー得てニコンの良さを再認識どちらも世界のトップ製品

   旅の前

ひと月で再任仕事が年季明け何をするにも緊張切れる

多忙なる自治会業務も過ぎ去りて2月の日差しを楽しんでいる

一生に一度は行きたいアンコール石の遺跡にクメール文化

不幸なる歴史背負いしカンボジア内戦続き貧困抜けず

小松から上海経由でシェムリアップ面倒なれどそれも旅なり

最新の上海空港見ものだが中国表記の案内看板

旅立ちを目の前にしてガイド本尻に火が付き目玉を探る

   井の中の蛙

井の中の蛙は蛙の道があり外界知らずも幸せはある

幾多にも世界をまたに歩けども本質知らねば蛙と同じ

地球とて広き宇宙の豆ひとつどこを周れど井の一つなり

   辞世(職)の句

カタクリの花に送られ美山去る五年過ごせし美しき郷

愛着の机の整理済ませれば長き月日も一瞬のうち

市役所で共に過ごせし仲間たち一人二人と欠ける寂しさ

つながりとプライド宝にいざ行かんこれから先の残されし道

   総江堀り

大雪で半月遅れの総江堀り陽気に誘われ気持ちも踊る

大役を降りて気楽な総江堀りスコップ片手に冗談飛ばして

雪融けてあちらこちらに缶やゴミ拾い集めて回収を待つ

お彼岸を過ぎれど馬鈴薯植えられず記録に残る大雪の年

   畑作業

うたた寝のカエルを起こす耕運機畑作業は受難の日なり

馬鈴薯は植えておかねば芋ならず五キロ手に入れ畑に埋める

コメリにて肥料石灰まとめ買いこれら無くては畑にならぬ

株分けで増え続けたるヤーコンがいつの間にやら二十を超える

   山の友

付き合いが40年の友亡くす急性癌が全身まわり

山好きで写真が好きで車好き人柄良くて趣味が合いたり

若き日の山の写真を眺めれば彼の姿が何処かに有りし

見舞いからひと月経たずにこの世去るあまりに早さに心伴わず

余りにも多くのことが廻り来て彼の思い出言葉にならず

冗談で帰ってきそうと息子言う信じられぬは皆同じなり

半身を無くしたように力抜け船を焼きたる雄三のよう

考えぬようにしていた2週間今ここへ来てふつふつと沸く 

一番の供養は線香立てるより彼の分まで生きるしかなし

   今年の連休

連休は畑にドライブ薪割よ遠出せずとも満足得たり

夏野菜トマトにナスにパプリカとすべて揃えて5千円なり

ひと夏の楽しみ思えば安いもの収穫あるし泣かず遊べる

買ってきてその日に植える慌て者待って居れない我が性格よ

楽しみはでっかい西瓜とまくわ瓜接木なくては我が家育たず

ついでにと種購入の夏オクラ苗植え付けですっかり忘れ







短歌の世界へ戻る