第13集 娘の結婚






   第3章 同い年
   
   同い年

骨痛みそこで分かった肺のがん命逝くまで一年もたず

あっ気なくこの世去りたる同い年定年終わりて3年を経ず

旅立ちし同僚の通夜参り終えしばらく止めし酒をあおりぬ

独特のハイブリッドに慣れたのかどこへ行くにもハンドル握る

本家より高バランスの派生車種長い期間を愛せる車か

排水の村人総出の泥上げに一員として動ける幸せ

草取って石灰撒いて耕運機ジャガを植えれば半日がかり

ニョキニョキと芽を伸ばしたる自家の芋仲間増やせと鎌で埋め込む

半額の牛糞安いと買い求む今週ならば5本で千円

   アルファの荷室

春迎えやっと使えるリアハッチ冬の納車で使う間もなし

寝袋を枕代わりで昼寝するハッチを開けて花を見ながら

ハッチ開けチェア取り出し茶を点てるステーションワゴンの真骨頂よ

レジアスもカローラセダンも出来はせぬハッチを開けてウルトラの技

窓埋めてテレビを置きたる我が荷室時計と机で小部屋のごとし

   春の出来事

雪消えど田圃の心配まるでなく子供の如く陽気楽しむ

陽光も開け放されぬ山間路杉の花粉や黄砂飛散で

滔々と雪融け水が流れ来る冬眠終えた幹線用水

陽光で温室なりし物干し場家のニャンコが一日過ごす

瀬の音に抱かれ育ちし土手の木々お昼休みに散歩をすれば

   派生車種

プリウスのヒットを受けて派生車種後席広くて上級志向

別車種をプリウス仕立てでワゴン風時間ないのか煮詰めが足らぬ

プリウスは機関部分に金掛かり造り内装手抜きの嵐

省エネで一世風靡のプリウスに良くも悪くも一度は乗るぜ

感動が湧き出てこない新車なり納車が済んで数日乗れど

   迷い路

学終えて役所務めで40年抜ける気あれどハードル高し

業終えば我が身にかかる保険料国保にするか任継なるか

平日に行事重なる連合会年休取得もうなぎ上りよ

年休の無くなるときが辞め時か天の意向にすべてお任せ

ワゴンにて旅は出来ても宿ならずキャンパー使えば買い物出来ず

似ていてもワゴンとキャンパー別の物車輪はあれど目的違う

憧れのハイブリッドを所有せどあまりの違いに気持ち入らず

退職者何を楽しみ生きるのか子育て終わり路頭に迷う

年ごとに老いて行きたる親父らよ何をするにも予定が立たず

   愚痴

辞め時か40年の疲れ出てあれやこれやと愚痴ばかり出る

間食と甘いコーヒー原因か血糖数値が境界越える

酒断って玄米食でダイエット20日がかりで1キロ減らす

休日の一人作業の吾が畑欲も作業も程々になる

プリウスの試乗を兼ねて都まで花も見ごろの平安神宮

ご近所の90越えたお婆ちゃん桜待たずこの世旅立つ

雄三と吉田拓郎聞き飽きて若き時代のビートルズ聞く

毎日を無為に過ごして良いものか定年後の珠玉の時間

自治会の会議や業務急増よ4月になって年度変われば

   自由なこと

自由とは気持ち次第で何とでもハードで決まる環境でなく

忙しい雑務に追われる日々でさえ気持ち一つで自由の時間

考えも移動手段も情報も今の時代は夢の如しよ

   今が一番

資金あり時間があって暇もある退職後の数年間は

地域でも元職場でも顔が利く60代に怖いものなし

本業と子育て終えた還暦は肩に背負いし荷物を下ろす

節約も一つの道と思うけどお疲れさまの贅沢もあり

   生活習慣病

病院の血液検査に異常あり血糖数値に黄色信号

生活の乱れが作る病あり食い過ぎストレス糖尿潜む

近年の運動不足に甘いもの本意ならずもベルトが伸びる

間食と油料理を抑えつつ玄米食べて減量挑む

   親父の骨折

額縁を掛けようとして足滑る肋骨4本折りし親父よ

通院も二人掛かりの大仕事車椅子にて済生会へ

昔から病ぜわしい我が親父何をされても痛い痛いと

必死にて地域や介護の日々なれど通院世話がまた一つ増え

   5月の連休

1週間親父のケガで大騒ぎ連休入れど心踊らず

夏野菜連休前に植え終わりお出かけ用に日程空けれど

植えてからいつも気になる遅霜と突然襲う雹の被害よ

田圃には無縁となった連休日朝飯食わず畑へ向かう

運動と食養生は手放さず糖尿病の疑い晴れども

生活の習慣変えねば再発よ高血圧や糖尿病は

運動と思って畑へ足向ける収穫物は野菜と健康

5年過ぎ菜園作業も省略化トマトもナスも同じに植える

   ビートルズ

今までは雲の上なりビートルズこの歳なって真剣に聴く

ジョンレノンポールジョージにリンゴスター個別の顔をやっと覚えし

モノクロのライブ届けるユーチューブ顔を見合わせ実に楽しき

にわかには信じられない死亡説交通事故でポール逝きたし

二代目のポール意外に力ありヘイジュードやレットイットビー

有名なジョンとポールの不仲説入れ替えあれば納得できる

盟友と立場失うジョンレノン心の郷をヨーコに求む

   ビートルズ2

還暦を過ぎて初めてビートルズ4人の若者世界を駆ける

青春を共に生きたるビートルズ国は違えど古き友人

創立のメンバー多くあの世去りネット繋いでチューブで会うだけ

若き日のジョンにポールの愛おしき彼らの歩みし人生知れば

拓郎と通じる良さが共にあり声を枯らして自己主張する

LPやCD持たない楽しみはパソコン開いて動画を流す

   拓郎のCD

拓郎のCD買うのは初めてか40年も前から聴けど

若き日に聴いた拓郎そのままが車の中に飛び込んでくる

青春の思い出詰まる拓郎が三千円なら格安気分

ライブではほとんど歌わぬ無名曲歳月超えてずしんと響く

CDの小さなサイズの紙表紙可愛いけれど傷み心配

   6月半ば

若き日のライブ映像見慣れればジョンもポールも今居るごとし

東京で中古マンション買うという娘夫婦に親が心配

親父ゆえ介護休暇で夏向かう自治会もあり如何なることやら

それなりに育って来たり我が畑夏の野菜の競演なるか

700を走り終わって30余り俺のプリウス中々やるぜ

ここへ来て平穏な日々過ぎていく自治会行事小まめにこなせば

米寿終えめっきり弱ったわが親父部屋で転んで骨折ってから

   スタンダード

ビートルのエイトビートが騒がしく以前のようにクラシックを聴く

拓郎もたまに聞くから良いんだね毎回流せばちょっときついよ

ビートルは麻薬のように癖になる常習なればやる気が失せる

シンプルな演奏ならば美しい心に残るビートルナンバー

50年経ってもいまだビートルズラジオにCDチューブ賑わす

ハイドンやモーツアルトと並ぶのかロックンロールのビートルズ達

あのバッハベートーベンにビートルズこれ等まとめて三Bらしい

ロックでの金字塔なるビートルズ活動期間はたった7年

   今年の夏

貴重なる集中力と謙虚さをうだる暑さが吾から奪う

待望の長き休みもあと少し地区に追われて旅にも行けず

夏休を介護休暇でもらっても介護のことは頭にはなし

猛暑にて窓を開けれど熱風よエアコンなしでは年寄り持たぬ
 
   万灯夜

一乗の夜空を照らす万灯初めて見れば感動を呼ぶ

朝9時に準備始まる万灯夜解散するのは翌22時

一番のネックは来客駐車場遺跡がゆえに開発できず

万灯のあかり夜空に綺麗だが趣旨が俗化でお祭り騒ぎ

自治会が表に裏にお手伝い人喜ばすにも手間暇が要る

ノンアルのビールで済ます会役員軽トラ繰って後の片付け

2日間行事終わった翌週は朝になれども身体動かず

   休み明けの短歌

2か月の介護休暇の職復帰 頭も体も錆ついている

引き出しに入れっぱなしの電卓に光当てれど表示が異常

パソコンのパスワ忘れて起動せずメモを探して右往左往よ

一日の拘束時間の長いこと終業待つ身は子供のごとし

職場にて自治会仕事をこなしたり家にいるより効率高し

久々に注文したる昼弁当いつもの味に気力も落ちる

貴重なる指定休が休めない午前も午後も予定で埋まる

大方の事業を終える9月でもあれこれ有るぜ自治会仕事

   アルファで温見峠

アルファで温見峠に突っ込みしハーレー乗りに触発されて

本来は2輪ベストの峠道4輪車では車幅が不安

国道になってはいるが酷道よ道を外せば命を落とす

集落に人の住みたる気配有り夏の間はふるさと還り

峠には能郷白山登り口道端止める車が二台

待望の峠に立てば肌寒し8月なれど秋風が吹く

根尾村に下りる道中長いこと行けども行けどもカーブが続く

2車線の道路に出れば気が緩む山中ならばまるで高速

山中の定休日なる道の駅 営業してても人は来るまい

本巣から大垣抜けて関ケ原車と人で溢れかえれり

   復活C90

本来の峠走破は二輪だと農舎の奥のカブを引き出す

オイル換えチェーン引っ張り保険入れ準備済ませて峠へ向かう

国道の名が付く狭い山の道いつの間にやら整備が進む

トンネルの掘削進む冠路数年後には峠廃止か

機関から休憩後に異音出る峠見えれど即引き返す

原因はカムチェーン抑えのオイル抜き分かっているが整備が出来ず

   9月初旬

久々に2か月貰った夏休みこどもと同じで9月憂鬱

3日経ちやっと心身慣れにけり不登校にはこの時期つらし

ダイコンの蒔き時9月の「か」の付く日 二日の朝にさっそく蒔きし

3日目にやっと小さな双葉の芽 冬に向かって立派に育てよ

下旬には敬老会と文化祭準備追われて楽にはならず

周囲では稲刈り作業の真っ最中我が家本当は楽なはずだが

   9月初旬の2

ビートルズ持たないドライブ屁の如しラジオだけでは退屈千万

惹かれたるスズキキザシを調べれば2リッター超える面白き奴

評価では走り曲がりは一級の希少価値ありマニアの車

久々の指定休の忙しき修理に配布打ち合わせやら

雨降りてバイクに乗れず内仕事溜まりし短歌冊子にまとめ

近年は短歌も文もローペース冊子になるのは年に一度よ

三日経ちやっと職場に慣れたかな六十四での新人気分

いつまでも支所長気分はケガの元使い古しは所詮それなり






短歌の世界へ戻る