第12集 親父のカローラ





   第2章 夏野菜の植え付け

   夏野菜の植付け

養生が出来ぬ吾の性格は購入苗をその日に植える

蝶々の舞い合う姿可愛いが子の青虫はキャベツを荒らす

楽しみのスイカとウリは夏のもの透明マルチで温室管理

大玉にミニと中玉トマト苗吾が菜園のメイン野菜よ

収穫が秋まで続くナス株に有機元肥しっかり入れる

玉ねぎの収穫跡に蔓伸ばす隣へ植えたウリとスイカよ

賑やかに行灯並ぶわが畑夏の野菜を植え終えしあと

植え付けは野菜の世話のビッグバン水やり収穫秋まで続く

   忙しき日々

淡々と忙しき日々過ぎていく幾多の仕事とストレス抱え

我がままになりし親父が震源地家族みんなが振り回される

毎日の親父の介護で食い違う所詮我が家も嫁と姑か

待望の海外旅行を決めし吾日々に追われて夢を託せず

病院と自治会仕事の専用車十三年落ち白のカローラ

   理想郷

憧れの世界に一歩踏み込めどひと月経てば現実となる

そこに在るいつもと変わらぬ毎日が気持ち一つで理想の里よ

   長生き

親孝行されたいときに親がいる医学と福祉で長生きが増え

いつまでもあると思うな親と金今の時代に合わぬ話よ

定年を過ぎた我が身に降りかかる親の介護と地域の仕事

年寄の病院通いの多いこと今の時代は一割負担で

   わが命

若き日に登りし山の美しき月日刻んだ我が身に比べ

朽ち果てていずれ福井の土となる吾の命は何のためにか

   足かせ

子が育ち親を見送る歳になる次のステージバラ色見えず

定年で解放される身のはずも地域と親が我が足放さず

   趣味の短歌

的確に思い残せる短歌なり字数の多い随筆よりも

十冊の短歌作れど難しき思いなければ形にならず

迷惑も金もかからぬ短歌趣味いつの間にやら五千首になる

随筆を書きたくない日は短歌詠む気持ち記すのも自由自在よ

   車あれこれ

シビックの中古で始まる愛車歴還暦過ぎて終はカローラ

ミニバンの床の高さが災いし足腰弱る老親乗れず

納税の通知が存在主張する納屋に眠りしバイク三台

あちこちに付きし小傷も勲章よ車自体に魅力があれば

この時代良い車とは何を言う質感重視もエコは外せず

   最近の父

草刈機チョーク分からず掛けられぬ20年間親父使えど

若き日に蓄積したる常識が九十なればスコンと抜ける

散水の元栓いつも締め忘れ息子見つけて止める役目よ

我が孫と親父の行動よく似てる主張強いが相手気にせず

   再任うつ

定年を過ぎて今年で三年目日々に追われる吾で良いのか

海外で子供教える日々過ごす教員終えた昔の仲間

作為なく自然に任せる生き方を無為というらし吾に似合いし

心から遣りたいときが最適時無理になるなら時にはあらず

再任と自治会仕事と老親をすべて放って一人旅だぜ

   町内業務

隔週の週末ごとの配布物定期的なる自治会仕事

背広着て三役連れて議長室地元新保の要望書持ち

ゴミ出しがいつも気になるステーション分別違えば回収拒否よ

点滅の防犯灯も我が仕事地図に書き込み電器屋送る

地域には各種団体多けれど改選時期は頭悩ます

防災は自治会役の兼務職避難訓練ホース点検

町内の排水溝や用水路トラブルあれば会長へ来る

恒例の地区体育祭に出番あり人生リレーや万歳唱和

団体のメイン行事も無事終わりご苦労様と酒代渡す

自治会の奉仕活動年2回準備済ませて先頭立って

   ズッキーニ

今春に2株買ったズッキーニ栽培知らず味もわからず

蔓なしでカボチャほどは場所取らずキュウリに似たる黄茄子採れる

ズッキーニだけが元気なわが畑アンデス生まれは乾燥強し

ズッキーニ成る実多くも肥料食い追肥欠かせぬ元カボチャなり

イタリアの料理に似合うズッキーニ我が食卓に居場所はあるか

   帯状疱疹

帯状の疱疹が出た吾が頭部行事や役で心労重ね

散髪のシャンプーかぶれと勘違い症状出るも通院遅れ

ベテランの女医の診断確かなり一目見るなり疱疹当てる

真夜中に痛くかゆくて目が覚める薬飲めども症状消えず

眼帯はあってもなくてもよく見えぬ瞼にできた疱疹重く

指先でまぶた引き上げ運転よ2D画像は距離がつかめず

   カローラ魅力

ひと回り経ても魅力は衰えぬ 昔と違うトヨタデザイン

カローラはどんな用途もそれなりに老若男女どこで使えど

世の中のすべての人が馬鹿にするトヨタカローラ意外に名車

しゃれっ気も高級感もないけれどなくては困る生活ぐるま

世の中に星の数ほど車種あれどカローラ乗れば何も要らんぜ

傷あれど使えば光る実用車シビックカローラ同じ仲間よ

   作物それぞれ

暖冬か玉ねぎ半数とうが立つ乾せど腐りて始末に困る

すくすくと大きくなりし西瓜玉カラス除けにと籠をかぶせる

雨降らず調子上がらぬ茄子連中水が不足か大きくなれず

まくわ瓜接ぎ木がなくて自根苗未熟な吾は実までがいかず

インゲンの収穫重なり食い切れず完熟させて豆にて食うか

播種遅れ生育足らぬカボチャ達現段階で実一つならず

脇芽取り一本育ちの里芋はマルチ効いてかすくすく育つ

芽が出れば放っておけどよく育つ南米原産ヤーコンの株

   入籍

同居して入籍済ますわが娘けじめなくとも立派な夫婦

娘から入籍メール受けとれど父親としては嬉しくもなし

30年手塩にかけた愛娘メール一つで我が家飛び立つ

   深緑ドライブ

多忙にて海外行けず車旅気力不足し準備も不足

キャンカーで高山抜けて松本へこの時期ベストの深緑コース

次々と美術館をはしごするこれが醍醐味初夏の安曇野

博厚に碌山館のブロンズ像最後の締めはちひろの絵画

下道をのらりくらりと信州路高速避けた平日の旅

   週末

自治会と畑作業が集中し息つく間もなし週末の日々

ゆっくりとビールを飲める時間なし夜の会議が二日続いて

役員は現役世代で時間なし会議するのも週末の夜

梅雨前に掘っておきたしジャガの芋予報ながめて畑へ走る

六月は伸び盛りなり夏野菜 収穫含めやること多し

週末は自分の遊びも大事だと時間見つけてハンドル握る

   事務の合い間に

期日前総合支所の選挙事務半日過ぎてやっと二人よ

梅雨入りで窓からの風肌寒し半袖シャツに上着を羽織る

6月で実をつけだした夏野菜赤と黄色が緑に混じる

毎年の防災訓練定例化マニュアルばかりが充実したり

英国のEU離脱の投票で世界の株価が乱高下する

役受けてやること多き週末を肩で息して必死でこなす

菜園で吾が育てた野菜切り自分で煮込んで弁当作る

月曜の朝

夏祭り社会奉仕に防災に遺跡まつりと行事オンパレ

平日はじっと動かず貯えて命がけにて週末こなす

目覚めれど朝の畑に起きられず疲れ残るか月曜の床

両親の通院用のカローラを孫にやるよと言い出す親父

ミニバンと軽トラだけは無理がある年寄家族の送迎車両

この際に新車に替えるかわが車親父の車もすべて放して

一斉にその実付けだす夏野菜雑草取れず収穫だけよ

草含め緑の総量負けはせぬ構ってやれぬ我が家の畑

実を狙うカラス除けには丁度良し草に埋もれるカボチャとスイカ

シンプル生活

シンプルな生活こそが長続き贅沢しても三日で飽きる

贅沢は所詮物資の浪費なり人への奉仕で満足を得る

教え説く世の数多の宗教も行きつく先は人への奉仕

自治会の飲み会

毎日を必死でこなす会長の傷をなめ合う会など要らぬ

鳥獣の話で始まる食事会山沿い住めば悩みは同じ

自治会の分別付いた男たち酒の話題もたわいのないもの

団地住む都会生れの会長に地区の歴史を語る吾あり

生ビール冷酒に焼酎飲み干してふらつく足で階段下りる

スイカの収穫

毎年の夏の醍醐味西瓜食ふた株植えて4個付いたり

籠かけて放っておいた我が西瓜巻き蔓枯れて今が採りどき

草分けて横腹叩けばボンボンと採り時知らせる低い響きよ

持ち帰り体重計に載せみれば重さしっかり8キロもある

畑の草刈り

手間がなく草生い茂るわが畑 靴下のまま歩けるような

エンジンの力を借りて草を刈るエイヤッとばかり開き直って

朝夕は収穫だけで手一杯週末多忙で草取りできず

手間かけず採集のみの野菜園我の畑の理想の形

   還暦過ぎへ送る歌

老人はちょっとやんちゃが丁度良い我慢ばかりは体がもたぬ

少々の負担はあった方が良い控えめ生活長生きできぬ

現役で我慢したことやるが良いそれが老後のパワー源なり

我慢せずやりたいことをやり遂げる究極形の親孝行よ

還暦は体力知力に余力あり旅と登山を山ほどこなせ

苦にするな若い人との交流は大変だねとお話を聞く

本業と子育て終えた熟年は己の生きがい自分で探せ

本屋こそ興味を見つける宝箱ぶらり入って立ち読みが良し

ログハウス菜園趣味かレストアか自然志向のわが趣味の先

パソコンの趣味が転じて随筆家短歌とともにしばらく続く

挑戦が若さの維持の秘訣だよ同じ日課は老化が進む




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