第10集 退職あとに
第1章 退職あとに
退職に
来年の退職控え物思う第三ステージどう生きるのか
田舎ゆえ田圃があって畑あり趣味も多いし悩むことなし
退職で気がかりなのは銭金よ年金だけで何が出来るの
気に掛かる老いた両親掛かる孫 退職しても今と変わらず
早々と太陽パネルに屋の始末 退職前に準備を済ませ
あれこれと退職備え準備せど再任用なら何も変わらず
「今日行くと今日の用事」が大事だと物の本には書いてあったが
退職で自由になるのは時間だと旅に趣味にと心躍らす
物心付きし頃から尻押され辿りついたる定年ゴール
財産は息子娘と家ひとつ六十年の人生終えて
退職に その2
職場にて色んな仕事出来たことこれがほんとの我が財産よ
健康で定年迎える幸せよ家族を持てて子供育てて
定年の年まで親父持ち堪えこれもほんとは有難いこと
嫁もらい息子我が家を継いでいるこれとて本来感謝すべきよ
丁度良く定年までに合格か娘受けたる国家試験が
誰一人入院している訳でなく朝晩揃って皆で飯食う
定年を迎える前の野菜世話 気持ちは既に退職気分
時と金豊かな時代の退職はやる気ひとつで何でも出来る
税金に国民保険に生保など退職あとの手続きが待つ
野菜歌
六月の長い日差しと良き雨で伸び伸び育つ畑の野菜よ
三本のキュウリけなげに実を連ね今朝の収穫両手に余る
雨上がり勢い付けし畝のナス実を大きくし収穫を待つ
放任のウリとメロンに目をやればひとつ二つと実を横たえる
毎日のように咲きたるカボチャ花大きくなるのはひとつか二つ
雨降れど屋根に守られすくすくと大玉トマトの熟成進む
六月の今が盛りのモロッコ種 収穫道具はハサミとバケツ
洗濯のカゴに護らるスイカ玉天気が合わず今年は一個
青虫にレースにされたキャベツ葉がそれでもめげず玉大きくし
期待して5本も植えたオクラ株七月入れど未だ変わらず
初めてのヤーコン二本試し植え大きくなれど愛着湧かず
せっかくのトウモロコシの収穫は虫にやられて食い物ならず
モロコシの間に植えたインゲンが幹に巻き付き花つけ始め
ネギ坊主蒔いて育てたネギの苗やっと植え付け追肥をしたり
初めてのメークイーンの顔見たく早いと知りつつ収穫済ます
指先でアゲハの黒虫取り除く田の里芋も放任できず
不満爆発
大事とりスイカに敷いた枯れ草にナメクジ巣食って底に穴開け
若芽食い増え続けたる青虫が我が気力まで食い尽くしたり
冷害に遭いしキュウリの難しき花も少なく実も曲がりたり
六時起き毎日続けば疲れきて心臓波打ち言葉も荒れる
除草剤何回やれば気が済むか 効果が違う薬ばかりで
経験と掛ける時間が違い過ぎ隣の夫婦に我が畑負け
メークイーン
初めてのメークイーンとのご対面雨降る前に年休とって
端正な形と肌の美しさクイーンでしか拝めぬ姿
日光に弱い芋との情報に青い芋捨て保管も注意
松江市のフォーゲルパーク面白き花賑やかに鳥も舞いたり
南国の花や緑があふれ出て高き券さえ高く思えず
試験済み解き放たれた娘を見れば何年ぶりかの穏やかな顔
着飾りし妻と娘と園回る竜宮城にも勝りし時間
二日ほど疲れが残る松江路もこれ行かずして何が人生
キャンパー生活
発電機エンジン掛からずキャブ修理一昨年から一度も使わず
知らぬ間にトイレの浄水故障する水も抜かずに放っておいて
憧れのキャンパー所有の日々なれど職持つ身では使い切れずに
ひと月は旅に出ないと意味がない退職あとのキャンパー生活
三年で交換目処のタイヤなら冬のタイヤを履きっ放すか
退職の夢を託した旅車使わず居るなら夢にて終わる
退職後
定年で週の前半農業で後半旅出て残り家族日
生活のリズムが大事年金者ほどほどやれば長続きする
絵筆持ち車で出かけて絵を描くこれも一つの理想の形
当方は何せ気ままな自由人絵画飽いたら海釣りもよし
雨降ればパソコン向かって文作り老いた頭を活性化する
舞鶴の街
舞鶴の街にたむろの白服は 船を下りたる若き水兵
名物が海鮮物の道の駅 遠距離客の目の色変わり
日が落ちて残りし車は車中泊一等席はトラックが占め
管理され見た目きれいな公園はテロの防止か車が置けず
灰色の軍艦並ぶ舞鶴港 金網越しにて眺めていたり
舞鶴は言わずと知れた軍の街規模のわりには飲み屋が多い
丹波地方
延々と山地が続く京丹波 米が目当ての古出雲入れず
山間といえど車のナンバーは羨ましいかな「京都」をつける
念願の京都縦貫完成し都会の風が丹波を抜ける
名産の黒豆並ぶ道の駅持ち込み農家の箱ごと置かれ
大雨後の畑
山口に被害出したる大雨は清流足羽を濁流と化す
大雨の後の畑は大暴れナスは倒れてトマトは割れる
雨降りで収穫できぬキュウリ達育ち良過ぎてひょうたんの様
対策はナスの頭上にさおを通し枝それぞれを紐で吊るして
すぐ食えば割れたトマトも食えるよとその場で食ったり食卓出したり
雨後の収穫前のマクワウリ泥に半分その実を埋めて
今年の夏野菜
面倒を掛けられぬ分半作よスイカとウリにカボチャ連中
昨年の倍の品種が植えられて朝晩だけでは面倒見れぬ
毎朝の観察だけは欠かさぬが手入れするだけ時間が取れぬ
山盛りの色とりどりの夏野菜バケツに入れて自転車をこぐ
ジャングルで果物探す気分なり背丈越したるミニトマト勢
蔓まくり機械で刈って耕運機 やっと始末の草の林よ
雨上がり収穫盛りのミニトマト赤き実カゴ入れ割れた実口入れ
うどん粉に負けずと延びるカボチャ蔓健気なれどもその実小さく
草陰に静かに朽ちたマクワウリ手さえ掛ければ日の目見たはず
知らぬ間にカラスが突きしメロン玉皮が厚くて口ばし通らず
種用に残したキュウリ色変わりお化けとなってその実横たえ
孫迎え電車見に行く毎日で畑出るのはいつも夕暮れ
八月に入れど明けぬ前線に野菜の生りも梅雨空模様
梅雨明け後
つる物の雑草ひどくて嫌気さし機械で刈って耕運機入れ
毎夕の水遣り嫌とは言わないが孫連れ帰った夕暮れの中
里芋を蛇口近くに植えし父 安心したのか畝水は俺
田の縁に親父に負けずと植えた芋 草に埋もれて息も絶え絶え
トマトらの間で育つナスの株日光不足か病が付きし
穴掘って茄子の株元肥やし埋め元気が出るか枯れるが先か
夏盛り今まで我慢のオクラ株ここぞとばかり草勢延ばす
八月に元気爆発モロヘイヤ幾ら摘めども草勢減らず
ジャングルで大量捕獲のミニトマト収穫バケツの隙間を埋める
十月に収穫期待のインゲンが強き日差しにその葉を枯らす
水やりが要るのか要らぬか判らない初めて植えしヤーコンの芋
世代交代
老親の足の衰え目に見えて田圃畑を息子に譲る
いつまでも甘えて居れぬ農家業 定年機会に覚悟を決める
新同の軽トラ買いし息子には農家をやると決意が見える
外出がめっきり減った我が親父日々の興味は韓国ドラマ
孫の日課
園庭でしばらく遊んでお茶飲んでカンカン見に行く孫の日課よ
車中にて煎餅かじる孫と爺 腹が減っては列車も見れぬ
農協で買い求めたる子のおやつ車中熱くて焼き菓子になる
特急も普通列車も不満足貨物来るまで帰らぬ孫よ
折り畳む椅子を並べる孫と爺 通る車は何をぞ思う
大根の播種
雨降って大根の種蒔き終えるボトルの底で穴を開けつつ
白菜に小松菜も蒔く調子者 大根終えてついでとばかりに
ポンポンと大根蒔いた畝たたく 育ってくれよと心で願い
堆肥入れ黒々している隣の畑 我が畑見れば石ころだらけ
雨上がり大根の種蒔き終えて心静かに秋を迎える
夏の思い出
一台に6人乗って海めざす夏も終わりの週末の午後
千里浜を目指し高速飛ばせどもここで良いかと徳光の海
初めての波におびえる聡一朗パラソル影の椅子から動かず
靴脱いで素足なりたる若親子ときも忘れて波と戯る
波打ちでホットドックに舌鼓 息子親子に妻と娘と
孫連れて親子三代海遊び 今年の夏の良き思い出に
秋の野菜
半袖が寒く感じる朝仕事 夏が終わって秋の野菜よ
それほどに手間の掛からぬ秋野菜蒔く時期外せば収穫ならず
意を決し大根蒔くも早すぎて雪降る前に花が咲くはず
試しにとポットに蒔いた種物が水やり忘れて萎れが見える
石拾いしてから作業の我がはたけ機械で起こすも畝作るのも
隣からエンジン音が聞こえ来て我も小屋からヤンマーを出す
作業終え家へ戻れば七時半 慌てて飯食い通勤支度
手前苗の植え付け
植えるにはあまりに小さきレタス苗 根気を詰めて精密作業
植え終えど収穫見えぬ手前苗 後は天候運に任せる
店頭の野菜の苗に目をやればキャベツの苗が巨大に見える
ブロッコリーキャベツまとめて十五本九百円なら安い買い物
初めてのブロッコリーにレタス苗育ってくれるか神のみぞ知る
植え終えてひと安心の秋の苗 あとは本業稲刈り準備
9月に入って
たてつづけ台風襲う我が日本ゲリラ豪雨が大暴れして
大雨で倒伏ばかりのコシヒカリ今年の米は不作の気配
何処見ても異常気象の世の中で食べ物だけは確保をしたり
湿田
湿田を毎朝嘆く我が親父 耳遠くして相槌聞こえず
倒伏の田圃刈り取る難作業 気だけ焦るが一人では無理
嫁はんと息子の戦力捨てがたく予報睨んで休日期待
湿田も晴れ間続いて刈り易く 手刈りあれども快適作業
台風一過
台風で大雨なれど安堵感刈り取り済みし田圃を眺め
株間が池になりたる我が田圃刈り取り前なら大騒ぎのはず
橋げたを激流超える渡月橋 各地の被害でテレビに流れ
過ぎるまで待って居ようよ籾摺りは無理した仕事に良い仕事なし
秋の旅行
移動する宴会場となりにけり親睦旅行のバスのラウンジ
朝からのビール体に良く染みて敦賀過ぎれば酔いどれ気分
昼飯は但馬牛の焼肉屋 追加の肉が晩まで残り
店名がたじま路ならば但馬牛 店のお客は勝手に想像
造船や新幹線の川崎は 戦後日本の成長支え
造船が屋台支えるバイク屋のデザインやはり大作りなり
格式の赤黒基調の中華店 味も値段も高級予感
大皿の料理たちまち空になり 若き男ら囲むテーブル
満杯のエレベーターの派手者はヨサコイ参加の若人たちよ
七時から行列できるバイキング 味というより時間の都合
秋の旅行の2
湊川神社参って地下道へ 迷って出れば神戸駅なり
此処彼処小洒落た店が点在し 異人住みたる神戸市街地
六甲の展望台に降り立てば紀伊半島や淡路が見える
本業は式場なりし三田ホテル 余力で作るバイキングなり
整然と住宅並ぶ三田市は港神戸のベッドタウンよ
中国が稼ぎ頭のカップ麺 製麺老舗の生計うるおす
当初から群抜く製品完成度 カップヌードル世界を制覇
定番のビデオかかりし帰路のバスドタバタ劇より落語がよろし
十月の野菜歌
知り合いに貰いし苗が分からない紅苔菜か紅菜苔か
朝採れの選り遅れた大根葉 我が家だけでは調理し切れず
ピンセット使って植えたチビレタス 大きく育って今が食べ頃
夏蒔きのスナップインゲン不調にて土が悪いか全く採れず
十月の半ば過ぎれど収穫可 オクラ五本とモロヘイヤ達
五ヶ月も採れ続けたるナスの株 食を賑わすありがたき奴
ジャングルの様相なれど実を付ける 野生に近いミニトマト達
虫もなく立派に育った小松菜は採る暇なくて母が収穫
水切れで成長止めた里の芋 株元掘ればそれなりの芋
みかん君
みかん君昼間は窓からそと出され朝と晩とは家猫しても
ブルルンと首振る力が並外れ野生の血を継ぐアメリカン猫
元々が頭の悪い舶来猫 幾ら叱れどしつけが出来ず
室内も警戒心だけ一流で 物音ひとつでピクリと動く
両足でジャンプが出来る脚力は 山猫譲りの太い腰から
鳴き声と姿かたちは可愛いがやることなすこと野性動物
娘よ
八年の苦労が実る合格よ 娘受けたる難関試験に
受験して4ヶ月後の発表に 娘も家族も落ち着かぬ日々
勉学の苦楽をともに歩む友いつしか彼と彼女になりし
幸せになってくれよと願う身よ 法曹の道歩みし二人に
最近の父
今までにやってきたこと出来ず居る 米寿迎える我が父のこと
耳遠く細かな話が出来ぬ父 力が落ちて荷物も持てず
自作趣味
板切ってユニット取り寄せ組立てる手間隙かけて作る楽しみ
木工と電気いじりが合わさって自作オーディオ我が趣味に合う
結末は予想以上の83と期待はずれの126機
卓上は極上音の711も大音量は想定外よ
泥沼に入り始めた音の道歓びなるか苦しみなるか
手術
まな板の鯉となったり吾が命 大病院の病室入れば
人工の呼吸器付ける大手術不安がないといえば嘘なり
人生のオーバーホールよ十日間定年後の楽しみ控え
一枚のカーテン仕切る病室もエアコンテレビで快適な城
体力が有り余りたる術前日ベッドと病衣与えられしも
手術日の朝のベッドでクラシック小さな音でも心に染みる
一杯の温かき茶で生き返る手術前の絶食の朝
温かき手術ベッドに癒される手術の前に裸で寝かされ
三つ目で意識途切れる全麻酔四時間後までタイムワープよ
手術の2
点滴とチューブ絡まる身体でも夢の題材自由自在
バルーンにて溜まりし尿に安心し血液混じりてピンクなれども
1時間ごとに見回る看護士に安心あれど熟睡は無理
はちきれんばかりの若き看護婦が動けぬ身にはまぶしい限り
初めての体験となる紙おむつ幼児と違ってぶかぶか仕様
消灯後病棟入ったおじいちゃん痰が切れずに大騒ぎする
三日目でやっと安眠できたよう二時間おきの目覚ましで済む
初食事重湯に味噌汁牛乳も我が身体では食べ切れず居る
カーテンを通し聞こえるご家族の会話ひとつで家庭が透ける
手術騒動
立て続け吾と親父の手術済み我が家もやっと正月明ける
定年に二ヶ月残すこの時期にひと月休むと予想だにせず
老親の腹切り開く大手術 達磨の腹にへの字が残る
十日間寝泊りしたる病院に 退院すれど愛着が湧き
親子
親子にて腎臓手術も珍しき 同じ病院同じ時期にて
大事がふたつ重なり笑い事 年末からの緊張切れる
先陣を切って息子が入院し1週後に親父が入る
結婚や合格続いた我が家にも反動あったか入院続く
病明け
病明けちょっと動けば息切れる気持ち焦れど回復遠し
退院し自宅療養十日間 回復までの必要期間
三月の定年までの二ヶ月が病の身には重くて長い
体力の落ちた身体に弱気出ていつもと違う未来を見たり
意外にも回復早い我が親父長生きするぞと牛乳を摂り
二月の想い
定年をひと月残し支所庁舎見上げる空は晴天なりし
いつまでもあると思うな我が命やりたい事は気にせず進め
アジアかなヨーロッパかな我が想い旅行会社でパンフを集め
一番は食も遺跡もタイなれど首都のバンコク政情不安
憧れのイタリア周遊八日間シーズンならば片手は下らず
海外に夢膨らます熟夫婦仕事持つ身は日程合わず
相棒に何を選ぶか一人旅本格仕様か簡易のレジか
退職の書類を全て出し終えば足も気持ちも宙に浮きたり
古き仲間
退職で古き仲間が集まれば話題は年金健康のこと
病院の話題で宴が盛り上がり 還暦過ぎた五人の男
仲間みな同じ職位で退職し過去の話も気兼ねが要らず
片手する最高級の日産車退職金なら射程の範囲か
退職を機会に車放したりそんな御仁も中には居たり
年老いた親の面倒四苦八苦どこの家でも似たり寄ったり
再会を誓う古き仲間たち 歳を抱えてこの世生き行く
退職者他
年金が下りぬ世代の定年は選ぶ余地なく再任業かな
五年間気楽に仕事が出来るはずプライド捨てて初心戻れば
いきなりの無職稼業は厳しいと週に四日のソフトランディング
スポーツで名を知られたる退職者六十六で逝くには早し
例年の確定申告賑わいて寂しき支所にも活気が戻る
気力
定年を間近に控え迷い道 何をするにもマイナス思考
送別の吾の写真の影薄し孤高いつしか気力を奪う
発想も自由な見方も何処か消え 気力落ちては未来も見えぬ
陽光の野原歩いて気をもらう天から地からすべて忘れて
富士詣で
お彼岸の三連休に夢託し何はともあれ福井飛び出す
出発は季節はずれの大吹雪 木之本越すまで冷や汗続く
浜名湖の風と緑と朝日浴び我がキャンパーが光り輝く
富士山をバックに遊ぶ家族連れ真珠のような春の牧場
月末に定年控える熟夫婦 貴き富士より気力をもらう
蒼き空白き頂写す五湖 疲れし二人の心を洗う
関東の車番が目立つ湖畔道 華やかなれど落ち着きはなし
高規格新東名の走り初め 山中ばかりで趣向に欠ける
難越えて久方振りの小旅行 開放感が身体を満たす
定年になって
退職も思いの外に多忙にて題材あれど短歌進まず
通院も保険証が間に合わず費用全額現金払い
毎朝にタオルを干してごみを出す退職しても何も変わらず
週休に思う存分畑仕事 気持ちあれども二時間限度
ネクタイと紺のスーツは捨て去って通勤姿はブレザー主体
通院と親の介護を先に入れ退職あとの白カレンダー
第二の職場
再任で十年ぶりの起案にも勝手分からず知識も不足
本年の満開桜見事にて吾が退職を祝ってくれる
連絡や現場回りは徒歩使う解消するか運動不足
催しは観光客呼ぶ手段でも史跡が故に手続き多し
再任の通勤手段は軽トラよ周り山では威厳が要らず
史跡には桜目当てのカメラマン一眼レフ持つ老人ばかり
平日に二人で周る遺跡群 退職夫婦の姿が目立つ
整備にて城山遺跡へ登りしも体力勝負の半日仕事
イノシシの掘り返したる穴多く遺跡回ってクワで修復
町跡の紺屋に残る割れがめにオタマジャクシが群れ遊びたり
城内のいにしえ偲ぶ糸桜 淡き緑にパステル模様
あれこれと
見回りといえど山城遠かりし車と歩きで一時間なり
日直の朝から晩まで長いこと特にやることない場合には
定年で再任される気楽さよ気分はすでに若き日にあり
通院に畑作業に孫迎え休みといえどやること多し
退職を満喫したる週休日 時間の流れ変わったような
買い物に行けば目立つよ高齢者以前と違い親しみがわく
この歳で大きい車要らないよ年金もらいは小さな車
軽トラのオーディオデッキも意味がある豊かな老後の準備のひとつ
退職で古きレジアス活き返るひとりの時間過ごす為にて
退職も釣りや絵画に手が行かぬ興味関心急に変わらず
旅よりも畑作業に満たされる歳がさせるか銭の都合か
東北へ
東北を目指しキャンパー走らせる気になる田圃横目に見ながら
日焼けした駐車場の案内員 親切丁寧東北の人
会津来て最初に入りし歴史館 石器に始まる東北を知る
公共の大江戸温泉立派だが土日以外は夕食摂れず
朝もやの猪苗代湖の素晴らしき還暦夫婦の心を洗う
白鳥が泳いで居たり猪苗代 船もボートもみんな白鳥
美しき湖に似合わぬ亀の船 先発なれど乗船見送り
残雪が湖面に映る磐梯にいつか登ると心に決める
デッキにて船から望む磐梯山 先月見たる富士にも負けぬ
鶴ヶ城
鉄筋で再建したる鶴ヶ城 石垣の面弾跡残し
連休と好天候で人多く 列を連ねて天守へ上る
主代えて歴史重ねた鶴ヶ城 会津の街を寡黙に見つめ
随一の難攻不落の城郭も新生政府の軍には勝てず
純朴で一本気なる東北の気質そのまま青年の隊
白虎隊会津の空に花と散り 悲劇多くの物語生む
結婚式
駅前の式場ならばホテルだと思い込みあり館が分からず
人前の結婚式は初めてよ宗が違えばこの手がありか
新しき白一色の式場で新郎新婦が幸せ誓う
披露宴ならではの品フルコース赤ワイン手に舌鼓打つ
白衣着た裸踊りは初めてよ研修医らの宴の出し物
宴会の最後を飾るいつもの手新婦の手紙で母を泣かせる
五月の野菜
元肥にその根を延ばすトマト株葉の濃き色でそのことを知る
九株の転作田のカボチャ苗調査済むまで生き延びてくれ
衝動でツルムラサキの苗買うも植え方分からずネットを探る
粘り気で夏を乗り切るオクラ苗値段高くて数減らしたり
二回目の肥料を入れて土掛けるツボミふくらむ馬鈴薯畝に
真夏日の萎れ対策必要と植えしカボチャに日陰を作る
軽トラに肥料と鍬と苗を積み朝六時には畑へ向かう
早朝田植え
植物に元気をもらう畑作り損得だけで作っておらぬ
毎朝の作業それなり有意義で心も身体も健康志向
六時から一人で植えるコシヒカリ前日の予定雨で流れて
田植え機の上で摂りたる朝食はポケットから出す一切れのパン
気分よくすべて済ませて時計見てまだ間に合うと職場へ走る
箱洗い田植え機洗浄親任せ何もせぬよりそれも良しかと
田植えの2
粗起こしならしに田植えすべてやる定年後の田んぼデビューよ
手伝いに身が入らない我が親父出てくる話は昔の話
田んぼまで歩いて来れぬ老いし母箱の洗いを手伝うというが
来年は家族総出でやるつもりどうせ損得見ずの田んぼよ
脈打って回転決まらぬ田植え機は来年までに分解修理か
車ほど経費がかかる田植え機よ半町作では新車が買えぬ
農作業あれこれ
定年に畑作業に田植えまで4月5月はストレスの月
心臓に違和感おぼえ目が覚める薬代わりにアマチャヅル飲み
まとまった雨が降りたる次の朝畑の作業は山ほどにある
仕方なく使っているが除草剤存在だけでストレスの元
芽を欠いて枝を整理し結わえ付けトマトの世話はこれが楽しみ
肥をやらず素植えをしたるサツマイモ手間隙かけず何処まで採れる
一斉に花を付けたるエンドウの収穫時期も一斉となる
馬鈴薯の草勢だけは負けないぜ芋の出来栄え不明だけれど
透明のホットキャップに保護されてすくすく育つウリとスイカよ
雨上がり
この雨で野菜育つも草も増えクワと機械で全力除草
花跡に小さなトマトと初キュウリ夏の収穫予感がしたり
バッサリとネギの坊主を切り倒す今年主役の新芽期待し
植付けし五本のキュウリ順調も細きネットは蔓が絡まず
いつまでもスタート切らぬオクラ株毎年悩む夏の野菜よ
青虫と対決になる夏野菜ブロッコリーと夏キャベツなり
初夏の朝倉
ウグイスと川のせせらぎ聞こえ来て史跡管理に精出す吾よ
心地よく頬をなでたる初夏の風窓辺に置きしパンフを散らす
猪の荒らし水路の修復に精根込めどまた荒らされる
木陰にて休憩したる吾が耳にかすかに届く草刈機音
五月の出来事
芽を出した放ったらかしの里芋を休耕田に慌てて植える
今春の乾燥続きニンニクに病が付いて肥大進まず
肥の過多で先に倒れた玉ねぎをカレーライスで大試食会
意を決し二度目に植えたサツマイモ先と変わらず縮れてきたり
我がキュウリひと朝ごとにでかくなり1本2本と手で持ち帰る
朝日受け大きく広がるキャベツ葉の青虫探す目を皿にして
水遣って蔓を整理のウリスイカ何処まで生るか自信が持てず
ここへ来て動きを見せるカボチャ株されど隣家のそれには負ける
ゴムを履き動散かつぎ田を歩く還暦男の真剣勝負
野菜達
道沿いに隣が植えたズッキーニどんな育ちか興味を引きし
お隣は蔓をまくりしエンドウが我が家何故か二番生りする
枯れかけたメークイーンの株元を素手で探れば新芋がある
摘心し葉数増やしたマクワウリ子づる孫づるどれがどれやら
足元に曲がった奴がごろごろと栄養不足の我がキュウリなり
毎日の畑
毎日の畑作業に田の管理 退職すれど忙しき日々
うどん粉の病広がるカボチャ葉に牛乳吹きかけ延命図る
水温を維持するための夕仕掛け 水ひとつでも頭を使う
手抜きした代掻き作業がここに出る上と尻とで高さが違う
苦労する溝切り作業もあとで効く水の管理が格段にらく
初めての中干し作業に悩まされ株元眺めいつから干すか
本業の田圃管理に気疲れしちょっと手抜きの畑の野菜
太陽とともに働く古代人退職の身も同じ日課よ
市役所の有象無象に興味なし作物だけが一日の糧
わが親父水が抜けぬと水落とす干し終え吾が水張り済ますも
楽しみの畑の隅のビオトープ 草がひどいと刈り取る母よ
畑それぞれ
巨大なるスイカに育ち気が迷う採取早すぎ白地が混じる
雑草にその実を隠すマクワウリ救出せねば底から腐る
鈴なりの自慢のトマトに虫が付き無念なりしも半分捨てる
薄暗きジャングルに生るミニトマト採集好きにはこれが堪らぬ
うどん粉が広がり来たるカボチャ蔓負担減らせと早めの採取
順調に数を付けたるナスの株 茎に得体の知れぬ虫
毎年に虫に食われるモロコシは苦労多くも満足を得ず
見落してヒョウタンなりし大キュウリ持ち帰らずに株元捨てる
お疲れの日々
週休に車で走れど眠くなりドライブ自体に面白みなく
道沿いの路肩に停めてひと眠り若き時には有り得ぬ話
毎朝の畑仕事に田の管理夕の支度と慢性疲労よ
尽きるまで尽くしてやろうホトトギス我が心境もここまで来たか
手術にて伸ばして貰えた我が命世の為ならば惜しくはないぜ
キャノンの一眼レフ
定年の記念品にとカメラ買う一眼レフでも底値のキャノン
広角と準望遠のズーム付き全てオートの入門機なり
パナ製と画素数ほとんど変わらぬがバックがボケる画像は貴重
どんな画もきちっと撮れるカメラには元広報のプライドがある
どっしりと我が手に馴染むニコン製写りも良いが価格も良いぜ
要求にそれなりこなすパナ製に今となっては感心したり
その昔一世風靡の一眼も今の時代は万能でなく
旅先の記念写真と動撮は手持ちのスマホで十分こなす
海の日
梅雨明けて人で賑わう海の日は一人静かに日直業務
定年後何も変わらぬ生活にこれで良いかと自問自答よ
物買えど満たされ切れぬ我が心 まなこを閉じて己に聞きし
美しき景色も酒も通り過ぎ老いし心の底は動かず
白色は全ての色を含む色我が心境はそれにも似たり
ネギ掘り
早朝のネギ掘り作業に油断ありひねった腰にピリリと走る
前日に遠乗りしたる付け回るいつの間にやら腰に負担が
干しネギは九条ネギの京の技ひと月干して活性化する
隣家から教えてもらったネギの技半信半疑も効果抜群
干しネギ
干しネギをネットで探せば其々で2週間とかひと月干すとか
納屋床にひと月干したネギ見れば葉が枯れ上がりラッキョウのよう
放任のひと月ぶりのネギの株早く植えねば完全消滅
堀り上げと植え付け方法変えてみるネギの栽培まるで実験
色々と経験できるネギ作り昨春貰った葱坊主から
キャノンのレンズ
生命の瑞々しさの表現に丁度良いかもキャノンのレンズ
解像は今ひとつでもキャノン製生き物写せば命が宿る
3万の一眼レフのおまけでも背景ぼけて空気が写る
画素数の少ないことが幸いか輪郭よりも表情が出る
猫撮りやポートレートはキャノンだと撮れば撮るほど評価を上げる
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