1999.9.16「倉谷善右衛門回顧録」自費出版

 このたび、小浜市阿納尻の倉谷幹二氏が「倉谷善右衛門回顧録」を自費出版。故善右衛門は、幹二氏の祖祖父にあたる。明治期に内外海村長を務めた。この回顧録は八十才を迎えた善右衛門が書いた日記である。倉谷氏の蔵に大切に保管されていた。

 本にしたいと思ったのは、「平成9年、「韓国船遭難救護の記録」(泊の歴史を知る会出版)に刺激されたこと。また、「福井県の誕生」を出版した中島辰男氏の本の中にも善右衛門の活躍が紹介されていることからも是非出版したいと思ったこと」と倉谷氏は語る。若狭文学会の四方吉郎氏に編集のすべてを依頼し、発願から約2年間かかって出版にこぎつけた。

「後世にこの想いを伝えたい」と、「日記の中に何度か書いている善右衛門の願いを実現できてほっとしている。」と幹二、千恵子ご夫婦。「先祖供養のつもりで出版しました。」としみじみと語る。

 100年前の韓国船遭難救護のとき、善右衛門は、内外海村長を務めており、内外海村のリーダーとして救護の処理にあたっている。今回の本の中には、韓国船遭難救護の時に使用したロープも紹介されている。韓国船を係留するのに使ったものだと考えられる。倉谷氏の蔵に今も当時を語る唯一の物品として大切に保管されている。運動会で綱引きに使おうかと話していたら、このロープのことを伝え聞く親戚の古老(高浜町在住)が、「これは、韓国船救護のときのロープなので、大事にしとかなあかん。」と教えてくれたらしい。来年1月に泊で開催される「韓国船遭難救護100周年記念事業」のときに展示してくれる予定。「朝鮮の船は泊の海つみに波こぎわけて公を救わん」救護当時に詠んだ歌や、韓国人を送別する村長の辞も掲載されている。

 全部で200部印刷し、図書館や関係者に謹呈の予定。

  問い合わせ先  小浜市阿納尻24-8 倉谷幹二   TEL 0770-52-2814