<父の日>:つれづれトーク1
(昼の職員室。その一角で)
ナルト「ねぇねぇ、イルカ先生ってば何か欲しいものある?」
イルカ「え?………どしたんだ、藪から棒に」
ナルト「いーからっ。何かないのかってばよっ!」
イルカ「うーん……欲しいもの、ねぇ………(と、ふと壁の暦に眼をやって)ああ、そうだな。じゃあ白いカーネーションが一本欲しいな」
ナルト「………気づいてたのかってばよ」
イルカ「はは、これまでどっちにしろ縁がなかったからな。今言われて気づいただけだ。………ありがとな、ナルト」
ナルト「別に………だって先生はオレの………」
イルカ「ん?」
ナルト「なっ、何でもないってばよっ!(赤面)じゃあオレもう行くかんなっ!」
(言って窓を飛び出したナルトを、イルカはくすくすと笑いながら上機嫌な様子で見送って)
カカシ「はははははは、いやぁ初でいいですねぇ、あなたの息子は(嫌味)」
イルカ「(途端、思いっきり不機嫌になった)………何の御用ですかカカシ先生。だから気配を消して背後に近づくのやめて下さいって言ってるでしょう」
カカシ「んー、見事なまでにあいつとは態度が正反対ですねぇ。傷ついちゃいますよ」
イルカ「勝手に傷でも虫でもくっつけててください。じゃ」
(早々に書類を小脇に抱え、場を立ち去ろうとしたイルカを、勿論はカカシは引きとめて)
カカシ「もー、そんなにつれなくしないでくださいよ。そりゃ昨晩イロイロとさせたのは悪かったですが」
イルカ「真っ昼間からナニを言ってんですか、あんたはっ!とにかく退いて……!(と、懸命に首にまわっている腕を外そうとする)」
カカシ「(当然させない)イヤです。……ちょっとぐらいいじゃないですか。拗ねますよ」
イルカ「………大の男が拗ねたって不気味なだけでしょう……(脱力)」
カカシ「でもイルカ先生、オレより年上でしょうが」
イルカ「(ぐっ)そ、そんなの数歳も違わないじゃないですかっ。だ、からもう早く………!人が来たらどう言い訳するんです!」
カカシ「え?別に言い訳なんてしなくてもいいでしょう?素直に公表すればぎゅっ」
イルカ「(キレた)もう一度だけ言いますよ?ど・い・て下さい(と、後ろ手に力一杯彼の首を絞めつつ低く言う)」
カカシ「(げほげほ)うー、もろに入った。あんま恋人イジメるとバチがあたりますよ、もう」
(バッとカカシの緩んだ腕から逃げ出し、イルカは溜め息をつきつつ)
イルカ「そんなもんあんたの方が絶対先ですよ………第一誰が恋人ですか」
カカシ「え?違うんですか?オレずっとそうだと思ってたのに」
イルカ「あれは『一方的』と言うんです。……それじゃ」
憎まれ口を叩きながらも、軽く会釈をするイルカに、カカシは薄く笑みを浮かべて
カカシ「はいはい、いってらっしゃい。あ、イルカ先生」
イルカ「……はい?」
カカシ「おでん」
イルカ「…………はっ?」
カカシ「今夜は、オレおでんがいいです」
…………………………………
イルカ「…………確か、好物は大根とはんぺんでしたよね」
カカシ「はい(喜)」
イルカ「わかりました、用意しておきますよ」
(そう律儀に返答して職員室を出て行くイルカを、カカシは顎をしゃくりながら見送って)
カカシ「…………んー、やっぱこういうのって恋人っていうんじゃないのかねぇ………何だかんだ言って、イルカ先生はやーさしんだから」
(そして夕方の帰り道)
ナルト「センセーっ!」
イルカ「ああナルト。……お前はホントに元気がいいなぁ(苦笑しつつ、駆け寄ってきたナルトの頭を撫でる)」
ナルト「へへっ、だって………(と、ふとイルカが手に持っているものに眼をとめて)……あれ、先生。どうしたのその椿、と袋」
イルカ「ああ、これ。………(かなり気まずそう)……えっと、ちょっとそこに咲いてたのがキレイだったからな(袋はおでんの具だけど)」
ナルト「ふーん……?あ、それよりさ、はい!(と、満面の笑顔でカーネーションを取り出す)」
イルカ「ああ、もう買ってきてくれたのか?ありがとうな、ナルト。お礼と言っちゃなんだけど、はいコレ」
ナルト「(そうして何気なく手渡されたモノに、眼を見張る)え……?これ、巻物?」
イルカ「ああ、昔にオレが体得したヤツ。結構難しいけど、お前向きの術がたくさん書いてあるから」
ナルト「ほんとっ!?じゃあさじゃあさ、オレ頑張って覚えるから、できたら見てくれる!?」
イルカ「勿論。……お前ならすぐに出来るようになるよ」
ナルト「えー、へへっ。えっと、じゃあなイルカ先生!またあしたっ!」
イルカ「ああ、気をつけて帰るんだぞー。これ大事にするからな。…………さて、と(ナルトに手を振り、くるっと振り返って)」
カカシ「や。荷物お持ちしますよイルカ先生」←また気配消してた
イルカ「…………(もう面倒なので何も言わない)結構ですよ………そこまで非力じゃありません」
カカシ「でも俺が食べたいって言ったんですし(と、なおも手を伸ばす)」
イルカ「………なら、お願いします(言って、素直に袋を渡す)」
カカシ「どうも♪………ああ、そういやナルトも言ってましたけど、その椿何に使うんです?夏咲きの、それも一輪だけ」
イルカ「ああ………いや…………」
カカシ「?」
イルカ「(訝るカカシに、妙に居心地の悪そうな態度で)別、に………ただあなたに渡そうかと思っただけで………でもやっぱりやめときます(ひとりごちながら、椿を地面に置こうとする)」
カカシ「(それにわけもわからず慌てて)ちょ、ちょっと待って下さいよイルカ先生。なんかわかんないけど、すごい気になりますって、その言い回し」
イルカ「…………………」
カカシ「………第一、なんで椿を?オレに似合いますか?」
イルカ「…………さあ、オレは花言葉で選んだだけ、ですから………(ますます居心地悪そう)」
カカシ「椿の花言葉?………んー、確か………(と、頬を掻いて思い返して) ……………………………………………………………………………………あ」
(一瞬眼を見張って、ものすごく嬉しそうな表情になるカカシに,イルカはかなり後悔した顔つきになって)
イルカ「…………(やめときゃよかったな、やっぱ)だ、いや、あの、あんたが妙に余計なこと気にしてるからで…………そ、そんな深い意味はないんですからねっ。勘違いしないで下さいよ!」
カカシ「嬉しいですよ、イルカ先生(聞いちゃいねぇ)。やっぱりオレのこと気にかけててくれたんですね」
イルカ「人の話を聞いてくださいっ!」
カカシ「いやぁ、あなたからこんな色気のある真似をしてもらえるとは思わなかったなぁ、はっはっは」
イルカ「~~~~~~~(怒りのやり場がない)」
カカシ「ん~楽しいなぁ…………と、ああいいもの見つけた(そうして唐突に道端に屈み込む)」
イルカ「カカシ先生?」
カカシ「よ……っと、ハイこれ。イルカ先生に(と、差し出されたのは一輪の夕顔)」
イルカ「?何で夕顔……、…………っ!!(理解した)あ、アンタって人は…………!」
カカシ「ぴったりでしょう?あなたに」
イルカ「そういうのは女性に囁く台詞ですっ!そんなのもらって嬉しいわけないでしょう!」
カカシ「えーでもやっぱりお似合いですって」
イルカ「もういいから、元の場所に戻してください。先行きますよ」
カカシ「あ、待ってくださいよイルカ先生」
(スタスタと早足で歩き出したイルカの後を、カカシは急ぐでなくのんびりと追って)
椿は『控えめな告白』
夕顔は『罪深い人』
カカシ「ねぇイルカ先生。………今夜は、寝かせてあげませんからね」
イルカ「…………今夜も、の間違いじゃありませんか?」
<了>
7000HIT御礼…ということで、こんなトークを始めてみました。いつものことながらワケわかりません(泣)
またちょくちょくと書いていきたいなぁと思っているのですが、いかんせんネタ不足で(汗)
切実にテーマを募集中ですー、うう(TT)
しかしなんで二人とも花言葉なんて知ってるんでしょうね…ははははっ(逃亡)←死