■10000HIT御礼トーク■

 


 

1・

(昼。乾元山金光洞)


玉鼎「………太乙。これは何だ」
太乙「何って鎖だけど」
玉鼎「だから何でこんなものが私に巻かれているのだ?」
太乙「やだなぁ。君を動けなくするために決まってるじゃないか」
玉鼎「にこやかに言うなっ!訪ね来た客に一服もって、縛り上げるのが貴様の礼儀か!」
太乙「もう、そんな人を変態にみたいに言わないでよ〜。まるで私が君をいじめて楽しんでるみたいじゃないか」
玉鼎「………その台詞のどこに間違いがあるというのだ………?(もはや脱力)」
太乙「まあそんなことはともかく。どうせ怒るんなら、私じゃなくて楊ゼンくんを怒ってよ」
玉鼎「?何……楊ゼン?」
太乙「そうだよ〜、だって君がここに来たのは、彼に促されたからでしょう?私が君を見返りに要求したからね」
玉鼎「………すまない………まったく話が見えないのだが………」
太乙「まあ、君の真面目な頭じゃあそうだろうねぇ。いいよ、教えてあげる。あのねぇ………


(で、遡ること数日)


太乙「楊ゼン……これはまた、随分と外道……じゃなくて素晴らしい宝貝を所望してくれたもんだね………(和紙を見つめながら嘆息する)」
楊ゼン「貴方なら造れるでしょう?これぐらいないと、あの人には適わないんですよ」
太乙「そりゃそうだろうけど…………うーん」
楊ゼン「あ、もちろんお礼はさせていただきますよ。とりあえず師匠はどうですか?」
太乙「師匠、って………玉鼎?」
楊ゼン「ええ。貴方はあの方がお気に入りでしょう?」
太乙「まあ、うん……くれるもんなら、もらいたいけどさ」
楊ゼン「じゃ決まりですね。貴方のところになら、その類いの薬ぐらいいくらでも置いてありますよね。僕が師匠をここに出向かせますから、それから後は煮て食うなり焼いて遊ぶなり、お好きになさってください」
太乙「いいねえ。しかし何であの玉鼎に育てられて、君みたいな性格が出来あがるのか、かなり不思議なところだね」
楊ゼン「褒め言葉と受けとっておきます。甘やかされて育ったものだから、欲しいものは手に入れないと気が済まないんですよ。僕は我侭ですから」
太乙「へえ〜、自覚してやってるんだから、ある意味最強だね。まあいいや。私は君のそんなトコが好きだし。その見返りつきで、この宝貝仕上げてあげるよ」

 

2・

楊ゼン「ありがとうございます。僕も貴方は好きですよ。……なんでしたら、今度遊んでみませんか?」
太乙 「ふ〜ん、どっちが下?」
楊ゼン「もちろん貴方が(きっぱり)」
太乙 「………嬉しいけど遠慮しておくよ。僕、腰にはあんまり自信がないんだ」
楊ゼン「そうですか、残念です。それじゃあ、すぐに師匠をこちらに伺わせますね………きっと暴れるでしょうから、多めに薬を飲ませておいた方がいいですよ。色々と」
太乙 「うん、充分承知してるよ………ふふ、楽しみだなぁ(にやり)」

太乙「………とまあ、そんなわけで」
玉鼎「太乙、これを外せ」
太乙「え?」
玉鼎「金霞洞に戻る
太乙「………玉鼎、楊ゼンくんを殺しかねない目つきしてるよ………」
玉鼎「当たり前だ!どこの世界に師をモノよろしく売り飛ばす弟子がいる!(ごもっとも)」
太乙「でも育てたのは君だよねぇ」
玉鼎「………頼むからそれを言うな…………今深く後悔しているところだ」
太乙「まあまあそう落ちこまないで(他人事)。あれ多分遺伝だよ………そんなことはともかく、ねえ玉鼎。そろそろ本筋に入ろうか」
玉鼎「嫌だ」
太乙「ちょうど(常量の五倍の)薬がまわってる頃だから……身体、動かないでしょう?」
玉鼎「いや、だから………」
太乙「この寝台に運ぶのは骨が折れたけど………意外と君って軽いし、これならするのも結構楽だと思うんだ」
玉鼎「勝手におぞましい話を進めてないで、少しは私の意を汲まんか!冗談ではないと言ってるだろう!(必死)」
太乙「だーかーら、文句なら君の弟子に言ってってば。私はただ、彼の方から申し出てくれた『見返り』の味見をするだけだし……そういうわけで、君に選択の余地はないでしょう?」
玉鼎「………その考えが根本的に間違ってることに、お前絶対気づいて………」
太乙「さあ玉鼎!(聞いちゃいねぇ)昼も夜も長いんだ!楽しく遊ぼうじゃない!(がばぁっ)」
玉鼎「うわぁーーーーーっ!!!!」

(そして、一方的な官能シーンが続く)

 

3・

(そして翌々々日)
玉鼎「(よろり……)し、死ぬかと思った………」
(冗談でなく死にかけながら、それでもどうにか玉泉山に辿り着いた玉鼎。ふらふらと千鳥足で金霞洞に向かおうとしたとき)
普賢「(がしっ)やあ玉鼎。どうしたの、顔真っ青にして」
玉鼎「(いきなり背後の草むらから肩を掴まれて飛びあがる)ふ、普賢……!?何故こんなところに……」
普賢「いやー、まあ、それより君こそどうしたのさ。まるで幽鬼みたいだよ。綺麗だけど」
玉鼎「(……どういう眼をしているのだ、この男は)……あ、ああ……ちょっと全身筋肉痛と腰痛が酷くてな……」
普賢「へえ、それは大変だねぇ。でもお疲れのとこ悪いんだけどさ(言って、いきなり芝生に玉鼎を押し倒す)」
玉鼎「は?……って、ふ、普賢!何をする!?」
普賢「何もしないよ………僕はね(にこにこ)」
玉鼎「(……ぞっ)な、なら退いてくれないか?言っただろう、身体が辛くて………」
普賢「太乙にヒドイことされたから、抵抗する元気もない?」
玉鼎「ああ、そう………………………………………………………………………えっ?」
普賢「楊ゼン君が教えてくれたんだよ。どうやら宝貝と引き換えに使われたらしいねぇ。僕の場合はコレと君を取引したんだけど(嬉しそうに言って、ごそごそと懐から小さな物体を取り出す)」
玉鼎「………ちょ、ちょっと待て。まさか………」

普賢「そう、そのまさかだよ。君はまた彼に売り飛ばされたわけ」
玉鼎「…………………(もはや開いた口が塞がらない)」
普賢「それでね、僕の趣味で創ってたコレを欲しいって言われたからさ。玉鼎で一度試したみてからなら、あげてもいいって言ったんだー。ねえ、だから協力してくれる?いやどうせ無理矢理するんだけどさ」
玉鼎「なら最初から同意を求めるな………ではないっ!!! なんで太乙もお前も、好き好んでそんな無茶苦茶な取引きに応じるんだ!!お前ら卑しくも十二仙だろう!?(涙目)」
普賢「えー?そりゃあ僕らだって、他のものを引き合いにだされたなら応じようとは思わないよ。君が片方の秤にのせられてたから、同意したんだ」
玉鼎「…………なん…………」
普賢「玉鼎は絶対知らないだろうけどね。十二仙のうち、約半分が君を狙ってるんだよ?僕はその内の幸運な一人だったってわけ。普段の君に手どころか指でも出そうものなら、即座に斬って捨てられること請け合いだからねぇ」
玉鼎「………お望みなら、そうしてやるぞ」
普賢「やだなぁ、玉鼎。眼が本気だよ」
玉鼎「本気で言ってるんだ!!」
普賢「さーて。お喋りはこれぐらいにして。早速、僕の発明品を試してみようかな」

 

4・

玉鼎「お前ら、本当に私を何だと………!」
普賢「煽られる人、だと思ってるよ。よし(ぱんっ)」
(玉鼎の上に馬乗りになりながら、両手でその物体を叩いた普賢。玉鼎はそれを訝しげな目つきで眺めていてー……)
玉鼎「な……何だこれは…」
(いきなり物体から蒼い霧が発生し、徐々にそれが寄り集まって形を成していった)
普賢「だから僕の傑作。名づけて鏡傀儡」
玉鼎「名なんぞどうでもいい!それよりー………え?」

普賢「あ、ヒドイな。これでも結構苦労してつけたんだよ……ぴったりでしょ、驚いた?」
(唖然となる玉鼎に、くすくすと笑いかける普賢。集まり、固まった霧は、寸分違わず玉鼎と同じ姿形をしていた)
玉鼎「な……何で私が・……?」
普賢「あのねえ、コレはコピー宝貝なんだ。使用した人の命令なら、何でも忠実に聞くんだよ。面白いでしょう」
玉鼎「……コピー……?何で、今こんなものを……」
普賢「あれ、わかんない?やっぱり玉鼎は鈍いねえ(にーっこり)」
玉鼎「(ぞわわっ)な、何をだ?」
普賢「言ったでしょう。僕、は何もしないって。ね、だから……君に、この宝貝と遊んでもらおうと思って」
玉鼎「(絶句)…………なっ、何だとっ!?」
普賢「自分に抱かれるのって、どんな気分かなぁ………後で教えてね、玉鼎」
玉鼎「ちょ、ちょっと待て!いくら何でもそれは人(仙人)の道に外れて……!」
普賢「だーいじょうぶだって(根拠なし)。あ、でも昨日の今日だし、身体辛いかもしれないけど」
玉鼎「普賢……!待っ………!」

普賢「じゃあ僕はここで見物させてもらうからねー……ちょうど空も明るいことだし、よく見える」
玉鼎「いーやーだぁーーーーーっ!!!!!」
(そしてよりにもよって外の青空のもと、滅多と聞けない悲鳴が響き渡った)

 

5・

楊ゼン「雲中子さまー、いらっしゃいます?」
雲中子「おや楊ゼン、何の用だい?」
楊ゼン「ええ、この前お願いしたクスリ、出来上がりましたか?」
雲中子「ああ、出来てるよ。そこの戸棚の右」
楊ゼン「ありがとうございます。………ふふ、これでやっと揃った」
雲中子「何がだい?」
楊ゼン「いえ、こちらの話です」
雲中子「ふーん…………そういえば、さっき嬉しそうに太乙が近況報告していってくれたけど………玉鼎、まだ生きているのかい?」
楊ゼン「ええ、かろうじて(にっこり)。今頃普賢真人さまに襲われていると思いますが」
雲中子「そう……あのえげつない宝貝でねえ……彼も災難だ。で、僕で最後?(あっさり)」
楊ゼン「はい。かなり消耗していると思いますので。扱いは楽ですよ、きっと」
雲中子「消耗以前な問題な気もするけど………まあそれはいいや(かなりよくない)。じゃあ僕も玉泉山の方に出向いていくよ。………君も上手くいくといいねぇ」
楊ゼン「いかせてみせますよ。………そのために、貴方がたに色々とお願いしたのですから。まあ、確かになくてもどうにかなったでしょうけど……やっぱり楽しく遊びたいですからね」
雲中子「成程。さすがは君だね。それじゃあ」
楊ゼン「ええ、存分にあなたも楽しんできてくださいね」


雲中子「そんなわけで、今度は僕がきたよ」
玉鼎「ほお………それが、こうして寝込んでいる病人に向かって投げる第一声か(既に疲れた殺気)」
雲中子「何とかここ(金霞洞)の自室までは歩いてこれたわけだろ?普賢が満足するまで遊ばれた割には、元気いいじゃないか」
玉鼎「…………あんな見晴らしのよい場所で、この私が転がってられると思うのか、お前……」
雲中子「いや、そうは思ってないけど。まあ犬に噛まれたとでも思って、潔く諦めて」
玉鼎「噛まれ方に限度があるわっ!!一度お前がされてみろ!」

 

6・

雲中子「ダメダメ、私じゃ絵にならないよ」
玉鼎「そういう腐った問題ではな………」
雲中子「ともかく、私は楊ゼン君に渡したクスリと引き換えに、君を実験台として譲り受けたからさ、早速これ全部試してもらうよ(言って、がばっと開けた箱には、かなりの数の小瓶)」
玉鼎「…………全部?」
雲中子「そう」
玉鼎「私にとどめでも刺す気か?」
雲中子「そうは考えてないけど、結果的にそうなっちゃうかなぁ。まあ仕方ないね」
玉鼎「仕方なくないっ!もういい加減にしてくれ!(切実)」
雲中子「(無視)えーっと、それじゃあますはこの媚薬から………」
玉鼎「おいちょっと待て、何故そんな物騒なものを私に?」
雲中子「効果を調べてみたいだけだよ」
玉鼎「………ちなみに聞くが方法は………」
雲中子「君が思っている通りさ。媚薬の効果の有無を調べる方法なんて……一つしかないだろ?」


(そんなこんなで三度目の悪夢が過ぎる)


(そして数日後の金霞洞)
楊ゼン「ふう、只今戻り……(ざくざくざくっ!)うわっ!」
(いきなり扉を短冊切りにされて、驚く楊ゼン。そして前方を見やれば)
玉鼎「よく戻ってきた………その勇気だけは褒めてやる。そこへなおれ、楊ゼン」
楊ゼン「師匠……まるで敵討ちに向けるみたいな殺気ですよ………」

玉鼎「似たようなもの……いやそれならば、まだ可愛げがある!!お前がどういうつもりで、あの外道どもと取引きしたのかは知らんが、絶対許さんぞ!!」
楊ゼン「(あれだけ打ちのめされて、まだ動けるあたり、よっぽど怒ってるんだなぁ……)まあまあ師匠、そんなに憤ると、疲れたお身体には毒ですよ」
玉鼎「ほお……どうやら本気で私を怒らせたいらしいな……(怒りで斬仙剣を持つ手が震える)」
楊ゼン「そうじゃありませんって(そうだけど)。……と言っても無駄でしょうから、力づくで抑えさせていただきますよ(言って見なれぬ宝貝を構える)」
玉鼎「?それは………?」

 

7・

楊ゼン「太乙真人さまに造っていただいたんです。三尖刀ぐらいでは、貴方には歯が立ちませんからね」
玉鼎 「太乙……?では、それは……」
楊ゼン「行きますよ、師匠!(嬉しそう)」

玉鼎 「楊ゼっ……ちょっと待…………!」
(そしてしばし連綿と響く轟音。金霞洞の中央の広間が、こまぎれになっては空を舞ってー………・)
玉鼎 「−くっ!(がく、とあまりの楊ゼンの宝貝の威力に膝をつく)」
楊ゼン「………まあ、いかに貴方が非常識に強くとも(他人事)、まだ病み上がりの身ですからねぇ……(楊ゼンは玉鼎にすっと歩み寄って、彼の腕から斬仙剣を取り上げ)……ふふ、というわけで僕の勝ちです」
玉鼎 「………〜〜っ………(怒りのやり場がない。哀れ)………まったく、とんでもない弟子に育ったものだ。誰の為に、人を借り出したのかは知らんが………」
楊ゼン「え?何を言ってるんですか、師匠。何故、僕が今この宝貝を使ったと思ってるんです?師匠を負かすためですよ?」
玉鼎 「は?」
楊ゼン「あなたを負かして、僕の好きに扱うためです」

玉鼎 「…………(絶句&放心)…………な」
楊ゼン「お気づきじゃなかったんですか………ヒドイなぁ。僕が愛してるのは師匠だけなのに」
玉鼎 「………その愛してる人間の為に、張本人をダシに使うのか、お前………」
楊ゼン「だっ、。あの人達を動かすエサは、師匠しかなかったものですから。確かにちょっと矛盾してるかなー、とは思ったんですけど」
玉鼎 「矛盾しすぎだ!!そんな理由でエサにされた方の身にもなってみろ!!(言ってて悲しい)」
楊ゼン「まーまー。それだけ師匠が皆に愛されてるってことじゃあないですか。さーて、無駄話はこれぐらいにして(楽しそうにひょい、と玉鼎を担ぎ起こす)」
玉鼎 「な、何を………」
楊ゼン「おわかりでしょう?(にっこり)」
玉鼎 「………やっぱりか。なんて納得できるわけがあるか!!いい加減に離せ!」
楊ゼン「嫌です(きっぱり)ここぼろぼろになってしまったから、僕の寝室まで行きましょう。早く他の二つを試してみたいんですよ」
玉鼎 「………何………?」
楊ゼン「普賢真人さまからいただいた宝貝と、雲中子さまからいただいた薬です」
玉鼎 「………………それはもしや………・・」
楊ゼン「ええ。鏡傀儡と超強力な媚薬です。僕が楽しむために欲しかったんです」
玉鼎 「ほぉ、そうか……ちなみに聞くが、どう使うつもりだ?」
楊ゼン「それは勿論。貴方にこの薬を飲ませて、僕が二人に分かれるんですよ」
(そしてこの後。想像するのが容易な展開に)


(後日。見舞いにきてくれた友人がひとり)

道徳「………災難だったなー、玉鼎(イタイぐらいに実感こもった物言い)」
玉鼎「ああ………情けなさに涙が出てくる……(実際出てる)」
道徳「まあ……あの四人はそーいう奴らだし……俺は何もしないから、ゆっくり休めばいいぞ津。あ、林檎剥くか?タオル変えるか?気分悪くないかっ?」
玉鼎「………道徳。もう信用できるのはお前だけだ………(ほろり)」


元始天尊「……あやつを通天から引き取ったのは、間違いだったのかもしれぬのぅ………」
白鶴「そうですねぇ。でも、千里眼で黙って色々覗き見しているあなたも、相当なものだとは思いますけど………」

結論。世も末である。
   せんにんかい

 


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