蓮盛抄の概要

『本満寺録外』『三宝寺録外目録』『定本』『新定』等所収。『本満寺録外』の本文奥に「私云、此書御筆有之歟可尋之。」とある(上317頁)。
 『高祖遺文録』等に「禅宗問答鈔」と題されるように、禅宗の破折を内容とする。禅宗の迦葉付嘱の根拠とされる『大梵天王問仏決疑経』が偽書たること、「是心即仏、即身是仏」「仏祖不伝、教外別伝不立文字」などについて一々に破折を加えている。但し、この時期にこのような体系的禅宗破折がなされるのには違和感があり、古来真偽未決とされるように、真偽問題も含めて考うべきである。なお、岡田栄照論文「日蓮の禅批判について」(『印度学仏教学研究』第14巻1号128頁)には、「大梵天王問佛決疑経」が疑義濃厚な本書および「聖愚問答抄」に限定的に登場することが指摘されている。