念仏無間地獄抄の概要

『本満寺録外』『三宝寺録外目録』『刊本録外』等所収。
 浄土教が堕地獄の業因たるゆえんについて、まず教主論から、三界の主師親たる教主釈尊をさしおき他人たる西方極楽世界の阿弥陀仏を憑むは主に背く五逆の徒であるとする。 また、教相論からは、浄土三部経は一代五時八教の内第三方等部に属し、未顕真実の権経であるとする。次に実証面から、浄土教の祖善導和尚の行状につき、自ら首をくくって頓死したのは、浄土教が無間大城の教えである証拠であるとし、また日本 では法然及び一門が南都山門の破折を受け、更に法然は遠流に処せられ死後墓が暴かれたのも、彼の著『選択集』が謗法の書である故であるとする。このように浄土教を教義及び現証の両面から破折した後、最後に現今の浄土宗徒に対し、浄土教を抛 ちて『法華経』に帰すべきことを願い本抄を結んでいる。なお、文中『浄土決疑集』の作者を「實胤」とするのは「公胤」の誤り。また『弾選択』の作者を「隆真」とするのは「定照」の誤りで、番号3-015「浄土九品事」(真蹟完存)が「定照」を 「定真」とするもののほぼ正確に記されているのと対照的である。