薬王菩薩本事品 (やくおうぼさつほんじほん)     関連語句 薬王菩薩 後五百歳 
 『法華経』巻7・薬王菩薩本事品第二十三のこと。薬王品と略称され、『正法華経』巻九・薬王菩薩品第二十一にあたる。
 『法華経』後半十四品の本門の流通分の中で、本品から妙荘厳王品第二十七の五品は化他の流通を明かし、 本品では薬王菩薩の往事の苦行を説いて行者を勧奨している。すなわち、薬王菩薩が過去世に一切衆生喜見菩薩として日月浄明徳仏から『法華経』を聞いた大恩に報いるために、みずからの身を燃やして千二百歳の間、仏と『法華経』 に供養して身命が尽きてしまった。しかし、再び日月浄明徳如来の国に生じて滅後の付属を受け、仏滅後に起塔供養に満足せずに自分の両臂を燃して七万二千歳の間を供養したという因縁が説かれている。
 これは捨身供養・焼身供養といわれる義で、供養として最もすぐれている旨が示されている。次に仏は「一切江河の中に海第一なり」等の十喩をもって『法華経』の最第一たることを明かし、さらに『法華経』が一切衆生の苦悩を救い楽を与える利益を十二の喩えで説き示している。最後に本経 を受持・読誦・解説・書写する者の功徳を広く説いた後に、仏は本品を宿王華菩薩に付属して、「我が滅度の後、後の五百歳の中に、閻浮提に広宣流布して、断絶せしむることなかれ」と厳命している。この文に見える「後の五百歳」を宗祖は五箇五百歳の 第五の五百歳である「末法の初め」を指すものと規定し、『法華経』の末法流布の必然性を証明する経文として重要視された。『秀句十勝抄』〔35076〕などに経文が引かれている。