無量義経(むりょうぎきょう)     関連語句 無量義経の注釈 法華経 蕭斉 曇摩伽陀耶舎
 @一巻。中国・蕭斉(しゅくせい)代の曇摩伽陀耶舎(どんまかだやしゃ)が建元三年(481)に訳出した。説時が仏の得道より四十余年にして『法華経』の直前に設定されているところから、古来『法華経』の開経とされ、結経の『観普賢菩薩行法経』 と共に法華三部経と称される。説処は『法華経』と同じく霊鷲山であり、徳行品・説法品・十功徳品の三品から構成される。最初の徳行品第一では大衆を代表して大荘厳菩薩が偈をもって仏を讃歎しているが、この偈頌の中に仏の身について非有・ 非無・非因・非縁等の三十四箇の非が説かれている。説法品第二では仏が大荘厳菩薩らに対して、無量義と名づける法門を修学すれば菩提を即得すること、また無量義は無相実相の一法より生ずることを示している。また、「四十余年未顕真実」と説き 、これまで説いてきた諸経はすべて随機の方便であったことを明かしている。最後の十功徳品第三ではこの経を修行すれば十種の不思議な功徳力(浄心・義生・船師・王子・竜子・治等・封賞・得忍・抜済・登地の十不思議力)を得ることを説き 、大荘厳菩薩および八万の菩薩にこの経を付属し、諸菩薩が弘経を誓って終わる。現存最古の注釈書として最澄の『注無量義経』3巻がある。『断簡二四五』〔40361〕等に言及されている。
 A『法華経』の異名。天親の『法華論』に説かれる十 七種の異名の一つ。『秀句十勝抄』〔34994〕等に見える。