能義神社(のぎ)

◆島根県安来市能義町三六六番地
能義神社の由緒大鳥居よりの石段

 当社の御祭神は、天照大神の第二子、天穂日命であります。 天穂日命は国土奉還の使者として高天原より大国主大神のもとにおいでになり、大きなご功績を挙げられて、大神のご祭主としてお仕えされた神様で、出雲国造家の御祖神であります。

 当社の例祭十月十九日には、出雲国造八十三代の御孫千家宮が親しく参拝され、御祖神の御神威を奉載されています。

 当神社の創建は、遠く神代にさかのぼり七三三年に撰上された「出雲国風土記」には「野城社」とあり、九六七年に制定された「延喜式」の神明帳には「野城神社(のぎのかみやしろ)」と記載される古社であります。

 出雲の国人達は四大大神、つまり出雲大神熊野大神佐太大神とならんで能義大神とその御神名を称え、尊崇してまいりました。そして朝廷の御尊崇も殊に篤く、「六国史」には数度にわたって神階を授けられた記事をみることが出来ます。

 又、社殿も古雅広壮であったと伝えられていますが、永禄六年(1569)天災で焼失、慶長十八年(1613)堀尾氏の御造営以来十一回の御遷宮を経て今日に及ぶ大社造りの古社であります。

御祭神

天穂日命
能義神社立札より
社名
     ノキノカミノヤシロ

 九條家本・武田家本とも「能城神社」と記し、ノキあるいはノキノと傍訓しているが、吉田家本ではノサキと訓ましめている。 風土記の「野城社」に相当する。 近世の諸書には「能義大明神」とあるが、明治以後はその「大明神」を「神社」に、「能義」はそのままにして、「能義神社」と記すに至つている
能義神社拝殿

祭神
 『雲陽誌』に「天穂日命をまつるといふ」とあり、『出雲神社巡拝記』には「祭神たかみむすび命」とあり、『出雲国式社考』にはまた「天穂日命をまつる」としているが、明治の『特選神名牒』にはただ「野城大神」とのみ記し、
 
 「旧来三社大明神又は野城社とも称し奉る三社は、野城本社一座と同社二座とを合せたる称なるべし。 然るを天穂日命と称し奉らぬを不足に思いけん。 元禄より四座として天穂日命を別に称し副へぬ。 かの元禄十五年の棟札に能義大明神天穂日命社とあるが如し。 是れ吉佐村天津明神即ち天穂日命と混稀せし所以にして、年久しき論所と見えたり。 但し風土記・三代実録等にただ野城大神とあれば、今もなほ其如く称し奉るべし」
 と説いている。

 現在の明細帳では、
主祭神   天穂日命・大已貴命・事代主命、
合祀神
誉田別命・息長足姫命・玉依姫命・順徳天皇・経津主命・国常立命・ 神皇魂命・惶根命・国狭土命・伊弉冉命
 となつている。
 主祭神のうちの大已貴命は
式内同社坐大穴持神社の、事代主命は式内同社坐大穴持御子神社の祭神である。 また合祀の誉田別命以下は、元能義村松谷鎮座の八幡宮・金刀比羅神社・山王神社の祭神であつた。

由緒
 風土記、意宇郡野城駅の條に「依野城大神坐、故云野城」とあり、この神が当時、熊野大神・所造天下大神・佐太大神とともに「大神」の穣称をもつて呼ばれていたことを知るものである。 中・近世には武家の崇敬が篤く、戦国時代には尼子・毛利の寄進があったと伝へ、また慶長六年(1601)には堀尾山城守の、寛永十五年(1637)には松平直政の社領寄進があつたと記されている。
 また近世には能義郡の惣社とされ、遷宮にあたつては郡内全体からの奉仕を受けた。 古来主祭神が
出雲国造の祖たる天穂日命とされてきたため、国造家の代替りには、千家・北島の両家とも新国造が参拝奉幣する慣いになつていて、そのための国造休息所が境内にいまも設けられている。 しかし『雲陽誌』に 「慶長十六年本社・末社・神宝まで悉炎上す」 とあるように、古い文書・記録はほとんど残っていない。 明治四年郷社に列せられ、六年県社に昇格した。能義神社本殿

祭祀
 近世の諸書には九月十九日とあるが、大陽暦施行以後は十月十九日を例祭とし、二月中に新年祭、六月五日に御田植祭、六月晦日に大祓、七月三十一日に夏祭、十一月二十三日に新嘗祭を行なつている。 六月五日の御田植祭には拝殿の前庭に仮りの田をつくり、模造の鋤・鍬で田起し・代掻きを行ない、真菰の茎を刻んで種籾に見立ててこれを蒔き、真菰の葉を苗に見たて、田植え歌を歌いながら田植えをする。 当日氏子は豊作祈願の御礼、櫛の御幣を持ち帰り、それぞれが己の田の一画に挿す。

 六月晦日の大祓には、神前に斎竹を立てて祓所を設け、参拝者はめいめいに祓い物としての麻串を差し出して祓いを受ける。 神社ではその祓い物をまとめて飯梨川に流してやる。

 七月三十一日の夏祭りには事前に各戸に人型を配っておき各人がそれに年齢・性を記入し、罪穢を移して持参すると、神社ではそれを唐櫃に納め、夕刻、道楽してそれを飯梨川まで持ち出し、型代を川に流してやる。

十月十九日の例祭には中津の御旅所まで神幸を行う。

−式内社調査報告より−


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