ここでは Magic の“プレミアイベント”について考察してみます。
一般にプレミアイベントと言うとDCIやディストリビュータが主催するK値の高い物、というイメージを持たれている方が少なくないかと思います。しかし実際に Magic に関するDCIフロアルール(付録A)を参照すると、DCIが言うプレミアイベントの定義は・・・
- 世界選手権
- 国内選手権と予選となる地域選手権
- プロツアーと予選
- グランプリとトライアル
- プレリリース・トーナメント
- ジュニア選手権
- フライデー・ナイト・マジック
- その他(マスターズ・トーナメントやジュニア・スーパー・シリーズ選手権)
・・・等と多岐に渡っています。フライデー・ナイト・マジックがプレミアイベントだというのは私にはちょっと意外でした。(なおプレリリース・トーナメントは16K、フライデー・ナイト・マジックは8Kのイベントです。)このうち私が知っている日本でも開催されている物は“国内選手権”“プロツアー(本戦及び予選)”“グランプリ(本戦及びトライアル)”“プレリリース・トーナメント”辺りでしょうか。(他の物も開かれているかも知れませんが、私個人は認識していません。)世界選手権は過去に1度横浜で開催されていますし、プロツアーは今年と来年にそれぞれ本戦が日本で開催されます(今年の分はもう終わりましたが)。
ですから別にK値がどうという話ではなく、WoCなりDCIが重要と認定したイベントが文字通りプレミアと呼ばれている、そう考えれば間違いないかと思います。ちなみに今回私が主に取り上げるのは、このうち主にグランプリに関する話です。
それではグランプリ本戦が現在日本国内でどのように開催されるかを見てみます。まずグランプリには予選となるトライアルと本戦があります。このうち本戦に参加を希望するデュエリストは、基本的には地元の販売店に備え付けの応募葉書に必要事項を記入し、それに販売店の店印を押してもらって投函する仕組みになっているはずです。トライアルは当日受け付けのようですが、ただトライアルは別にグランプリへの出場権を競う物ではなく、上位入賞者に本戦でのパイ(不戦勝)を与えるための物です。本戦は特に参加資格がある訳ではなく、参加希望者は参加費さえ払えば誰でも参加できます。
では、現在グランプリというベントはどのように告知されるのでしょうか?。基本的にはGAMEぎゃざや DECK EXPRESS 等の販促物、及び店頭ポスターという事になります。販売店は基本的に送られてきたポスターは店頭に貼ってくれているでしょうし、また応募葉書についても店頭に置いて処理をしてくれているはずです。つまりこの時点で販売店は、下手すると自分には一銭の実入りも無い業務を( Magic 普及のために)ボランティアでやってくれているのです。ましてや自分達が住む地域にグランプリが来る、その場合の販売店の貢献という物は非常に重要になるはずです。
はい、今言った部分は重要なのでメモしておいて下さいね(笑)。では本題に入ります。
確かにグランプリ等でのサイドイベントの参加費は、一時期に比べると安く(米国のイベント並に)なりました。しかし実は日本のグランプリはまだまだ多くの問題を抱えている、これが私の印象です。その1つがバイヤーブースです。最近のグランプリに関する告知を見ると、明らかに代理店はグランプリの目玉企画として“バイヤーブース”を挙げています。ところが実際にはそのバイヤーブースでは、他のイベントから比べてちょっとおかしいんじゃないかと思えるような利用料を徴収しています。長さ1800mm程度の長机半分+椅子2つ、これが最初1日¥5000だった物が1日¥10000に値上がりしました。これでも私に言わせると高いのですが、なんとこれがグランプリ神戸では“長机1つ丸ごと借りて2日で¥60000”とか言い出したのです。 (^^;;;
これがどの位高いのか、ちょっと簡単な計算をしてみます。例えばデュアルランド1枚を¥2000で仕入れてこれを¥2500で売ったとします。1枚当たりの利益は言うまでもなく¥500(ちなみに利益率は20%)になります。この調子で¥60000という利用料をペイしようと思うとデュアルランドを120枚売らないといけなくなります。金額にすると30万円です。(実際には今現在ニアミントのデュアルランドを¥2000で仕入れるのはまず不可能かと思われますが。)しかもそれだけ売ってやっと会場費が出ただけです。実際には交通費や宿泊費等色々とかかる訳で、こんなの普通にやったらペイできる訳がありません。その他諸経費を例えば¥60000程度に抑えたとしても、上の金額から単純計算すると60万円売り上げてようやくチャラなのです。個人が60万円もカードを売って利益ゼロだよ!?。どうよ、これ?(ぉ。
しかも当日は間違いなく米国から格安カードを抱えたバイヤーが複数名やって来ます。そういうバイヤーに日本国内の高いフレッシュパックを買わされている日本人が太刀打ちできる訳がありません。実際日本の業者がカードを仕入れる際の原価位の値段でカードを売る海外サイトはあるのです。(ですから福井や石川から行くバイヤーは、売値を安く抑えるために利益率をかなり低く設定しています。)あまつさえブースではフレッシュパックの販売は禁止です。これでどうやったら日本人に堂々とブース出店を薦められるのか、是非とも企画担当者にお伺いしたいものです。
※ 余談ですが最近ある海外サイトでは、なぜか日本語版のフレッシュパック1BOXを$120程度で販売しています。一旦日本国内に流通した物を逆輸入したのでは、到底この値段で売れるはずがないのですが。一体どこから仕入れているんですかねえ?(笑)。 それともう1つ。グランプリ開催に関しては日本国内の Magic 販売店が色々な形で協力しています。ところがこういった販売店は実際にはグランプリ開催によって何1つ恩恵を受けないのです。あまつさえ地元の販売店は大変です。「せっかく地元に来るんだから盛り上げよう!」と頑張って動員を稼いだら、会場で外国人バイヤーから安くシングルカードは買われるわ、フレッシュパックにしても販売店が持っていない絶版の物を定価で売られるわ、もう散々なのです。しかも「じゃあ我々も負けずに地元から出店しよう。」と思っても他のバイヤーと同じブース利用料を取られ、その上シングルカードの値段は米国バイヤーに勝てない。あまつさえ正規取扱店であってもフレッシュパックは売っちゃいけないわと、まさに踏んだり蹴ったりなのです。
私が今回言いたいのはまさにこれです。今現在日本のグランプリって、はっきり言って主催者である代理店と外国人バイヤーのためにあるのです。だってその他の日本人で恩恵を被るのって本戦やサイドイベントで勝った人位です。その他の日本人はグランプリに来るデュエリストの経済効果をほとんどと言っていい位受ける事ができないし、あまつさえ地元の Magic 販売店は大打撃を受けているはずなのです。確か少し前のグランプリ会場で、日本国内からは姿を消した日本語版ウルザサイクルのフレッシュパックが定価で売られていたと伺っています。それで万が一米国辺りから(お客さんへの便宜を図る目的で)高値で英語版を仕入れていた販売店があったらどうなると思います?。こういう話を例えば代理店関係者にすると、多分間違いなく言われるのです。「だから販売ブースではパックは定価でしか売らないし、バイヤーブースでのパック販売も禁止しています。」ってね。あまつさえ¥60000という出店料すら「それで会場内でのシングルの値段が上がれば、地元への影響が少なくなるでしょう。」とか言われかねない気すらします。しかし、もし代理店が本当の意味で日本国内での Magic 普及を志しているのであれば、どう考えても“イベント会場内での販売ブースは地元の販売店にお願いする”のが筋なんじゃないですか?。事前に地元の販売店に募集をかけて、販売店向けに無料(あるいは協力費程度の出店料)でブースを用意する位の配慮があってもいいだろうと私は思うのですが。(確かミニ四駆のイベントなんかはこの方式を採用していたと思うのですが。)
この節はあくまで私個人の想像であることをお断りしておいてから話を進めます。つまり代理店は自分が主催するグランプリに100%並行輸入カードしか買わないデュエリストを参戦させるのが嫌だ。だから各販売店の業務を増やしてでも往復葉書に店印を押すという応募方式を取っている。でもグランプリの経済効果を地元販売店に流すのも嫌で、だからバイヤーブースの利用料を上げて会場内での販売(そこから生まれる利益)を独占している。要はそういう事なんじゃないですか?。もし他に“来場者や地元販売店に配慮している故にそうなっている”という説明があったら是非伺ってみたいものです。ただ、これじゃあ近い将来「うちの地元にはプレミアイベントを誘致しないでくれ!」という地元販売店の大合唱が始まりかねない気すらしますが。
グランプリの開催には色々と経費がかかっている。それは分かります。しかし代理店は努力次第でそのグランプリからいくらでも収益をあげられる可能性があるのに対し、地元販売店は散々“パシリ”代わりに使われた上にイベントから閉め出しを食らっているのです。第一「イベントやるにはスタッフの人件費等もかかるので、自社が赤字を出さないように色々と徴収しています。」なんて会社は他に聞いた事がないですよ(笑)。何よりも“マージンを取ってカードの値段を高値に保つ”というやり方は、それこそ公取委に怒られた一連のやり方と発想が何ら変わらないのが何とも閉口物です。本来はどう考えても“日本のバイヤーも米国並の値段でカードが売れるようにする”べきなのに。私個人は「まあ代理店ならこの位の事は平気でやるよなあ。」と思っているのですが、なんでこういうやり方をWoCなりDCIが許しているのかが不思議でしょうがないのですが。
※ これを公開する前に他のイベントの告知をDCIのサイトで見てみたのですが、有料のバイヤーブースに関する告知が出ているのは日本のイベントだけだったと思います。あと実を言うとWoC主催のイベントに関しては“仕組み”があって、バイヤーはイベント毎に出店料を払う訳ではないようです。ただし、この話ってどこまで書いて良い物なのか私には分からないので (^^; 今回はこの辺にしておきます。
この事は日本国内で開催されるほぼすべてのプレミアイベントに言えます。「自分の地元に Magic のプレミアイベントが来ても地元には何1つ良い事がない。あまつさえその影響で地元販売店には閑古鳥が鳴き始める。」という状況が、日本では長い間続いてきたのです。皆さんこんな話って考えた事すらないんじゃないですか?。でも1度でもそういうプレミアイベントに参加された経験があれば、ご自分の身に置き換えてみると多分分かるでしょう。馴染みの店で買おうと思っていたシングルカードが安くて思わず買っちゃった。あの時買ったカードの安さが忘れられなくて地元の店で買う気がしなくなった。そういう人は少なくないと私は思うのですが。要するに現在日本国内で開催されるプレミアイベントは“その開催を手放しで喜べる物になっていない”のです。別に外国人バイヤーを云々言うのが今回の記事の目的ではありません。むしろあの値段が日本でもスタンダードになるべきなのですから。しかし日本の Magic は“流通の弱さ(ある意味で物凄い詭弁だが (^^;;; )”故に外国に比べて劣悪な環境下にあるのです。しかも日本国内で開催されるプレミアイベントまでが日本国内の Magic 販売店を締め付ける存在にしかなっていない。やはりこれはおかしいのです。「では、どうすればいいのか?」・・・それは今回は皆さんに考えて頂ければと思っています。まあ後日ご質問なり機会があれば私なりの答えをお出ししますか。
※ なお、今回の記事は実を言うと私1人の発案で生まれた物ではありません。ある Magic 販売店の店長さんとメールで意見交換をしていて頂いた内容がベースになっています。何もこの話は私1人の取り越し苦労 or 妄想ではないのです。