どうも発売直前〜直後に出ている意見の範囲では、あまり笑って話せる話題ばかりではなさそうです(汗)。
私個人は Invasion サイクルとは「 Magic のエキスパンションはこういう作り方をすれば売れる。」という経験則を集大成した物だったと感じています。エキスパンションが売れるための要素、それは“収録カードの面白さ”と“目玉カードの存在”である。これがWoCが出した結論だというのが私個人の印象です。私が思い出すに、こういう発想はかつての Visions 等で単発的に実践され、一定の成果を収めています。 Invasion サイクルはこれを1つのブロックを通して実践したという点で、今後 Magic を語る中で“ Magic の良き時代の1つ”として歴史に残るだろうと思います。ただしこれに関しては“ Apocalypse がちゃんとWoCから供給されれば”という条件が付きます。(詳細は後述します。)
しかし Magic は同時に、今まで以上に“バックストーリー重視”の姿勢に傾きつつあります。これはいわゆる昔の Magic が持っていた“1枚1枚のカードに華がある”という状態とは明らかに変わっているという事にもなります。そしてそういう傾向が果たして Magic の売り上げアップに貢献しているのか?、という素朴な疑問も私にはあります。コレクターは自分が好きなカードを集めるためにフレッシュパックを相当量買います。しかしバックストーリーを楽しむのにパック(カード)はそれ程必要ではないのです。つまり最近の Magic は“楽しむために大量に買われる要素が失われつつある”のです。
「自分達は競技として Magic を楽しんでいる。たから“萌え”の要素なんか不要だし、そういうコレクターの理論を押しつけられては困る。」そういう意見があります。しかしどうでしょう、実際例えばアクエリアンエイジはその“萌え”と上手に付き合う事で確実にシェアを伸ばしています。また“萌え”目的にカードを買うコレクターから競技に必要なカードが大量に提供される事で、アクエリのシングルカードは極端な高騰を免れている(オークション等で無理に買ってまで揃える必要性が薄い)のです。それに対して Magic では最近、現行 Standard で使われるレアでも1枚¥2000を越える物が増えました。こういう状況を競技プレイヤーは本当に良しと思っているのでしょうか?。
競技として遊んでも面白く、熱心なコレクターにも強く支持されている。そして競技プレイヤーもコレクターも目的のカードを容易に入手できる。 Magic がそういうTCGだったらこれ程理想的な話はないんじゃないでしょうか?。でも今の Magic はそうなっていない、これが私個人の印象です。実際昔の Magic が好きだったという人から、最近の Magic カードは敬遠されつつある傾向にあります。このままでは将来 Standard の人気レアが、あっさり¥3000とか¥4000なんて値段に跳ね上がる危惧もあります。そうならないためにはWoCが“もう一工夫”する必要がある、これが私個人の意見であり要望です。
さて、それでは最新の Apocalypse はどうでしょう。巷では「ここしばらく無かった強いエキスパンションだ。」「 Urza's Legacy みたいにすぐ品切れするかも。」等と言った意見が多く聞かれます。で、これに関しては私も同意見なのですが、その理由はもう既に分かっています。要するに Apocalypse は“今までの Magic のタブーを破った”エキスパンションであり、それ故強いのは当たり前なのです。もう既にあちこちで話題になっていると思いますが、 Apocalypse にはマルチカラーになった事で大幅にパワーアップした(マナコストが下げられた)呪文があります。今まで6マナだったパーマネント除去が3マナで撃てたり、今まで追加コストのXが(B)でしか払えなかった生命吸収が無色マナで撃てたりと、とにかく滅茶苦茶なのです(笑)。確かにブロック構築とか Standard の範囲で使う分にはそれ程悪影響は無いのかも知れませんが、多分こういったカードは Extended に入った途端に大暴れするでしょう。
それとWoCが“マルチカラー化”という物を履き違え始めている、そういう印象も私にはあります。今までマルチカラーの呪文というのは「ちゃんと使えば強いけど、使いこなすには一工夫必要。」という物が主流でした。しかしどうも最近「マルチカラーなら多少オーバーパワーでもOK!」という発想に変わりつつある気がします。あまつさえWoCは今回、敵対色を組み合わせたマルチカラーデッキを推進するために対抗色ペインランドまで用意しました。こうなると敵対色を組み合わせてデッキを作る事には何らのデメリットも無くなります。マルチカラー呪文の強化と対抗色デッキのサポート強化。この2つは明らかに矛盾した動きです。普通はどちらかになるはずの物が、両方同時に進められているのですから。
実はこういう多色化は Magic のデュエルを低速化させる反面、初心者の Magic への敷居を高くしてしまうのです。昔 Magic を始めたデュエリストは、結構「僕はこの色!」という形で Magic を覚えていった人が相当数いるはずです。単色デッキはデメリットがある代わりに分かりやすくそれなりに強い。それが本来の Magic の姿なのです。しかしこれだけマルチカラーがオーバーパワーになってしまうと、流石に我々も Magic 初心者に最初から多色デッキの作り方を教えざるを得なくなります。果たしてそれで初心者が Magic の楽しさを理解して定着してくれるのか?。私個人はやや懐疑的な見方をしているのですが。
私個人は「取りあえずイラストの刷新はオデッセイに期待!」と思っているので、今回 Apocalypse にはあまり期待していません。実際“ Rebecca Guay 氏に盆栽(!?)を描かせる”という、明らかにリソースの無駄遣いをしているカードもありますし(汗)。それでエンサイクロペディアで全イラストを確認したのですが・・・やはりまあ相変わらずという感じかな。ただ今回は久しぶりに私的にHitしたカードが1枚だけありました(笑)。ただしマルチカラーのコモンなので集め易そうで良かったです。 (^^; せっかくなので取りあえずFoilを1〜2枚は入手したいかな。
そりゃあ売れるでしょう。これだけ強いエキスパンションは、流石に無いと勝負になりませんので(笑)。そういう意味で Apocalypse は“かなり安心して買えるエキスパンションだ”という気がします。 Standard で遊ぶのはもちろんですが、今後絶版カードを使うフォーマットに移行する場合にでも Apocalypse はかなりの戦力になるでしょう。また我々のようなヴィンテージ・プレイヤーから見ても用があるカードが結構あるので、多分相当量が売れる(=品薄になる可能性が高い)のは間違いなさそうです。
ただ、ここで最初の方で触れた“条件”が出てくるのです。過去の Urza's Legacy 等の事例を見ると、恐らく「このエキスパンションは寝かせておいて後で売り出した方が儲かるかも。」等という発想をされる方が少なからず現れる気がしています。そうなると発売早々に品切れ&それに伴うパック&シングルの高騰という事態になりかねないのです。こればかりは企業のモラルという問題になるので、流石に明確な打つ手が無いのが何ともはやなのですが。逆に作りすぎてデッド・ストックになるのも問題だろうし。
それと繰り返しになりますが、 Invasion サイクルは“ブロック構築戦や Standard を遊ぶだけで終わらせるにはもったいなさ過ぎる”エキスパンションです。特にマルチカラーのカードは絶版カードと組み合わせる事で恐るべき破壊力を発揮します。それはかつての“合同勝利”の事例が証明しています。確かに今WoCは Standard や Limited を推奨しています。しかし Invasion サイクルのカードが多く出回れば、将来的には自然とヴィンテージ・プレイヤーも増えるでしょう。
とにかく今は「あのウルザサイクルの不幸が繰り返す事のないように。」と祈るばかりです。はっきり言っちゃうと、最近 Magic では強いエキスパンションが出るとろくな事が起きないのですが(笑・・・えない)。あとこれだけ Invasion サイクルが魅力的だと、流石にマスカレイドサイクルのデッド・ストック化がかなり深刻な問題になりそうな気もします。これをどう乗り切るか、WoCやDCIの手腕に期待したいところです。