第9回国民投票“ MAGIC:the Gathering 日本語版について”に予想を上回る反響を頂きましたので、今回は記事として総括を書いてみます。
今回の設問と投票結果を以下に示します。アンケート実施期間:2001年5月1日〜5月16日
【質問1】あなたは日本語版を買っていますか?
回答総数:2037件
【質問2】あなたは今の日本語版をどう思いますか?
日本語版だけを買っている 286 14% 日本語版をメインで買っている 318 15.6% 日本語版は少し買っている 410 20.1% 日本語版は買っていない 1023 50.2%
【質問3】もし日本語版がすべてにおいて現状のまま作られ続けるとしたら、あなたはどうしますか?
現状に満足している 247 12.1% もうちょっと安ければ 1128 55.3% もう少し翻訳が良ければ 51 2.5% もう少し購入後のサポートがあれば 50 2.4% すべてにおいて不満 561 27.5%
買い続ける 425 20.8% ちょっと考える 589 28.9% 断固買わない 1023 50.2%
まず今回の投票がCGIによる公募であった以上、特定の個人による組織票が無かったとは到底言い難いかと思われます。ただ今回は例えば1人が投じた50票程度の個人票があまり大勢に影響しない程度の投票総数がある事、またその個人票がどの項目に集中したとは言い難い事等から、投票そのものの信憑性はそれなりにあると私は考えています。次に投票総数に対する評価ですが、例えば日本の国政に対する世論調査が1万人程度のサンプリングで行われている事から見ても、デュエリスト全体の人口に対する2000票という投票総数は“ある一定の誤差の範囲でデュエリストの意志を表している”と考えられると思います。(ただし今回は明らかにサンプリングが無作為じゃないのが・・・ねえ《笑》。)ちなみに現在DCIのデータベースに登録されている構築戦フォーマットにおける日本人プレイヤーの数は6400人あまりだそうなので、それから見ても2000オーバーという数はかなり多いのではないかと思っています。
正直言って「日本語版は買ってない。」が過半数を超えたのは私は意外でした。従来 Magic の方向性を論議する場では、常に「日本語版は日本での Magic 推進には必要不可欠な物だ!」と言われてきました。しかし実際にはその日本語版を買っていない人が日本人デュエリストの過半数を占めているのです。また「少しは買っている(=それ程日本語版には依存していない)」デュエリストを合わせるとなんと7割を越えます。これは明らかに従来の日本語版擁護論に対する訂正を求める結果になっていると思われます。というか、むしろ私には「本当に現状の日本語版は日本での Magic 推進に貢献しているのか?」という疑問すら湧いてきたのですが。
質問1で出た「なぜ日本語版が日本人に受け入れられていないのか?」という疑問に対し、質問2の結果は明確にその答えを示しています。「高いから買わない。」要はそういう事のようです。この結果で見る“日本語版の顧客満足度”は12%あまり。これを多いと評価するか少ないと評価するかは諸説あるでしょう。しかし実際には「値段さえ下がれば(もっと)買うのに。」という人が過半数を超えています。しかもこれは現在は英語版しか買っていないデュエリストの多くも持っている意見なのです。今は英語版しか買っていないデュエリストでも、下手をするとそのうち半数位は日本語版が値下げされれば日本語版を買うと言っている、そういう事です。
本来こういった商品の販売価格はマーケティング・リサーチによって決められます。当然値段が下がれば売上数量が増えるのですが、バカみたいに値下げしてもメーカーは損をするだけです。そこで値段と顧客満足度の関係を調べてその調和点を求めて値段を決めるのです。しかしご存知の通り日本の Magic 価格はそういう決められ方をしていません。もう何度も書いているように代理店は並行輸入業者に圧力をかけてまで値段を吊り上げ、しかもその事で公取委から勧告を受けてなお自社の販売価格を値下げする事はしませんでした。あまつさえその後 Magic は少なくとも2度の値上げをされています。(しかも英語版を日本語版の価格に揃えた際は販売店にFAX1枚送って極秘裏に事を進めようとしました。)ただ実際にはそういう価格政策は明らかに裏目に出ていて、おかげで今や日本国内で販売される英語版の主流は並行輸入の物になってしまっています。
日本人デュエリストはそういう現状を見過ごすほどバカじゃない。それが今回の結果には良く現れています。それとこの結果に「本当は僕も日本語版を買いたいんだけどなあ。」という願望が現れていると感じるのは私だけでしょうか?。特に Standard 等の構築戦や限定戦をきっちり遊ぼうと思うと、日本語版の価格設定は明らかに不親切すぎるのです。でもそういう遊び方を推奨しているのも、実は誰あろう代理店なのですが(嫌爆)。
あと日本語版の翻訳やサポートに関しても、少なからず不満はあるようです。“すべてに不満”の数が“すべてに満足”の2倍を越えている。これが日本の Magic をある意味で象徴しているのかも知れません。
日本語版が現状維持された場合の対応ですが、特に日本語版を買っているユーザー層の中には戸惑いが感じられます。(英語版ユーザーがほぼ揃って“買わない”と言い切っていると思われるのとは対照的です。 (^^; )ただどうでしょう、現状では顧客満足度=12%の商品を「それでも僕は買い続けるぜ!」という人が20%以上いる。これは Magic を販売している側にして見ればかなり喜ばしい事なんじゃないですか?。それだけ Magic を買いたいという購入熱が強いという事になりますので。個人的にはこの設問はちょっと失敗だったかな?、と思っています。思い切って「買い続ける」「買わない」という2択で迫ってみても面白かったかも知れません。その時この「ちょっと考える」と答えた3割あまりの人達がどちらに動くのか、私個人はちょっと興味があります。
私個人は今回の結果を見て「日本人デュエリストの多くは日本語版を我慢して買っている。それはそうやって買い続ける(=日本語版を応援する)事でWoCやHJが値下げやサービスの充実といった措置を検討してくれるに違いないと信じているから。」という印象を受けました。ただどうでしょう、日本語版発売から5年が経っていますが、未だに日本の Magic は1度として値下げされた事実がありません。むしろ徐々にではありますが値上げされている訳で、そういう期待感はそろそろ捨て去るべき時期が来ていると私は思っているのですが。要するに「あなたはこの先も1パック¥500の日本語版と付き合っていく気がありますか?」という事です。そういう覚悟がないのであれば、今までとは逆の発想も必要なのではないかと私は考えています。いや、決して私が音頭を取って不買運動をぶち挙げようという訳ではないのですが (^^; でもその位の事を考え始めないと、ひょっとすると現状は変わらないのです。実際日本人デュエリストの7割が日本版が無くても Magic を続けていけそうな感触があります。確かに日本語版は“ Magic を始める”には必要なアイテムかも知れません。でも“ Magic を続ける”のに果たして必要なのでしょうか?。
前から書いていますが、私が Magic を始めて日本語版ユーザーだったのは2週間程です。最初に日本語版4Eを買ってから2週間後にある方から Aysen Crusader(HL) の存在を知らされ、それと同時にIAやFE辺りの余りコモンを大量にもらいました。それを我々は喜々として読み、英語版に抵抗無く入っていきました。本来 Magic とはそういう遊び方をする前提で作られた物なのです。初心者に取って遊びやすい Magic とは Standard でもなければ Limited でもありません。“タダで遊び切れない位大量のカードが手に入る遊び方”ができるのなら、それがベストに決まっているのです。
そういう遊び方が現状の日本の Magic ではできないのです。日本の Magic はカードが高いため、余剰カードを初心者に渡す事がなかなか容易ではありません。しかも初心者に安易に Standard を勧める風潮が“絶版カードを初心者にあげるのはむしろ不親切だ”というおかしな思想まで生み出しています。それが初心者の Magic に対する敷居を高くしている、そしてその大きな元凶が日本語版(&その販促方針)にあるのです。日本の Magic を本来の姿に戻すには、やはり余剰カードが大量に出てしょうがない位我々が日本語版を買えるようにするべきだ。それがこの投票結果を見ての私個人の感想です。
という事で、是非WoCにおかれましてはこの投票結果を十分にご検討下さる事を切に祈るばかりであります。 m(__)m というか、代理店が5年間もこの手のリサーチをしてきた気配が無いのはかなり問題だと私は思っているのですが。