“公認”という文字の重み

 私がこういうネタを扱うのは変かも知れませんが (^^; 今回はDCI公認大会の“公認”という物の意味について考えてみます。

● “公認”のメリット

 唐突に質問ですが、皆さんはなぜDCI公認大会に参加されるのでしょうか?。

 DCI公認大会に参加すると、その勝敗(と両者のレーティング)に応じて敗者から勝者にポイントが移動します。このポイントは初期値が1600ポイントなのですが、一定数のラウンドを経験していないプレイヤーのポイントは仮扱いになって・・・るんだよね?(ぉ。いや何しろ公認大会なんてここ1〜2年やってないものですから知識が古くてねえ。 (^^; (参考にDCIの汎用トーナメント・ルールを読んだのですが、レーティングの計算方法は書いてあるのですが仮ポイントの件は書かれてなかったもので。)とにかく“ポイントを奪い合う”のがDCI公認大会の目的であり存在意義である、まあそう言い切っても多分差し障りはないでしょう。

 では、そのポイントを多く集めると何か良い事があるのでしょうか?。(って、商店街のスタンプじゃないっての。 (^^; )ちょっとその辺に詳しい方々にお伺いしてみたところ・・・

 ・・・とまあ、他にもあるかも知れませんが主にこういうメリットがあるのだそうです。あ、もちろん“招待”とは言っても旅費や滞在費用は自分持ちですが。 (^^; これらの大会にはすべて賞金がかかっており、要するに“ポイントが高くなると Magic で賞金が得やすくなる”と考えればいいかと思います。

 さて、皆さんはそう聞いてどういう感想を持たれましたか?。「やっぱりDCI公認大会は凄い。もっと盛んにしなければ。」と思われた方もいらっしゃるでしょう。また「え!?、それだけのメリットしかないの?」と思った人もいるかもしれません。ちなみに私は後者でした。

 日本では Magic を手にしたら、とにかく猫も杓子もDCI公認大会に出る事が当たり前のように言われてきました。でもどうでしょう、そのDCI公認大会で最終的に目指しているのは“賞金の獲得”なのです。今日本にどの位の数のデュエリストがいるかは分かりませんが、その何割が Magic で賞金をもらおうなんて意識を持って Magic をやってますか?。逆に言うとDCI公認大会のポイントなんて物は、賞金を狙っていないデュエリストから見るとあまり有り難みがない物なのです。そりゃ確かに「僕は今日本でXX位だ。」という順位付けに意義を見出している人はいるかも知れません。でも代理店の出版物に掲載されるランキングはせいぜい100位か200位までです。しかも前にも話題になったように、少し前まで公認大会なんて物は比較的簡単にねつ造できたのです(今はどうか知りませんが (^^; )。

 極端な話ですが、DCIのポイントに関しては世界でNo.1のデュエリストが、実際には賞金のかかった大会で勝てずに1ドルの賞金も手にしていない可能性だってあるのです。つまり我々が販売店等で開催しているDCI公認大会というのは単なる“通過点”でしかありません。ポイントを増やせば大きなイベントを有利に戦えるようにはなります。でも単にポイントを増やしたでは実際には何にもならないのです。

● 人はなぜ“公認”を有り難がるのか?

 ではなぜ日本では、これだけ多くの人達が“公認”を有り難がるのでしょうか?。それは“公認”という文字そのものに弱く本質を見極めようとしない日本人の体質、そして代理店の「とにかくDCI公認大会は面白いから出ろ!」という宣伝が功を奏しているという事が理由に挙げられるかと思います。でもどうでしょう、DCI公認大会は賞金を争う競技の一環なのですから、本来はそれこそ初心者お断りな殺伐とした物になるはずなのです。それが初心者でもすんなり入れてしまう、そこに問題があるというのが私個人の意見です。

 前から何度か書いていますが、日本の Magic にはDCI公認大会しかないのです。大部分の販売店が Magic イベントを開く際に「取りあえず“公認”にしておけば参加者は集まるだろう。」という発想をしていると思います。しかし本来DCI公認大会はそんな初心者から上級者までがワイワイ集まってデュエルを楽しむ場ではないはずなのです。だって“賞金を争う競技”なんでしょう?。でも実際には“DCI公認大会=日本の Magic がお客さんに実践している数少ないユーザーサポート”と捉えている人(あるいは販売店)が少なくない、いや多分そういう人の方がむしろ日本では主流でしょう。だからこうなっちゃうのです。

 以前私は自分が開催したイベント(DCI公認大会)に参加された人達にアンケートを実施した事があります。その中で「DCI公認大会を今後も開いて欲しいか?」という問いには多くの人達がYESと答えました。しかし「DCI公認のポイントやランキングに興味があるか?」を見るためのひっかけ問題には多くの人達が無関心だったのです。多分当日の会場で「今あなたのポイントは幾つ?」と聞いたら、答えられない人が大部分だったと思います。彼らはDCIが用意する賞金なんか目指していない、ましてや自分のポイントやレーティングにも興味が薄い。でも“公認”がいいのです。

 多分この状況って、代理店を始めとして Magic (DCI公認大会)に携わるすべての人達が、本当の意味でのDCI公認大会の存在意義を彼らに教えてこなかったツケが回ってきているのだと思います。だから参加者はそれなりに多いのにレベルが上がらない。それこそ Magic の賞金だけで飯を食っているような強者が日本から現れない。そういう事なんだと私は感じています。

● では・・・どうしましょう?(ぉ

 じゃあ私は具体的にどうしてきたのか、それは皆様ご存知の通り“参加者がより望む形でのイベントを開く”事に努めてきました。福井にはDCI公認のポイントやランキングを競う事にメリットを感じないデュエリストがかなりの数を占めるようになってきました。だから私はバッサリとDCI公認大会を止めてしまったのです。

 もちろん福井にだってDCI公認のポイントやランキングに興味があるデュエリストは大勢いるのですが、少なくとも彼らがDCI公認大会の開催を望むのであれば「自分でバンバンしなさい(古)。」と言う事にしています。実際どうだろう、それで新たにDCI公認大会が定例化したという話は聞かないですから、まあ“その程度の物だった”という事なのでしょう。

 でも皆さん、それでも“公認”がいいんですよね?(笑)。本当思うのですが、やはり日本人デュエリストがDCI公認大会の存在意義を正しく理解し、それこそ日本選手権で上位に食い込む位の意気込みで取り組まない限り、本当の意味でのDCI公認大会の発展はあり得ないと私は思うのですが。また代理店の悪口になってしまうのですが、代理店はDCI公認大会という物を“ホビージャパンの販促の一部”としか考えて来なかったのです。だから賞金をかけた競技の場に平気で初心者を叩き込み、あまつさえ「面倒見てあげてね。」なのです。でも実際には代理店はDCI公認大会に対して基本的には何らのサポートもして来なかった(文字通りDCIに対する申請手続きの代行をしているだけな)訳で、流石に無責任だと言うしかないんですが。

 要するに今まで代理店は、初心者を騙してDCI公認大会に行かせていたのです。でもそういう状態を今後も続けていては、日本の競技 Magic のレベルはいつまで経っても上がらないと思います。やはり初心者や生半可な中級者が「うわあ、こんなハイレベルなデュエルには着いて行けん!」と匙を投げる位の状態にするべきなのです。またそういう姿を初心者に見せる事で「凄いなあ、自分もいつかはあそこを目指すぞ!」という機運も出てくるのではないでしょうか。全くの余談ですが、これが福井だと「凄いコレクションだ。自分もいずれはやってみたいけど大変そうだなあ。」とか「すげえ、パワーナインに Juzam Djinn(AN) フル装填だ。一体いくらかかってるんだろう?。僕もいつかは揃えたいな。」だったりするのがかなり嫌な話なのですが(爆)。

● “公認”とどう付き合っていくのか?

 今回の記事の内容は、私が今まで書いたDCI公認大会に関する意見に対してかなりリバーサルな内容になっています。従来私は「DCI公認大会には幅があって良い(競技という名目で Magic 普及という大儀を忘れるべきではない)。」という主張を展開してきました。その思想は今も変わらなかったりするのです。でもそろそろ本気で賞金を目指したトーナメント・プレイヤー達が、それこそ胃に穴を開けるような緊迫感の中で凌ぎを削るような大会が日本で数多く開催されても良いと私は思います。

 あと私は「もっとイベント・コーディネイターは自己主張するべきだ。」と考えています。要するにコピーデッキバリバリのトーナメント志向なプレイヤーの中に初心者をポツンと入れちゃうから問題なのです。そのイベントが本気で競技 Magic という物を志向した物であるならば、入口にデカデカと「初心者お断り!」と張り出したって構わないのです。(あ、DCIのフロアルール的に問題が無いかどうかまで私は知りませんが。 (^^; )ちなみにある方からお伺いした高知での事例(ってさあ、これ「○○○○○○さんから聞きました。」って言ってるようなもんじゃん (^^; )では、初心者向けと競技志向な人達のイベントを個別に開催されているそうです。ただその高知でも、初心者向けと称するイベントでさえ“公認”の名が付かないと集客に露骨に影響するんだそうです。 (^^;

 これは私個人の印象ですが、案外DCI公認大会って制約が多くて、本当の意味で面白いイベントにするのが難しいという面があります。少なくとも実施できるフォーマットが限られていますし、特に初心者の事を配慮した気の利いたイベントは開きにくいのです。あととにかく手続きが面倒なのよ(笑)。だからイベント主催者から見ると“公認にする明確なメリットが無ければ公認にはしたくない”物なのです。これに関しては多分共感して頂ける方は少なくないでしょう。

 DCI公認大会という仕組みから本当の意味で恩恵を被るデュエリストは実はほんの一握りなのです。もしあなたがその恩恵を受ける1人になる気があるのならば、ご自分が住む地域でDCI公認大会を積極的に開催し、それを文字通り“競技”と呼ぶに相応しいハイレベルな物に育ててみて下さい。でも、もしあなたがそこまで Magic に求めないとしたら、ちょっと我に返って“公認”という物の意味を考えてみて下さい。あなたに取って“公認”って本当に必要な物なのですか?。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。