− 特集“最近の Magic に一言” Vol.3 −
販売店とデュエリストの関係

 ここでは第7回あるいはその次(第8回)の国民投票でも多くの投票があった“販売店とデュエリストの関係”について考えてみます。

● 販売店の言い分/デュエリストの言い分

 正直言って私個人は、日本の Magic においては販売店とデュエリストの関係は決してうまく行っていると言えない状況がずっと続いているのではないかと考えています。

 販売店にしてみれば、自店のデュエルルームで遊んだりイベント等のサポートを受けるデュエリストには、使うカードは全て自店で買って欲しいと思っているはずです。販売店がイベントを開いて参加費を徴収するにしても、賞品等に店が自腹を切っているケースは多いでしょう。ましてやデュエルルームの開設や維持には費用がかかっていますし、何よりも店のスタッフは食わなければいけないのです。ですから自店のサービスを利用する人間が自店でカードを買っていない、そんな状況を販売店が快く思う訳がないのです。

 しかしデュエリストの側にも言い分はあります。その主な要点はこうなるでしょうか。「店で売っているフレッシュパックは1パック¥500もする。それに対してインターネットで見つけたあの販売サイトで買うと1パックが¥300もしない。1BOXで比べると¥7,000以上も違う。これじゃあ普通の店でパックを買う奴は間違いなくバカだ。でも Magic は対戦で遊ぶ物だから当然対戦相手やトレード相手が必要になる。販売サイトはそういう部分まで面倒は見てくれないので、だから自宅の近くにあるこの店に来ている。」そして最後にこう付け加えられるのです。「それのどこが悪いんですか?」ってね。

 元々日本で Magic が売られ始めたのは、それこそこよなく Magic を愛するデュエリスト達が近所の書店やおもちゃ屋に働きかけて、あるいはそういう店のスタッフが自分や Magic 仲間のために輸入を始めたところからスタートします。その後並行輸入業者がそれこそ個人が輸入するのとあまり遜色のない値段で日本国内に流し始めた。そういう状況でデュエリストと販売店との関係が悪かろうはずもないのです。ところが・・・まあこの話は過去にも触れていますからここでは割愛しますか。

 実はこれって、日本の Magic に(それこそ日本版発売の頃から)存在する潜在的な問題の縮図だったりします。要するに日本でこれだけ Magic は遊ばれているのに、デュエリストが日本の流通から Magic のカードを買う事をバカらしいとすら思えるような状況になっている。そしてその事を知らない日本の Magic 販売店がバカを見ている。まあそういう事です。これはイコール“どこかが決めたバカ高い設定価格のツケを販売店が払わされている”という意味です。私が日本の Magic 流通価格を問題視している大きな理由がここにあります。

● 何が問題なのか?(販売店編)

 まず販売店側を見てみます。もし現在販売店側の人間でこういう意見を口にされる方がいるとすれば、ある意味で“現状認識が甘い”と言えるかも知れません。この際なのではっきり書いちゃいますが、今時英語版を日本で設定された定価で並べていて、それで商売が成り立つと思っている販売店は間違いなくバカです。

 日本の Magic は英語版も日本語版も同じ値段で、現在は定価が1パック当たり¥500(税別)です。現在問屋から小売店に卸される際の掛け率は65%〜70%と思われますので、仕入れ値は¥325〜¥350となると思います。1BOX当たりに換算すると¥11,700〜¥12,600ですかね。ところが並行輸入の販売サイトで買えば、英語版なら1BOXの値段は¥10,000を切っています。つまり問屋から正規に仕入れる値段よりも安いのです。例えば1BOXが¥9,000で仕入れられたとすると、掛け率65%として販売しても1パック当たりの値段は¥385にしかなりません。つまり販売店は1円の身銭を切る事も無く1パック当たりの値段を115円も値下げできるのです。多分¥400程度で販売すればデュエリストは大喜びするでしょう。

 この場合並行輸入業者との価格差は1パック当たり¥100ちょっとになるのですが、気が向いた時に少しずつ買えるという気軽さとデュエルルームやイベント開催等のサポートをするといった差別化等で、この価格差なら十分勝負ができると思います。何しろ代理店経由でまともに仕入れると価格差は2倍な訳で、これでは流石に勝負にならないと思われます。しかも並行輸入業者からカードを買う場合は、現金仕入れになる代わりに“供託金(メーカーや問屋と取引を始める際に積み立てる保証金)”がないのです。つまり販売店に取っては並行輸入業者の方が付き合いやすいかも知れないのです。

 私に言わせると、そういう努力をせずに「¥500のパックを買いやがれ!」と言ったって全く説得力は無いのです。ただし実際には複数のチャンネルから「最近代理店経由の英語版販売は不振だ。」という情報も入っていますから、流石に販売店もそこまでバカじゃないのでしょう。要するに日本の Magic 販売店には「自分達は1社が流通を独占していて価格が高値に維持されたカードを売らされているのだ。」という自覚が必要なのです。またそういう自覚があれば、販売店が何をすべきかは自然と見えてくるのです。今時こんな時代遅れの流通方式をとる業者なんか、1度干上がらせて猛省を促したって何ら問題はないでしょう(ぉ。

● 何が問題なのか?(デュエリスト編)

 これはいわゆる“義理人情”という分野の話になるので、ちょっと最近の人達には通じない論理かも知れません。要するに最近の人達には“自分がいつもお世話になっているお店にお金を落とす”という発想が無いのです。例えば昔からの商店街みたいな所では、自店と同じ商品を売っている店でない限り「何か必要な物があれば近所で買う。」という文化が定着していました。それにはちゃんと理由があって、要するにそうやって近所に顔つなぎをする事で、結果的にそのお金が自分の所に返ってくるからなのです。

 これは Magic 販売店とデュエリストの関係にも全く同じ事が言えます。例えば自分の家の近くにある Magic 販売店でカードを買う、あるいは知り合いを紹介して買い物をしてもらう。そうする事でその店が Magic で利益を上げると、やがて「これだけ売れるのだから、もっとサポートやサービスを充実させて更に売っていこう。」となります。パックの値下げがあるかも知れませんし、イベントが開かれて賞品を出してもらえるようになるかも知れません。そうすると結果的にその店に支払ったお金が自分の所に返ってくるのです。

 ただ最近の人達にはどうもそういう発想が無いようで、とにかく1円でも安い店が正義だという感覚しか持っていない気がします。しかし実際には同じ物を¥400で売る店と¥500で売る店があった場合、¥500で売る店がサービスやサポートでその差額を上回る物を顧客に提供している(故に¥500でしかパックを売れない)事だってあるのです。ただ福井市での事例に関して言うと、福井市の Magic 販売店の中で最もサービスやサポートが充実していると思われる販売店は、イコール最も Magic を安く売っている店だったりします。あ、ちなみに言っておくと、日本の Magic (というか代理店)がそういう意識を持って Magic を¥500で売っているならば、私がこんな場でグチグチ文句を言う事はなかったでしょう(爆)。

 例えばの話、皆さんがいつも利用しているデュエルルームだって維持費がかかるのです。そういう物を1円足りとも負担せずに利用しようなんて虫が良すぎるのです。これはあくまで個人的な意見ですが、あなたが1パック足りとも買い物をしない販売店のサービスは利用すべきではありません。また1パックだけ買ってそれを延々と恩着せがましく「あの時買ってやったんだから俺はお客様だ。」等とは思わない事です。そんな客に店はろくなサービスやサポートはしてくれないのです。客が良くならなければ店は良くならないのです。

● では、どうすればいいのか?

 本当思うのですが、日本の Magic って日本語版発売から5年も経つというのに何も生み出していないのです。トーナメント・プレイヤーがのびのびと活躍できるようサポートするプロ組織も無ければ、公認ジャッジやイベントスタッフを育成する仕組みもない。あまつさえ販売店をサポートしてプロショップと呼べるような店を全国に展開しようという動きすらない訳です。確かに個人や一部の組織がそういう動きを見せているケースもあるのですが、しかし現状はお寒い限りという気がします。

 これはもう随分昔から言ってきている事なのですが、要するに日本には“通いたくなるような Magic ショップ”が極めて少ないのです。こういったショップは Magic が好きで普及を志すスタッフでなければ作れないですし、また Magic で十分な利益を上げられる下地が無いと維持/発展しないのです。今 Magic でプロショップを作りたいと思うと、間違いなく“いかに英語版を普及させるか?(=日本の流通から Magic を買わないで済ませるか?)”を考えざるを得ません。そういう状況おかしいと思いませんか?。

 あと個人の Magic 販売店に対する付き合い方ですが、例えばこういう発想はどうでしょうか。今仮に米国と日本の英語版の価格差を¥200とします。その差額を“近所の販売店にデュエルルームの使用料として収める”という事です。何でも渋谷の某センターは1ヶ月会員になるのに¥5000かかるそうです。 (^^; そうすると単純計算ですが25パックを販売店で買えば・・・という事になります。実際にはそういった負担って1ヶ月¥1000が目安ではないかと思うので、いつもデュエルルームを利用させてもらっている販売店で毎月コンスタントに5パックは買いましょう。ちなみにその店が1パックを¥400で売っているとしたら、当然毎月買うべきパックは10パックに増えます。そういうお客さんが1つの販売店に100人位着くと、毎月販売店はコンスタントに25万円〜40万円程度の売り上げが見込めます。それで販売店が維持できる訳では決してないのですが、額としては決して小さくはないはずです。あ、もちろんこの話はデュエリスト個人毎の経済事情にもよりますし、もちろんそれより多く買うに越した事はないのですが。

  Magic の世界も経済論で成り立っています。販売店は売り上げ(利益)を上げて店を維持している訳ですし、それは問屋や代理店(メーカー)にしても同じです。そして今、日本のデュエリストの多くがその経済論の観点から日本の流通でカードを買わなくなっているのです。¥500のパックに米国並のお得感を感じさせるのは並大抵の事では無理です。でも日本の Magic 流通そのものが衰退する事には我々デュエリストに取ってもデメリットが大きいのです。販売店とデュエリストが共に笑顔で Magic を通して交流する。そのための最善手が期待できない以上、我々は様々な発想や手段で自営するしかないのです。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。