- 特集“最近の Magic に一言” Vol.2 -
“白枠カード”を考える

 国民投票で多くの不要論が出た“白枠カード”について考えてみます。

● なぜ白枠は生まれたのか?

 元々白枠カードという物は、再録カードを明確に区別するために生まれた物のようです。5E(第5版)までは基本セットに再録されたカードはイラストもカードテキストもほとんど同じ物が多かった訳で、それを一目で見分けるためには白枠である事が必要だった訳です。実際には多少カードに関する知識が付くと印刷の濃度/コピーライト表記/フォント等でも見分ける事はできるのですが、やはり白枠ほど明確に見分ける方法は無いと思われます。

 では、なぜそういったカードを見分ける事が必要なのか?。それはズバリ「収録カードセットによって同じカードでも価値が変わるから。」です。例えばベータ版とアンリミテッド版では同じカードでもその価値は雲泥の差になります。それが明確に区別できないというのはやはり購入者に取っては不親切なのです。そういう意味で白枠という仕組みはデュエリストの事を考えたシステムではあるのです。

● 白枠の弊害

 しかしそういうカードの変遷は、結果的に Magic に“黒枠信仰”を生み出しました。日本でも同じカードでは白枠よりも黒枠の方が珍重されるようですが、実はこの傾向は米国の方が遙かに顕著です。ただ実際問題として、例えば日本語版4Eに関して言うと、間違いなく白枠カードの方が流通量は少ないのです。それを知っているデュエリストは白枠4Eをあえて求めたりするのですが、でもやはり日本語版4Eに関しても黒枠カードの方が高価です。

 あとカードを使う側から見ても、黒枠カードの中に数枚の白枠カードが混じっている状態ってあまり格好良くないのです。特に最近の Standard では基本セットのカードは活躍の場が少ないため、余計に目立つかも知れません。ヴィンテージなんかを遊んでいると黒枠と白枠の混在は当たり前になってしまうのですが、それでもちょっと余裕ができると「このデッキのカードは全部黒枠にしたい。」と思うようになります。

● 白枠は必要なのか?

 これはあくまで私個人の意見ですが、実は基本セットにもエキスパンション・シンボルが入るようになった現在、基本セットの再録カードを白枠にする必要自体は無くなっているのです。少なくとも再録カードである事は6Eや7Eのエキスパンション・シンボルを見れば誰にでも分かるからです。つまり逆に言うと、今後発売される基本セットを黒枠で出しても、基本的には何ら問題は無さそうです。

 しかも7Eになると、この事情が更に変化します。7Eのカードイラストはすべて総とっかえになっている訳で、つまり1つのカードが初版なのか再録なのかに関してはほとんど意識する必要が無くなっているという事です。あと白枠のカードは縁の部分の汚れが目立つといった問題もあるので、いっそ黒枠にしてしまっても・・・という気はしないでもないです。

 ではなぜ今でも7Eのカードは白枠なのか?。それは多分“慣例”というやつなのでしょう。あと先程も書いたように、カードは白枠と黒枠で価値が変わったりするので、不用意に基本セットのカードを黒枠にはできないのです。ちなみに「なぜ7EのFoilは黒枠なのか?」ですが、これは恐らく製法上の問題だと思われます。白枠でFoilを作ると横から見た時に明らかに他のカードと区別ができてしまい、いわゆるマークドになってしまうからだと思われます。

 あと“白枠のカードは安い”というイメージが定着しているという事は、逆に言うと初心者がカードを安く入手できる可能性があるという事にもなります。今だって例えばパワーナインやデュアルランドはそういう買われ方をしています。初心者やカード資産が乏しい人は白枠でカードを揃え、将来ステップアップした際には黒枠に変えて白枠カードは安く初心者に・・・という住み分けは案外有効なのかも知れません。そう考えると、白枠カードという物にもある意味での存在意義が生まれるだろうと私は考えています。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。