2001年4月の前半の実施した国民投票“最近の Magic に一言”の投票結果に関する総括記事を書いてみます。第1回は最も投票数が多かった「顧客をバカにするな」という意見に関する私の私見を述べていきます。
これに関しては本来は投票された方全員に再度リサーチするべきなのでしょうが、今回は私なりにその内容を分析してみます。前から記事で触れているように、実は Magic というTCGは遊ぶ側に取って決して優しい遊びではありません。満足なデッキを作るために高額の出費を強要され、しかも買ったカードは2年でお払い箱。おまけに巷のデュエルルームにも“えせトーナメント・プレイヤー”が氾濫し、マナーやモラルの悪いプレイヤーやシャーク被害も後を絶たない。更にはお目当ての人気カードを入手したと思ったら「それもう Standard から外れる。」とか「昨日付けで禁止カードの仲間入りしてる。」と後で聞かされる事もしばしば。まあそういう現実を見て日本の Magic に明るい未来を予感できる訳もないでしょう。
よく“ Magic は情報戦だ”と言われます。しかしそういう情報が無いと安心して遊べないTCGなんて、我々は初心者に安心して勧められないのです。しかも Magic を遊ぶのに必要な情報の多くは“ Magic をうまくなるための情報”ではなく“犯罪の被害者にならないための情報”なのです。普通そんな遊びが面白い訳がないでしょう。「初心者はトレードをするな。」「デュエルルームにいる人達は泥棒と思え。」「例え店員でも信用するな。」そんな格言がまかり通ってしまう、それが日本の Magic の現実なのです。
そして日本ではそれに加えてパックの値段は高いわサポートが無いわ、あまつさえ代理店が競技を煽ってますます Magic の環境を悪化させている。これでは“バカにされている”と感じない方が普通変かも知れません。こういう状況を冷静に分析してみると、我々がなぜそれでも Magic を続けるのか不思議でしょうがない気すらするのですが。 (^^;
これは米国と日本でかなり事情が違うという印象を私は持っています。基本的にWoCは Magic を欧米向けの商品として売り出していると私は感じています。それはカードイラストに一番良く現れていて、少なくともWoCは Magic という商品そのものを日本人向けに開発する気はないようです。ただWoCは大きなイベントを開催したり日本選手権をバックアップするといった形で、日本でも Magic を広めようとしているようです。小学館に Magic 漫画の連載を打診したのもWoCのようですし、ひょっとすると例のTVCMも資金はWoCが出しているのかも知れません。
これに対して日本人の Magic への取り組みは、全体として“お寒い”の一言に尽きます。代理店は自社の儲けしか見ていなくて、それこそ顧客をバカにしたような販促しかしない。しかも遊ぶ側は遊ぶ側でそういう販促から生まれた“競技 Magic ”の偶像に騙されて、デュエルはおろかトレードまで“自分が勝つ”事しか考えない。こんな状況で「日本の Magic を世界レベルに!」なんてフレーズはちゃんちゃらおかしく聞こえます。なんかそれこそ戦時中の日本政府が国民を騙して煽って・・・という姿とダブってしまうのは私だけでしょうか?。
確かに我々はバカにされているのかも知れません。でもそれって“我々がバカだからそうされている”と言えなくはないでしょうか?。極端な話“そんなに嫌なら Magic を止める”という選択肢すらあるのです。でもそれができないというのは、やはり我々がバカだからなのです。ただ我々は“ Magic バカ”であるべきで“メーカーや代理店が何をしてもハイハイ頷くだけのバカ”になってはいけないのです。だってこれだけ遊ぶ(続ける)のにお金がかかる趣味って、普通バカでなきゃ続けられないですよ(爆)。
実際 Magic は米国では“成功例”な訳で、日本でもそれを参考にする必要はあるでしょう。ただ私は別に米国での Magic に対するサポートを手厚いなんて夢にも思っていません。要するに米国の Magic は“メーカーが余計な介入をしない”から良い環境を維持できているのです。WoCが米国で実施している Magic に関するサポートは、ルーリングに関する情報の無償公開/DCI公認大会を簡単な手続きで開催するためのサポート/アリーナリーグへのサポート/大きなイベント開催による賞金の提供と知名度アップ位でしょうか。決してカード拡販のために不必要に競技を煽る事はしていなさそうですし、競技プレイヤーを目指す人に対しては高額の賞金を準備する事で間接的なサポートをしています。
WoCは Magic というTCGに自信を持っていて、知れば放っておいても皆遊ぶだろうという自信を持っている、それが私個人の印象です。だから“ Magic の知名度を上げる”事で人口を増やし、競技にまでのめり込む人については“イベントの開催と賞金提供”という形でサポートをしています。デュエリストを増やしてレベルやスキルを上げる事に関しては“最大限の事をしているけれど最低限の事しかしていない”のです。しかしTCGメーカーとしてはそれが正解でしょう。
あと米国での Magic 価格の設定もかなり絶妙な感じです。定価$3.29のパックの掛け率はかなり低いようで、それ故販売店側には様々な選択肢が生まれます。無店舗販売で1パックを$2.50程度で売ったり、定価売りだけどデュエルルームなどのサポートを充実させるといった選択ができるのです。前から書いているように、米国ではTCGって“安いから遊ぶ”という発想で親しまれている印象があります。少なくとも日本みたいに昼食を抜いたり風俗と縁を切ってまでヒイヒイ言いながら遊ぶ物では多分ないのです(爆)。
私が見ている限り、これに最も近いサポートをしている日本のTCGは多分アクエリアンエイジです。少なくともアクエリにはメーカーが競技を煽っている姿勢はほとんど見られませんし、しかしながら全国的な公認大会のサポートや大きな大会での賞品がかなり充実しています。あと基本的にエラッタ等の情報がすべて無償で得られるのもかなり良い感じです。私が以前から「 Magic はアクエリを見習うべきだ。」と書いている理由はこの辺にあるのですが。
こういった個人のサイトで募集したアンケートでこれだけの数の酷評が寄せられる。そんな遊びに未来があると私には到底思えません。今回投票した皆さんもそんな事は重々承知なのでしょうが、でも「言わずにはいられなかった。」という感じなのではないかと私は想像しています。そういうある意味で熱いデュエリストが日本の Magic に存在する限り、日本の Magic はそう簡単に廃れる事はないでしょう。でも、こんな状況でこの先 Magic が何年も日本で遊ばれ続けるとは私には到底思えません。またもし遊ばれ続けるとしても、かなり状況は激変しているでしょう。ひょっとすると日本国内の Magic 流通はそれこそ並行輸入業者に一手に握られてしまっているかも知れませんし、また“競技 Magic ”なんて物はそれこそ日本国内では影も形も見られなくなっているかも知れません。
前から書いている通り、数年前にある意味で繁栄を極めた対戦格闘ゲーム(メーカー)は、今では揃って窮地に立っています。あの世界も一時期は競技化(メジャー化)を目指して頑張っていたのですが、結局メーカーのやる気の無さ/雑誌等が勝利至上主義を煽った弊害/プレイヤーのモラルの低下等の要因が重なってああなってしまいました。私に言わせると、今まさに Magic は格ゲーの後追い自殺をしようとしています。
インベイジョンサイクルの登場で、日本でも Magic 人口が再び増えつつあるという反響があちこちから聞かれます。でもそういう流れを確かな物&将来につながる物にできるかどうかは、メーカーや代理店/販売店/そして我々デュエリストの手にかかっています。 Magic に関わる人達全員が過去の成功事例や失敗事例を学び、いかにデュエリストに“我々デュエリストはメーカーに大事にされている”あるいは“ Magic という世界は居心地が良い”等と言った感想を抱かせる充実した環境を日本の Magic に生み出すか。そのための施策を皆で悩んで見出して実践する事が、今日本の Magic には強く求められているのです。